有料老人ホーム、「多様性を奪わずに」 ── 橋本会長、介護保険部会で

会長メッセージ 協会の活動等 審議会

20251201_介護保険部会

 介護保険制度の見直しに関する意見の取りまとめに向けて議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の橋本康子会長は有料老人ホームについて意見を述べ、「新たに基準を設けると人員不足にも影響が出るのではないか」と懸念し、「自由度や多様性を奪わずに考えたほうがいい」と指摘した。

 厚労省は12月1日、社会保障審議会(社保審)介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事・法学学術院教授)の第130回会合を開催し、当会から橋本会長が委員として出席した。
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01スライド_資料2の目次

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 厚労省は同日の部会に「論点ごとの議論の状況」を提示。これまで議論を踏まえ、「認知症施策の推進」「多様なニーズに対応した介護基盤の整備」などについて検討の方向性を示し、委員の意見を聴いた。
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02スライド_資料2のP2

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 この日の議論を終え、菊池部会長は「当部会においては、昨年12月から開始した次期介護保険制度改正に向けた議論について、本日までさまざまなご議論をいただいたが、一通りの議論をいただけたものと考えている」とまとめ、「次回はこれまでの議論を整理し、取りまとめに向けた議論が行えるよう事務局においては資料の準備をお願いできればと思う」と述べて閉会した。

 同日の部会で、橋本会長は有料老人ホームや認知症施策などについて意見を述べた。橋本会長の発言要旨は以下のとおり。

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有料老人ホームに係る対応について

[橋本康子会長]
 資料1の論点⑥(ケアマネジメントに係る給付の在り方)の「有料老人ホームに係る対応」について意見を述べる。
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03スライド_資料1のP27

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 一部の極端な有料老人ホームについて不適切な運営、サービスを行っている施設もあろうかと思うが、そのために全体の仕組みを変えるのは逆に不公平感がある。現実的に特養等の利用者が減っている一方で、有料老人ホームが倍増している。これは、利用者にとって民間が運営する有料老人ホームのほうが自由に選択できたり比較的簡単に入居できたりする面があるからではないか。そのような有料老人ホームの利点が実際に現実としてあるので、そういう点も考えたほうがいい。

 透明性を進めることは必要であるが、資料に書かれているような「新たに人員・設備・運営に関する基準を設ける」というのではなく、例えば、虐待や身体拘束、事故報告などに焦点を当てたほうがいいのではないか。新たに基準を設けるとなると、介護保険制度における他の施設との差が一般の人だけでなく、医療者にもわかりにくくなってしまうと思う。つまり、有料老人ホームは、ある程度、自由度があるところが利点なので、そこは崩さないほうがいいと思う。

 有料老人ホームは民間が運営できるので、私たちや利用者の方々が善し悪しを選べるような工夫をすることが必要ではないか。新たな基準などを設定すると、医療や介護施設の人員不足にも影響が出てくるのではないか。給料の差などもまた出てくるように思うので、そういったところも考えていただきたい。
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04スライド_資料2のP48

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 資料2の「論点ごとの議論の状況」については、先ほども述べたように有料老人ホームの透明性の確保は必要であるとは思うが、人員基準などではなくて、虐待、身体拘束、事故報告の義務化などを考え、自由度や多様性を奪わずに考えたほうがいいのではないか。そのほうが利用者や家族の人にはわかりやすい。例えば、そういう自由度はあるが、看護や介護の人たちの人員は少ないということがわかるようにする。民間も運営できるという良い面があり、競争原理が働いているので、そういったことも考えたほうがいい。

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地域の類型の考え方等について

 資料1の7ページ。「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」に分けた上で、対象地域の範囲については、「特別地域加算の対象地域を基本としつつ、さらに、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう、高齢者人口の減少に着目して範囲を拡大することなど、今後、都道府県・市町村における検討」としている。
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05スライド_資料2のP7

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 今後、議論が進むと、では、私の地域はどうなんだろうと思う。人口減少地域に入るのだろうかと。特別地域加算の対象にはなっていないが、隣の地域は違うのかと思うようなことが以前にあった。柔軟に考えるとなると、そこはどうなるのか。これは市町村等の問題であるとは思うが、国も一定の基準を示すことが必要ではないか。ある程度のところがあれば、教えていただきたい。

【厚労省担当者の発言要旨】
 資料に記載のとおり、今後、介護給付費分科会で具体的に議論いただくということで考えている。

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認知症施策の推進等について

 以前も述べたように、認知症は進行していく疾患。初期段階の対応や予防も大事だが、家族の方がすごく困惑したり大変な思いをしたりするのはどんどん症状が進行したときだと思う。そのため、例えば特養や老健、認知症のグループホーム、医療保険での認知症専門病棟などの施設との連携も考えなければいけない。

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