「第5回医療介護総合確保促進会議」出席のご報告

会長メッセージ 協会の活動等 審議会

「第5回医療介護総合確保促進会議」出席のご報告

 平成27年10月28日、「第5回医療介護総合確保促進会議」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

 1.平成26年度地域医療介護総合確保基金(医療分)を活用した事業の実施状況の把握及び事後評価
 2.地域医療介護総合確保基金を活用した事業の評価指標
 3.平成27年度地域医療介護総合確保基金の交付状況
 4.医療と介護の更なる連携の促進に向けて

◇武久洋三会長の発言
 平成27年度地域医療介護総合確保基金とは、地域包括ケアシステムの推進のために、医療と介護の総合的なサービスおよび施設がきちんと整備されるための基金であると理解している。

 各都道府県が今年度実施する事業として5つの項目が挙がっている(資料3-1P2)。

平成27年度地域医療介護総合確保基金の交付状況

 このうち、1、2、4が医療分野、3、5は介護分野にあたる。医療施設、設備の整備にあてられる「1.地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業」は339億円だが、介護施設の整備にあてる「3.介護施設等の整備に関する事業」は634億円と、金額に倍近い差が出ている。医療・介護の両分野を合算すれば、千億円単位の規模になる。もちろん、いずれの基金も消費税でまかなわれている。

 さて、病院は経営を続ける限り、老朽化、耐震化等による改築がどうしても必要になる。消費税が8%、10%と上がっていくにつれ、建築費の負担もこれまで以上に大きくなっていく。一部で非課税還付の話も出ているようだが、いずれにせよ病院が消費税増税の影響でリニューアルがままならないという状況になれば、結局のところ、医療と介護の総合確保が難しいという話に再び戻ってくることになる。

 一方、消費税とは別に、ほとんどの民間病院は、基本的に固定資産税と不動産取得税を毎年払い続けている。しかし、公的病院はほとんど払わなくてよい。消費税については民間も公的も条件は同様だが、固定資産税については大きな差があるといえる。その上、公的病院の場合は建設や増改築にあたり交付金や補助金等が給付されるため、建築費のかなりの割合をカバーしてもらえる。これでは、診療報酬では公的病院と民間病院が同様という状況において、民間病院と公的病院で公正な競争状況にあるとは言いがたい。民間病院も公的病院同様、社会的資源ではないのか。

 もちろん、固定資産税が免除になれば、増築も改築も今よりはしやすくなるだろう。とはいえ、診療報酬の減額、介護保険の減額があり、そうやすやすと設備投資に踏み切れないというのが実情で、しかも消費税だけはどんどん上がっていく。本音を申し上げれば、地域医療介護総合確保基金を消費税増税分の補填に当てられれば大変助かると思うのだが、保険局長のご説明にもあった通り、基金の財源は消費税でまかなわれているのだから、その基金を消費税の支払いのために分配するわけにもいかないだろう。

 現在、民間病院では、築40年に差しかかっているというところが非常に多い。リニューアルしようという段になって消費税が10%もかかるようでは、現実的に、診療報酬だけでカバーするのは無理がある。そのために各地の民間病院が設備投資に二の足を踏むということになれば、地域の医療・介護のサービス提供が不十分になるという状況につながりかねない。建築等の設備投資への消費税についての問題は、本会とは別の場での議論になるとしても、ぜひとも検討していただきたい。

○第5回医療介護総合確保促進会議の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000102560.html
 

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