「第3回療養病床の在り方等に関する特別部会」 出席のご報告

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「第3回療養病床の在り方等に関する特別部会」 出席のご報告

 平成28年10月5日、「第3回療養病床の在り方等に関する特別部会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

・療養病床の在り方等に関する検討について

◇武久洋三会長の発言
 11年前に郵政解散があり、当時の経済財政諮問会議の議論で、介護療養病床制度や特定療養費制度の廃止などが決められた。療養病床を10万床以上減らす方向性が打ち出されたのも、記憶に新しいと思う。そうした議論の際、医療療養病床を減らしても、転換して介護療養病床にシフトされてしまえば、今度は介護保険料がふくれ上がることになる。それならば、介護療養病床を廃止にしてしまおうという議論が出た。介護療養病床廃止の議論はここから始まっている。これまで介護療養病床廃止の経過措置の期間は延長されてきたが、平成30年度末には切れてしまう。
介護療養病床とよく似た病床として、障害者病棟と特殊疾患病棟がある。介護療養病床の患者は医療区分1に該当する人が多いが、障害者病棟の患者も70%近くが医療区分1相当である。要介護度でいえば、要介護4~5くらいに相当する。
 現状として、特養でターミナルをみるのが良いかどうかは何とも言えないが、100人の利用者に対して看護師が3~4人しかおらず、加えて夜間帯は不在となれば、現実問題として特養でターミナルの対応が可能であるとは言いがたい。この観点から言えば、現状の介護療養病床は看取りの機能を果たしていると断言できる。
 つまり、介護療養病床のみにフォーカスを当てた議論を進めるのではなく、急性期も慢性期もともに転換点にあり、将来に向けて変えていくのだという意識を持ち、議論を進めなくては、立ち行かなくなってきている。

 本部会には、非常にたくさんの委員が様々な立場から参加されている。しかし、12月には何らかのとりまとめが必要だというのに、残りの開催回数はわずかである。それを踏まえ、新類型について具体的な提案を申し上げたいと思う。
 まず面積であるが、広さは療養病床からの転換ということを考え、一人当たり面積6.4㎡でも可としていただかないと、老健施設の一人当たり面積8㎡と整合性が取りにくくなるだろう。特養の一人当たり面積は10.65㎡なので、特養よりもハード面で安い設定が可能になるだろう。また、院内に設置すれば、すぐ近くには医師や看護師がいる。そうした安心感も含めた上での制度として設定してはどうだろうか。人員配置については、院内には当然医師がいることをふまえると、専従ではなく兼任という形で考えられるのではないかと思う。
 当協会では、平成22年度老人保健推進費等補助金事業で、介護療養型老人保健施設の調査を行った。その当時、転換老健は、転換したばかりということで重症者が非常に多かった。流動食や経管栄養の必要な入所者が40%超いたのだが、協会が昨年同じ調査をしたところ、従来の老健よりも軽い状態の方が多いという結果になっていた。介護療養病床には重症な患者がいるが、それが施設に転換したとしても、重症の方は自然に他の病棟に移るだろうし、要介護度は重いけれど医療の必要が少ない人についても、自然に調整されていくのではないかと思う。
 低所得者についてだが、特養はユニットであれば月に十数万円かかるなど、あまりに高額になっている。療養病床だと金額が安いので、そこに集まってしまうというのは事実としてある。そこを、一人当たり面積6.4㎡のまま人員配置も施設並みにして、院内スタッフに対応してもらうということで院内施設とすれば、低所得者対策の観点からもかなり有効なのではないか。
 現在、介護療養病床で頑張っている病院は多いが、2年から最大6年程度を経過措置としてみてもらえれば、その間に対応を進めていけるのではないか。他産業の集合離散はめまぐるしく、医療のみがスローペースで許されるわけにもいかないことは肌で感じている。
 急性期病床についても、平成26年に特定除外制度が廃止になり、病床数をしぼっていく方向で進み続けている。それを踏まえてもやはり大きな転換点にさしかかっている。現場からの具体的な提案をおりこみ、進めていただければと思う。

○第3回療養病床の在り方に関する特別部会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000139022.html
 

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