在宅での看取り、病院の役割は?

役員メッセージ

日本の風景-085

■ 討論
 

 討論時間は20分以上あったが、多くの質問が飛び交った。その一つずつを正しく記憶していないことをお許しいただきたい。

 ・ 長谷川和男先生(兵庫県・いなみ野病院院長)より、インフォームド・コンセントを確認する際、選択肢の提示の重要性についてご意見があった。また、患者の意思確認の難しさについて言及された。

 ・ 横山宏先生(山梨県・恵信甲府病院理事長)から、急性期病院は誤嚥があると、胃ろうを簡単に造設しすぎるとの指摘があった。

 ・ 藤田博司先生(山口県・光風園病院副院長)から、終末期の評価と、言葉の問題の整理の必要性についてのコメントがあった。

 ・ その他、原健二先生(奈良県・奈良東病院院長)をはじめたくさんの質問があったが、詳細は割愛させていただきたい。

■ 所感
 

 ・ 会場より多くの質問があったので、質問の舵取り、つなぎ役に終始していたように思う。特に、何かに焦点を合わせて議論することができなかった。

 ・ シンポジストの抄録を見てはいたが、この点をよろしくというインフォメーションを事前に出さずに当日になってしまった。

 ・ したがって、ややテーマにフォーカスされていない発表が出てきた場合、それをどう今回のテーマに結び付けていくかに十分な配慮ができなかった。

 ・ また、シンポジストの発表の想いを明確にすることにも、私からの補足が不足であった。

 ・ 今回、岡田玲一郎先生のご提案で、このシンポジウムを市民公開とし、約70名の市民が参加された。よい試みでもあり、今後検証していきたい。市民公開という新しい学会のあり方をご提案をいただいた岡田先生に感謝申し上げたい。

 ・ その中で、学会10日ほど前に依頼した桑名斉先生のご発表は、市民を含めた参加者の理解に寄与したのではないだろうか。

 ・ 私の「終末期について」の最初のシンポジストは1998年の老人の専門医療を考える会主催の「高齢者の終末期医療2~尊厳死を考える~」であった。
 東京銀座ガスホールで開かれたこの会には、300名以上の市民(医療・福祉関係者を含む)が参加してくれた。その際の緊張感は今でも忘れられない。
 それから13年経ち、「終末期」の問題も市民と同様の目線で話ができるようになりつつあることを実感した。

 ・ 会場入り口に、定山渓病院での発表を整理した小冊子「終末期医療2011」を200冊置いたが、すべてお持ち帰りいただいた。依然としてこのテーマに強い関心をもたれていることを感じた。

■ 参考
 

 なおご参考までに、今までの日本慢性期医療学会全国大会時の「終末期についての講演・シンポジウム」を列挙し、参考としたい(敬称略)。

 * 私が参加したのは第3回以降である。第3回~第7回まで特別な企画はなかった。

 ○ 第8回東京大会(2000年・5時間)

   ・ 講 演:橋本肇、中川翼 
   ・ シンポジスト:富安幸博、田中久美子、吉岡あき子、三田道雄、照沼秀也

 ○ 第9回沖縄大会(2001年・1時間)

   ・ 講 演:中川翼

 ○ 第10回大阪大会(2002年・2時間)

   ・ 講 演:井口昭久
   ・ シンポジスト:鈴木直人、中川翼

 ○ 第11回青森大会(2003年・2時間)

   ・ 講 演:井形昭弘
   ・ シンポジスト:藤田博司、中川翼

 ○ 第12回札幌大会(2004年・2時間30分)

   ・ 講 演:石垣靖子
   ・ シンポジスト:藤田博司、桑田美代子、蛸島八重子

 ○ 第13回東京大会(2005年・2時間30分)

   ・ シンポジスト:中川翼、山下絵里、藤田博司、桑名斉、照沼秀也

 ○ 第14回京都大会(2006年・2時間30分)

   ・ シンポジスト:斉藤克子、高野喜久雄、有吉通泰、宮岸隆司、藤田博司

 ○ 第15回神戸大会(2007年・2時間)

   ・ シンポジスト:横山宏、佐藤伸彦、熊切桃子、田岡亮一、井上孝義

 ○ 第16回福岡大会(2008年・2時間)

   ・ シンポジスト:中川翼、原健二、門脇章子、二ノ坂保喜

 ○ 第17回浜松大会(2009年・2時間)

   ・ シンポジスト:中川翼、桑名斉、今野民子、三原絵美、宮崎美智代(認知症の会)

 ○ 第18回大阪大会(2010年・1時間20分)

   ・ シンポジスト:桑田美代子、中野絵奈、工藤理

 ○ 第19回札幌大会(2011年・1時間30分)

   ・ シンポジスト:湧波淳子、平田済、山田智子、蛸島八重子(桑名斉)


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