「第10回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」出席のご報告

会長メッセージ 審議会

「第10回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」出席のご報告

 平成27年7月29日、「第10回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席いたしました。今年の3月に地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の報告書をとりまとめて以来、初の開催です。事務局から、検討会の今後の進め方及び病床機能報告の今後の予定について、下記の通りスケジュールが示されました。

平成27年7~8月
 ・平成26年度の病床機能報告の状況について
 ・平成27年度の病床機能報告の実施について

平成27年10月~平成28年4月
 ・病床機能報告制度の精緻化について
 ・地域医療構想策定の進捗状況について
 

◇武久洋三会長の発言

*資料6「特定機能病院における病床機能別の病床数等の比較」について、全病床数の約96%が高度急性期機能の病床と報告したとある。

特定機能病院における病床機能別の病床数等の比較

 地方ではすでに人口が減少しつつある中で、特定機能病院が700床を抱える大病院のまま運営をしていたりする。これらすべての病床で7対1一般病棟を算定し続けるとなると、必ず空床が出てくる。特定機能病院にも回復期や慢性期等、複数の種類の病床をもつことを認めるか、それとも特定機能病院なのだから高度急性期に特化すべきなのか。特定機能病院を、地域医療構想の中で最終的にどう考えるかが、今後課題となってくるだろう。

武久会長20150729 特定機能病院のあるべき姿については、将来的に、教育機関としての役割を担うこともありうるのではないだろうか。現場の意見としては、あらゆる病床機能に精通した医師を養成してほしいが、やはり臓器別専門医を輩出してほしいという意見も根強い。

 特定機能病院は、人口がどんどん減っている地方の独立法人化した国公立大学と似た構図であるといえる。収支とのバランスを考えなければならないため、提供する内容と実際に求められる機能との間にずれが出てくる可能性もある。そうさせないためにも、簡単に結論は出ないだろうが、他の構成員の意見と同様、特定機能病院のあり方の大きな方向性を検討していくべきではないかと考える。
 

*資料9「地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟の病床機能報告の現状」にあるように、病床機能情報報告制度において地域包括ケア病棟は、急性期病棟、回復期病棟、慢性期病棟からそれぞれ算定の報告がされている。

地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟の病床機能報告の現状

 地域包括ケア病棟の機能は、平成26年度診療報酬改定で新設された当初より、ポストアキュートとして急性期からの受け皿となること、サブアキュートの患者を受け入れること、そして、入院している患者をできるだけ早く地域に帰すことの3つであると明言されている。

 さらに算定要件では、在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、二次救急医療施設、救急告示病院のいずれかをとることが必要とされている。このうち、二次救急医療施設、救急告示病院を取得するとしたら、当然、現場では急性期病床としての自覚が生まれてくる。さらに急性期の中でも、遠くの地域からも患者が来るような、高度な医療を行っている急性期と、近隣の限られた地域から患者が来る一般的な処置を行う急性期とに分かれてくるだろう。地域包括ケア病棟というのは、このような、いわゆる「地域急性期」の病院の類型として新設されたのだと理解している。

 6月に提出された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会 第1次報告」によれば、2025年の急性期病床の予測数は約40万床、回復期は37万床となっている。これはあくまで参考の数字だが、それにしても現状との乖離がはなはだしい。そもそも、この4区分は現実を反映しているのか。

 病床機能報告制度において、回復期はポストアキュートの役割を担うとの説明がされており、それが回復期の病床数の少ない理由ではないかと考える。回復期リハビリテーション病棟はリハビリをするイメージが強く、急性期とは思わない。今すぐにということは無理だろうが、今後も回復期の定義を使い続けるのかという点も含め、将来的に整理が必要だろう。現場はどうしても自分たちの提供する医療は急性期だという方向に流れがちであるし、病床機能報告制度は各医療機関の自由な判断にまかせている以上、病床数の参考値と実際の病床数はいつまでもかみ合わないことになる。

 病床の定義については、今後本検討会において議論の機会があると期待する。私としては、この区分は「急性期」「地域包括期」「慢性期」と、大きく3つに分け直した方が分かりやすいのではないかと考えている。

○第10回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000092685.html
 

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