第1回医療介護総合確保促進会議 出席のご報告
平成26年7月25日、「第1回医療介護総合確保促進会議」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。本会議は、6月に公布された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保促進法)を根拠とする会議で、同法に定める「総合確保方針」の作成および「基金」の使途・配分等の検証を主な目的としています。
唐澤剛・厚生労働省保険局長は、会議冒頭の挨拶において、「医療介護総合確保促進法に基づく総合確保方針は、今後の少子高齢社会にとってきわめて重要な意義を持つものであるため、厚生労働省では医療介護連携担当の審議官ならびに医療介護連携政策課を新設し、保険局、医政局、老健局の三局を横串にした体制で医療・介護サービス提供体制の改革を推進していく所存である」と述べました。
本会議の委員は、「医療又は介護を受ける立場にある人、都道府県知事、市町村長、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、診療又は調剤に関する学識経験者の団体その他の関係団体」などの代表者28名で構成され、座長には、田中滋・慶応義塾大学名誉教授が満場一致で選任されています。
本会議の論点については、厚生労働省から、「総合確保方針に盛り込むべき事項」として、4つの大きな柱が示されています。
①地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向
②「医療計画基本方針」及び「介護保険事業計画基本方針」の基本となるべき事項、
「医療計画」及び「介護保険事業支援計画」の整合性に関する事項
③総合確保促進法に規定する「都道府県計画」及び「市町村計画」の策定・整合性確保
に関する基本的な事項
④新たな財政支援制度(基金)に関する基本的な事項
渡辺由美子・医療介護連携政策課長より、論点として挙げられた事項と今後のスケジュールについて説明された後、武久洋三会長は、委員による意見交換の中で、下記3点について具体的な提案を述べています。
〔武久洋三会長の提案〕
1.「地域包括医療介護支援センター」の創設
制度上は医療分野と介護分野に分かれて議論されているが、患者は制度ごとに存在しているわけではなく、同一の患者がその間を行き来している。しかし、医療分野においては疾患別の地域連携クリニカルパスによって医療の連携は保たれているといえるが、介護分野に移った途端、その連携が断たれてしまい、地域のどこでどのようなサービスを受けているのかが把握できなくなってしまうというのが現状である。そこで、現在ある「地域包括支援センター」と「地医療支援センター」の機能とを合わせた「地域包括医療介護支援センター」の創設を提案したい。厚生労働省の保険局、医政局、老健局が協力して医療と介護の連携を推進していこうという今だからこそ、「地域包括医療介護支援センター」を各地に設置し、一人の患者をトータルで支援していけるようなシステムを構築していくべきである。
2.医療圏の再編
各都道府県は、医療圏を定めることとされている。しかし、医療計画が法制化されてこの間、人口は大都市圏および各都道府県の県庁所在地に集中してきており、その周辺の医療圏は医療圏としての体をなしていないという状況がある。地方の医療圏に生活する高齢者が病気になった場合、その医療圏にある病院にではなく、息子または娘の家族の住所地である県庁所在地の病院に入院することが多いように、地方の医療圏における入院患者数は人口数だけでは推し量ることはできない。このようなアンバランスが生じている以上、実態に合った再編は喫緊の課題である。
3.基金を過疎医療圏に
新たな財政支援制度である「基金」は、今まさにお話ししたようなアンバランスが生じている地方の医療圏に重点的に配分されるようにされるべきである。過疎地の病院経営者は非常に疲弊しており、医療機関の存続が危ぶまれるような地域では、住民の生活を守っていくことはできない。
次回8月末に予定されている会議では、今回出された委員の意見を反映した論点が示され、「総合確保方針」の9月上旬の決定に向けて、議論が進められることになっています。
○第1回医療介護総合確保促進会議の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000052249.html
2014年7月26日