「データベースの時代になってきた」 ── 医療保険部会で武久会長

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は12月6日、「オンライン資格確認等システム」の検討状況などが報告された厚生労働省の会議で、「時代がどんどん変わってきて、すべてのデータが集約されるデータベースの時代になってきた」との認識を示した上で、フレイルの予防や治療の標準化などに向けて「個人の医療に関する情報もデータ化されて明らかになっていく」と今後の展開に期待を込めました。
厚労省は同日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第116回会合を開き、当協会からは池端幸彦委員(日慢協副会長)の代理として武久会長が参考人として出席しました。
この日の主な議題は、①医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議における検討状況、②高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議における検討状況、③オンライン資格確認等システムの検討状況──の3項目です。
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このうち②③の議題に関連して、武久会長は次のように述べました。
「時代がどんどん変わってきて、すべてのデータが集約されるデータベースを用いる時代になってきた。マイナンバーができてから、国民一人ひとりの収入の把握も非常に精密になってきている。国民個人のいろいろなデータがすべてオンライン化されていく。データの保全ということでは、特に健康状態に関するデータが大事であると思う。個人情報の取り扱いに関しては、十分に気を付けていただきたい。
本日の資料2「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議における検討状況」を見ると、フレイルが出てきている。フレイルは、まず健診データなり、個人の検査データの異常の始まりとも言える。
実は、フレイルに陥っていない人でも感染症や外傷で入院することによって、主病は治ってもフレイルになってしまう場合が多く見られる。われわれ医療現場では、このようなフレイルをなくしていく努力をしなければいけない。保健指導になった場合には、健診データだけではなく血液データまですべてDPC等で捕捉される状況になってくる。そうすると、医療費の無駄遣いなど、医療保険に関して治療内容もすべて公になる。
私は医療の現場で、一時的につくられるフレイルは決して許されるものではないと思っている。オンライン資格確認に関連した意見として、こうしたフレイルをなくしていきたいと思っていることを述べたい。
ただ、地域差などもいろいろあるし、治療の標準化ということにも関係してくる。医療保険に関する情報はこれからいろいろとデータ化されて明らかになっていく。オンライン資格確認を含めて、世の中が変わっていく。医療の現場の立場からコメントをさせていただいた」
(取材・執筆=新井裕充)

2018年12月7日