「第4回療養病床の在り方等に関する検討会」出席のご報告

協会の活動等 審議会 役員メッセージ

「第4回療養病床の在り方等に関する検討会」出席のご報告

 平成27年10月23日、「第4回療養病床の在り方等に関する検討会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
 
 議題:療養病床の在り方等を検討する際の論点について
 

◇池端幸彦副会長の発言
*資料1-2「選択肢を検討するに当たっての視点」の中に、下記の記述がある。

「日常的な医学的管理を継続して必要とし、かつ、一定程度の介護を必要とする方が中心となるサービス提供の在り方については、どのようなものがあるか。
例えば、「医療」と「住まい」の機能を同じ場所で提供するような類型が、その受け皿として考えられるか。」

池端幸彦副会長20151023 医療の機能、住まいの機能を同時に一つの場所で提供できるかということだが、まずは現状のサービス提供について確認しておくべきではないか。例えば、20対1の医療療養病床なら医療を提供しているということで異論はないだろうし、特別養護老人ホームなら介護サービスを提供する施設と考えて差し支えないだろう。しかし、療養病床20対1と特養の中間にあるような施設では、医療、介護を提供する割合や重みがそれぞれ違う。中途半端に進めると、既存の施設と似通った機能の類型を作ることになりかねない。老健は、本来であれば自宅へ帰す機能を活かし、在宅復帰に特化した施設なのだが、終の住みかとしての利用も一部には存在している。そうした問題まで論点を広げるのは、本検討会では難しいだろう。
 
 そこで、まず先に決めておくべきは利用者が多い介護の面からであり、介護療養型医療施設をどうするのかということである。今回の介護報酬改定では、介護療養型医療施設について療養機能強化型A、Bという類型を出していただいた。介護療養病床の機能とは長期的な観点からみて必要であり、残さなくてはならない機能だということをご理解いただいた結果だと感じている。そして、医療療養病床25対1の行き先がどうなるのかという問題がある。

*ここまで、住まいの機能を持ちながらも医療提供ができて、かつ看取りを行うという、医療強化型住まいといった類型が議論にのぼってきた。では、その機能に一番近いのは何か。個人的には、有床診療所が似たような役割を担ってきたのではないかと思う。かつて有床診療所には、家に帰りたくても帰れない患者が何年にもわたって入院していた。そして、当直体制があるので必要なときには医療を提供できた。
そこで、思いつきではあるが、もしSNWのような病院内施設化にする場合、6.4㎡の病床が「住まい」になりうるかというご指摘が多い場合、もう一つの考え方として1つの病棟をまるまる(現状では、医療法上における看護配置基準の縛りがない)有床診療所化することはできないか。有床診療所としておけば、あくまでも病床として院内に現状のままで留めておける。有床診療所の数は減少する一方であるが、地域包括ケアシステムの構築においては重要な機能であると言われている。現状受け入れ先に難渋している、医療ニーズの高いショートステイの受入れ先として、有床診療所であればある程度可能だろう。有床診療所的機能を病棟の中に設置できれば、ショートステイの受入れも可能で、医療提供がありながら看取りもできるということになる。
 
 もちろん、新類型の機能をどこに求めるのか、既存の施設との競合にならないよう議論する必要がある。その中で、療養病床をもつ有床診療所の在り方をもう一度考える必要があるだろう。療養病床がもつ有床診療所機能というのは、既存の病床の有効な活用法として新たな選択肢になりうるのではないか。

*90日を超えて入院している患者は、高度急性期の病院に入院した場合と慢性期の病院に入院した場合とで、費用がかなり違ってくる。同じような病態像、要介護度であれば、どの病床区分の病院へ行っても同様の支払い金額になるような、そういった制度設計が必要である。一物二価のような、入院先によって金額が変わっていくような事態は、出来るだけ避けなければならない。また新類型を作るにしても、その類型に転換したために収入が不当に下がるといったことのないよう考えてほしい。

*松本隆利構成員(社会医療法人財団新和会理事長)ご提出の資料の6ページに、「医療区分1の見直しで留意すべき事項」として「看護介入度が高いもの」「高額薬剤を使用するもの」「改善が見込めリハビリ介入度が高いもの」と、項目が挙げられているが、これはまさに我々の協会が以前からお話ししていることである。医療区分1の中には、在宅にスムーズに帰れる患者もいれば、かなり重度の患者もいて、様々な病態像が混在している。医療区分が設定されてすでに10年近く経つ。整理の必要があるのは確かである。療養病床を考えるにしても、医療区分の見直しと同時並行でやっていかないと、在り方を決めるのは難しいと思う。この検討会で話す内容ではないかもしれないが、まずは構成員の皆さんに、医療区分1の中でも病態像はかなり違うのだということをご理解いただきたい。

*私は入院医療等の調査・評価分科会で委員をしているが、どうしても、療養病床は患者のデータがないということを前提にして、議論が進められていく場面が多い。しかし前回の診療報酬改定から、療養病床でもデータ提出加算が取れるようになり、算定する療養病床の医療機関が少しずつ増えてきている。また、療養病床から地域包括ケア病棟に移った医療機関であれば、すでにデータ提出を行っている。このように、療養病床のデータは徐々に集まりつつあるので、どこかの時点で慢性期病床の患者像データを取りまとめ、分析することが必要になってくるだろう。

○第4回療養病床の在り方等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000102205.html
 

この記事を印刷する この記事を印刷する

« »