入院時食費の見直し、「大変な努力の提案」── 中医協総会で池端副会長が謝意

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2024年12月25日の中医協総会

 入院時の食費の基準について1食当たり20円引き上げる方針が示された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「現場が逼迫している状況で今回、大変な努力で、各関係者のご配慮もあって、ご提案いただいた」と謝意を表した。

 厚労省は12月25日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)総会の第601回会合を開催し、当会から池端副会長が診療側委員として出席した。

 厚労省は同日の総会に「中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定について」と題する資料を提示。①入院時の食費の基準の見直し、②歯科衛生士や歯科技工士のタスクシフト、手間への評価の見直し、③長期収載品の選定療養化や医薬品供給不安に伴う服薬指導の評価の見直し──の3項目を提案し、承認された。
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現場から悲鳴のような声が聞こえる

 入院時の食費について厚労省の担当者は「令和6年度診療報酬改定で1食当たり30円の引き上げを行ったが、食材費等の高騰は更に続いている」とし、「医療の一環として提供されるべき食事の質を確保する観点から、更に1食当たり20円引き上げる。これにより、食事療養費(Ⅰ)の(1)では、現行の670円が690円になる」と説明した。
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09_期中改定

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 質疑で、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「現場では食材費を抑えるため冷凍食品や加工食品でやりくりするなどの工夫を強いられ、新鮮な食材を使えないばかりか、光熱費等の物価高騰も経営を非常に厳しくしており、医療の質を確保することが難しい状況」と説明。「医療の質の維持・向上のために時機に即した評価」と賛同した。

 同じく診療側の太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は「病院でさまざまな対策を実施しているが、対応に限界があり、入院時の食事提供コストの上昇を許容せざるを得ない。病院の経営状況の悪化の一因」と指摘。「治療の一環として提供される食事の質を確保するためにも、食費の基準の適正な水準への引き上げは重要」と述べた。

 続いて池端副会長も同様の認識を示し、「食材費・光熱費高騰によって治療食を提供できかねないと現場から悲鳴のような声が聞こえる」と窮状を伝え、「お認めいただくことを切に願う」と支払側の理解を求めた。

【池端幸彦副会長の発言要旨】
 私も長島委員、太田委員と同じように今回の食材費を上げることに対して賛成する。両委員がおっしゃったとおり、病院では現在、食材費や光熱費等の高騰によって治療食を提供できかねないという悲鳴のような声が現場から聞こえる。
 また、委託業者も同じ状況において、人材確保が非常に難しいという。食材費・光熱費等の高騰により、値上げを要求し、それを受け入れないと契約を打ち切るような申し入れもあり、非常に困っている病院もあるようだ。
 それほど現場が逼迫している状況の中で、今回、大変なご努力で、各関係者のご配慮もあって、こういうご提案をいただいたと思う。ぜひ、お認めいただくことを切に願うとともに、ご提案に御礼を申し上げる。

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