第248回介護給付費分科会のご報告
厚生労働省は11月21日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭・東大大学院法学政治学研究科教授)の第248回会合を開催し、人材確保に向けた処遇改善のあり方などを議論した。
厚労省は同日の分科会に「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題」と題する資料のほか、同日閣議決定された総合経済対策の関連部分を参考資料として提示。処遇改善加算の対象範囲の拡大や取得要件などを論点に挙げた。
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総合経済対策では、「令和8年度報酬改定については、他産業の状況も踏まえた賃上げや物価上昇を踏まえた適切な対応が求められており、医療機関や薬局、介護施設等における経営の改善及び従業員の処遇改善につなげるため、その報酬改定の効果を前倒しすることが必要であるという認識に立ち、『医療・介護等支援パッケージ』を緊急措置する」としている。
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また、介護分野の職員の処遇改善については「他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行うこととし、報酬改定の時期を待たず、人材流出を防ぐための緊急的対応として、賃上げ・職場環境改善の支援を行う」としている。
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8.5%の賃上げになる改定を
厚労省が同日の分科会に示した「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題」では、人材確保に向けた処遇改善のあり方(論点①)について、「介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けて、どのような観点から検討していくべきか」などを挙げ、委員の意見を聴いた。
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質疑で、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、令和6年度介護報酬改定による処遇改善加算の賃金アップは「令和6・7年度の2年間平均で3.5%」とし、他産業との開きを説明。「令和8年度の他産業も仮に5%程度の賃上げとすると、2年間分の開きの3.5%と令和8年度の5%分を合わせて、8.5%の介護職員の賃上げになるような報酬改定が最低限必要」との考えを示した。
江澤委員はまた、「介護職員以外の処遇も極めて厳しい状況にあるので、介護事業所の全職員、すなわち介護従事者の処遇改善も行うことも不可欠」とし、「介護職員等処遇改善加算を、介護従事者処遇改善加算に見直して手厚く評価すべき」との考えを示した。
東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)も「令和6年で2.5%、令和7年で2%の賃上げを想定した介護報酬改定が行われたが、この間、令和6年・令和7年と他産業は5%以上の賃上げ、中小企業においても4%以上の賃上げがなされている状況」と指摘。「令和6年度改定の2.5%、7年度2%という数字の見込みが甘かったと言わざるを得ない」と述べた。
その上で、東委員は「他産業と遜色のない処遇改善というのであれば、令和8年度介護報酬改定を臨時で実施する場合、令和8年の1年分の賃上げではなく、令和6年・令和7年で開いてしまった全ての職種の賃金差を埋める分もそれに加える必要がある」との認識を示した。
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加算の対象拡大は現場の実態に即した対応
処遇改善加算の対象範囲(論点②)については、「介護分野の人材確保に向けた各職種の処遇改善の必要性や処遇改善加算の趣旨、事業所の事務負担の軽減と処遇改善の実効性を両立する観点」を挙げた上で、「各サービスにおける特徴を踏まえ、介護職員等処遇改善加算の対象範囲をどのように考えるか」「対象範囲を拡大する際に、その取得要件についてどのように考えるか」と意見を求めた。
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田母神裕美委員(日本看護協会常任理事)は「介護分野において医療と介護の複合的なニーズを持つ重度の要介護の利用者が増加している。看護提供体制の充実が急がれる一方で、人材確保は一層厳しさを増している」とし、介護従事者等の平均基本給等の状況に言及。「看護職員の増額の幅は専門職の中で最も少ない状況が続いている」と指摘した。
また、介護分野における職種別の離職率について「看護職員が最も高くなっている状況がある」とし、「処遇改善加算の対象を特定の職種に限定せず、看護師を含む介護分野で働く幅広い職種に拡大し、現場で働く看護職員の速やかな賃上げにつながる対応を行っていただきたい」と要望した。
小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は、「処遇改善加算は従来、主に介護職員の処遇向上を目的として運用されてきたが、現実には、看護職員、管理栄養士、生活相談員、介護支援専門員、事務職員なども介護業務を支え、サービスの質を維持する上で必要不可欠な役割を担っている」とし、「加算の対象範囲を拡大することは現場の実態に即した有効な対応である」と述べた。
2025年11月22日





