第74回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

会長メッセージ 審議会

医療保険部会20140421

 平成26年4月21日、「第74回社会保障審議会医療保険部会」が開催され、当会からは委員として武久洋三会長が出席いたしました。
 
 今回の会議では、昨年12月に国会で成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」、通称プログラム法における、医療保険制度に関連する事項の今後の実施スケジュールの検討が開始されました。
 
 プログラム法は「医療保険制度の財政基盤の安定化」、「医療保険料に係る国民の負担に関する公平の確保」、「医療保険の保険給付の対象となる療養の範囲の適正化」の3点を主要な項目としています。医療保険部会では、高齢者医療、協会けんぽ・組合健保の状況、市町村国保の状況などといった事項について議論を行っていく方針です。平成26年7月までを第一回目の議論と位置づけ方向性をまとめ、平成26年9月~12月にかけての第二回目の議論で総括を行う予定が示されました。
 
 医療保険部会で継続して議論が行われている産科医療補償制度に関する議論については、前回行われた総括の内容にもとづき制度の見直しが行われる旨が医政局より報告されました。また、関連する議題として、保険局より産科医療補償制度の見直しに伴う出産一時金制度についても報告が行われました。これは健康保険にもとづく保険給付として、出産における経済的負担の軽減のために被保険者に一定の金額が支給される制度です。これらの制度につき、各委員による意見交換が行われました。
 
武久洋三会長_20140421 武久会長は「合計特殊出生率が現在の1.36人前後のままで推移すれば、2100年には日本の人口は4000万人を割るという推計もある。出産一時金を健康保険から払うに留めるのが適切かどうか、もっと大胆な医療政策が必要な段階に来ているのではないか、という点まで視野に入れて検討すべきだ」と述べられました。
 
 また、地域における医療および介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案の概要が提示され、意見のピックアップが行われました。これは地域における医療の総合的な確保を目的とした法整備を行うという趣旨で、都道府県ごとの医療計画遂行のための新基金の創設や、医療法にまつわるものとしては、医療機関が病床機能を都道府県に報告し、都道府県はそれに基づき地域医療構想を策定する旨を定めた法改正などが内容に含まれます。
 
 武久会長は、医療法の改正によって都道府県知事は地域の医療計画にもとづいて医療機関へ指示・要請を行うことが可能となる、という点に触れ「例えば過疎の医療圏において、保険料が高い地域といわれたくない都道府県知事の政治的な意図により、医療機関のベッド数が削減されてしまうことが考えられるなど、本当に医療を必要としている人々への医療提供に支障を来すおそれがある」という懸念を示されました。
 
 医療保険部会では今後も関連する内容について適宜取り上げ、議論を重ねていく方針です。
 

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