「ベンダーにやる気があるのか」 ── オンライン確認の稼働に向け、池端副会長

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202年2月12日の医療保険部会_01

 今年4月から全国の医療機関や薬局で始まる「オンライン資格確認」に関連した導入支援サービスを担う「システムベンダー」の過大な請求が問題になった2月12日の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「ベンダーにやる気があるのか。納得できないような見積もりがある」と指摘した。

 厚生労働省は同日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第140回会合を開催し、オンライン資格確認システムの導入状況などを報告した。

 それによると、顔認証付きカードリーダーの申込数は28.5%にとどまり、6割の目標に届いていなかった。内訳を見ると、病院は38.0%、医科診療所は21.0%、歯科診療所23.3%、薬局44.6%となっている。
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【資料2】オンライン資格確認等システムの普及状況等_20210212医療保険部会_ページ_03

               2021年2月12日の医療保険部会「資料2」P2から抜粋
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見積もりの適正化をお願いしている

 申込数が伸び悩んでいる原因について、厚労省保険局医療介護連携政策課の山下護課長は「システムベンダーによる見積もりが過大になる傾向がある」と指摘。「どんな見積書が個々の医療機関に来ているのか、資料には載せていないが参考までに」と前置きして、具体的なケースを口頭で紹介した。

 それによると、診療所に対する「オンライン資格確認システム」の単価が77万9,400円。これに設定やセットアップ作業の20万円が加わり合計97万9,400円だが、「値引き」の37万9,400円が入り、差し引き60万円の見積書となっている。

 山下課長は「ちょっとさすがに、こういうのがあると、いったいこの値段というのは何なんだろう。設定に20万円かかって、一方で37万9,400円を値引きしている」と疑問を呈し、「各医療機関から問い合わせが来ている」と伝えた。

 その上で、山下課長は「システムベンダーに対し、見積もりの適正化をお願いしており、各医療機関からの相談にも応じている」と現在の対応状況を報告した。
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202年2月12日の医療保険部会_02
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何かあれば、私どもにお寄せいただきたい

 福井県医師会の会長を務めている池端副会長は質疑で、「県医師会レベルでもカードリーダーについて動画などを紹介して前向きに取り組むようアナウンスしている」と導入に向けた準備状況を報告し、「値段の差がかなりある」と指摘した。

 その上で、池端副会長は「当部会でこれまでも何度かお願いしていたが、全然改善されていない。この点もあり、医療機関も二の足を踏んでいるのが実情」とし、今後の対応について見解を求めた。

 山下課長はベンダーとの打ち合わせを進めていることを伝え、「全国をカバーしているシステムベンダーが代理店に対し、もう少しきちんとコミュニケーションをとって対応するよう指示を出していただく」と説明。「もし何かあれば、ぜひ私どもにお寄せいただきたい」と情報提供を求めた。

 この日の会合では、コロナの影響を踏まえた医療費の動向に関する報告もあった。池端副会長は、いわゆるポストコロナの患者を回復期や療養病床で受け入れた場合のデータも含めて分析するよう求めた。

 池端副会長の発言要旨は以下のとおり。

■ オンライン資格確認等システムについて
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 医療機関もぜひ導入したいと考えている。県医師会レベルでも、カードリーダーについて YouTube のいろいろな動画などを紹介して前向きに取り組むようにアナウンスしている。
 しかし、先ほど山下課長からお話があったように、ベンダーさんにやる気があるのかどうかと思う。値段の差がかなりあって、納得できないような見積もりを持って来られることがまだある。このことについて、私はこの医療保険部会で何度かお願いしており、厚労省の方々にも対応していただいていると思うが、はっきり言って、全然改善されていない。
 そのため、医療機関も二の足を踏んでいるのが実情。今後、どういう対応をしていただけて、どこまで待てば本当にそれが改善されるのか、しないのか。
 特に診療所もそうだが、病院に至ってはもう桁が違うぐらい大きな請求をされている所もあるので、その辺も含めて、ご見解をいただきたいと思う。

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【厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長】
 現在、医療機関のみが28.5%にとどまっている原因として、やはりシステムベンダーによる見積もりが過大だけではなく分かりにくいことがある。なぜ、この値段なのか、クライアントである医療機関にとってストンと落ちないということも非常に大きな原因ではないかと考えている。
 このため、医療関係団体の皆さまから、もしくは個別にいろいろと見積書の写しを頂き、どこから、どんな値段を請求され、またその内訳がいくらなのかを聞いている。それを受けて厚労省の医療介護連携政策課としては個々のシステムベンダーさんとの打ち合わせをさせていただいている。そこでは、値段について、単に「下げてほしい」ということだけではなく、きちんとした値段であること、例えば原価としていくらなのかを求めている。
 先ほど申し上げたように、設定・セットアップ作業などで20万円。その20万円が高いとか安いとかではなく、「20万円」で終わりにせずに、例えば何人の方が作業に携わって、それが1人当たりの時給でいくらなのか、そして何時間かかるのか、そういったことをちゃんと示さない限り、単に「20万円よろしく」と言われても、それは納得いかないだろうと思っているので、そういう点をお話しさせていただいている。
 そうした中で、「見積書がおかしいじゃないか」と言ってきた医療機関に限らず、会社として、全国をカバーしているシステムベンダーさんなどは代理店に対してこうした指摘を踏まえて、もう少しきちんとコミュニケーションをとって対応するようにという指示を出していただく。
 それにより、各医療機関との間でシステム改修について契約が実現しているという例も聞いているので、1つひとつやっていくしかないと考えている。もし、病院のほうでも何かそういうことがあれば、ぜひ私どものほうにご連絡いただければと思っている。

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■ コロナの影響に関するデータについて
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 感染の影響による経営状況は少し回復の兆しも見られるが、私自身の感覚で現状を見ると、やはり疾病構造そのものが大きく変わっていることも原因ではないかと思う。
 具体的に言うと、インフルエンザは全国的にあまり流行していないが、小児科や耳鼻科の診療所などの経営状況はかなり厳しい状況が今後も続くと思われる。さらに悪化する恐れもあるので、この辺りも十分注意して見ていただきたい。
 また、高度急性期病院はコロナ患者を受け入れて逼迫した状況になっているが、一方で、それを少しでも防ぐために、いわゆる回復期や療養病床でポストコロナの患者を受け入れており、さまざまな医療保険上の対策も取られている。その影響がどうなっているのか、統計的な評価ができればいいと思う。
 そこで、もし可能であれば、急性期と回復期あるいは療養などで、どういう収支状況になっているのかというデータもお示しいただきたい。そうしたデータがあればいろいろイメージできる思うので、もし可能であれば、次回以降に示していただければありがたい。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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