日病協「第117回代表者会議」 出席のご報告

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日病協「第117回代表者会議」 出席のご報告

 平成26年7月25日(金)、日本病院団体協議会(日病協)の「第117回代表者会議」が開催されました。会議には11病院団体から計15名が出席し、当会からは武久洋三会長と中川翼副会長が出席いたしました。
 
 会議の冒頭では、厚生労働省の人事異動を受け、前・厚生労働省保険局医療課長の宇都宮啓氏(現・国立国際医療研究センター企画戦略局長兼国際医療協力局長)、宮嵜雅則氏(厚生労働省保険局医療課長)、込山愛郎氏(厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室長)の3名から、ご挨拶がございました。
 
 宇都宮氏は、「平成26年度診療報酬改定では大変お世話になりました。大きな改定で、実質-1.26改定ですが、皆様のご理解をお願いしたいと思います。国立国際医療研究センターには7月12日付で異動となりました。今後は病院側の立場として、診療報酬にかかわっていくこととなりました。これからもよろしくお願いします」と、挨拶をされました。宮嵜氏、込山氏の両名もそれぞれ意気込みをお話されました。

 会議では、新たな保険外併用の仕組みの創設について佐々木健氏(厚生労働省大臣官房企画官)から説明があったほか、7月24日までに開催された社会保障審議会、第107回診療報酬実務者会議などについて、報告・検討が行われました。

 新たな保険外併用の仕組みは、「患者申出療養(仮称)」としての創設を目指すことになっています。困難な病気と闘う患者からの申し出を基点として、国内未承認医薬品等の使用や国内承認済みの医薬品等の適応外使用などを迅速に保険外併用療養として使用できる仕組みで、患者の治療の選択肢を拡大することが目的とされています。
 なお、「困難な病気」とは「がん」などを想定しているが、患者個人ごとに困難な病気は異なるため、病名を指定していないことが説明されました。出席者からは、「現場にとってわかりやすい制度の名称を考えてほしい」といった意見が出されました。

 病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会は、7月24日に開催された第12回をもって論点のとりまとめがなされました。今後はガイドライン作成のための検討会が開催される予定であることが報告されました。
 病床機能報告制度について、都道府県知事は医療機能の転換が止むを得ないものと認められない場合には、転換の中止の命令・要請を行うことができるようになっています。これは医療機関同士での協議がどうしても調わない場合の措置であり、通常は医療機関同士の協議が優先されることが報告されました。

 社会保障審議会医療保険部会については、武久会長より報告がなされました。医療保険部会では、国保の財政上の構造問題や高齢者医療の費用負担全体の在り方などについて、同会で挙げられた主な意見がまとめられました。
 武久会長は、「医療の現場では、患者の自己負担額が増えているため、今後も医療・介護保険のすりあわせが重要になってくる。ユニットケアでは、14~15万円の高額の自己負担が掛かかるため、比較的低価格な療養病床に患者が長期入院する一因となっている。このまま患者の自己負担額が増え続けると、『病院なら医療費未払いでも大丈夫』という風潮も手伝い、医療体制が崩壊してしまう。低所得者層への対策を考える必要がある」と、発言されました。
 また、「医療保険部会は頻繁に開催されているが、委員数が多いため中身のある議論があまりできず、会議時間が終了すると委員長任せになってしまうことが多々ある」と、医療保険部会の問題点についても言及されました。

 日病協・診療報酬実務者会議の報告は、猪口雄二氏(診療報酬実務者会議委員長)より行われました。まず、四病協において実施された、消費税に関する調査のパイロット・スタディの状況が報告されました。
 2つの月間データを比較したパイロット・スタディでは、病院によるばらつきが大きく、消費税増税分の補填が十分な病院と不十分な病院に分かれた結果が示されましたが、消費税増税前に備品などを大量購入、あるいは増税後の買い控えなどをしていたため、通常の収支状況でなかったこと指摘されました。
 そこで、昨年度のデータを現行の点数に置き換える方法で再度調査が行われており、まもなく結果が出ることが報告されました。この方法での結果を受け、日病協で調査を実施する際の方法について検討が行われます。

 次に、調査客体の選出方法案の説明が行われました。日病協を構成する11団体のそれぞれについて、会員病院数の1割が客体選出数となります。なお、この値が10未満となる場合には、10件の客体選出を依頼することになっています。
 病院種別は急性期(一般病床が80%以上)、慢性期(療養病床が80%以上)、ケアミックス(上記以外)、精神(精神病床が80%以上)の4区分とし、団体ごとに客体として選定する病院種別が指定されています。

 全体では、公的・私的病院を含むおよそ1,000病院に調査を依頼する予定です。日本慢性期医療協会では、慢性期の100病院を客体として選出し、調査を依頼する予定です。
 調査の客体について、「日慢協の会員病院には、療養病棟以外を算定している病院も多数あるが、客体としては療養病床主体の病院を選定した方がよいのか」と、武久会長が質問したところ、そのようにしてほしいと返答がありました。

 病院種別の区分について多くの団体から質問・要望が上がりましたが、猪口氏は「現行の区分を参考にしており、今後医療法の改正などが進むと、今回の4区分は使えなくなることが予想される。次回以降の調査を行う場合には、状況をみて依頼する病院種別を考えたい」と返答されました。

 日病協における消費税に関する調査は8月中旬頃に依頼・実施される予定です。消費税の増税は診療報酬の上乗せでは解決できない問題のため、日病協では「税は税制で処理する」という方向性で議論を進めていく予定です。
 

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