高齢者医薬品の指針、「国民の理解が非常に大事」 ── 厚労省検討会で池端副会長

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池端副会長_20199125

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は1月25日、「高齢者の医薬品適正使用の指針」の各論編をまとめた厚生労働省の検討会で、「国民や患者さんの理解が非常に大事で、いかに平易に伝えていくかを強調させていただいた」と述べ、同指針の内容を国民や患者に普及・啓発していく必要性を指摘しました。

 厚労省は同日、「高齢者医薬品適正使用検討会」(座長=印南一路・慶應義塾大総合政策学部教授)の第9回会合を開き、当協会からは池端副会長が構成員として出席しました。

 厚労省は1月16日の「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ」(WG、主査=秋下雅弘・日本老年医学会副理事長、東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授)で同指針を大筋でまとめ、親会議である今回の検討会に示しました。

 懸案となっていた副題については、16日のワーキンググループで池端副会長が提案した「各論編(療養環境別)」に決定しました。また、別添の「事例集」には、池端副会長らの提案を踏まえて前文が付けられました。「本事例集は、各療養環境における処方見直しについて、実例を基に、特定の個人を識別することができないように加工した」「多職種の勉強会等の資材としても活用いただきたい」としています。

 指針本体は全31ページで、「はじめに」「第1~3部」「おわりに」という構成。参考文献として、日本慢性期医療協会の「療養病床における薬剤使用に関するアンケート集計結果まとめ」や、地域包括ケア病棟協会(会長=仲井培雄・芳珠記念病院理事長)の「平成30年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査」などが挙げられています。

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第9回高齢者医薬品適正使用検討会_20190125

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指針をいかに平易に伝えていくかが重要

 指針の最後の項目である「おわりに」では、▼患者・国民への啓発の重要性、▼平易で丁寧な説明と注意喚起、▼患者・家族の意向を尊重──という3つの見出しを付けて整理しています。

 このうち「患者・国民への啓発の重要性」では、 「医療関係者がポリファーマシーに取り組んでも、患者と家族を含む一般の方の理解と協力がなければポリファーマシーの解消にはつながらない」とし、「一般の方は本指針の利用対象ではないものの、本指針の基本的内容を患者・国民に啓発していくことが何より重要である」としています。

 「平易で丁寧な説明と注意喚起」では、「自己判断による減薬や中止の危険性に関して注意喚起を行うとともに、服薬状況を医師、歯科医師、薬剤師に正しく伝えることの重要性についても患者・家族に繰り返し理解を求める必要がある」と指摘しました。

 「患者・家族の意向を尊重」では、「薬物療法およびその適正化は患者・家族の意向を尊重して行わなければならない」と強調した上で、「意向を直接確認することはもとより、CGA等で得られる生活状況や生活機能、日常の訴えや意見などの情報から患者・家族の意向を推測することが求められる。また、患者・家族の意思決定支援のためにもACPの考え方と手法を積極的に取り入れることも推奨される」としています。

 ワーキンググループの議論にも参加した池端副会長は、「『おわりに』では非常に重要な点を挙げさせていただいた」と指摘した上で、「国民や患者さんへの普及啓発などをしっかり進めるためには、専門職だけではなく国民や患者さんの理解が非常に大事で、指針の内容をいかに平易に伝えていくかが重要だと思う」とコメントしました。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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