「地域包括期」を提唱 ── 4月9日の記者会見

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記者会見20150409

 日本慢性期医療協会は4月9日、定例の記者会見を開催しました。武久洋三会長は病床機能報告制度における4つの機能区分について、「急性期」「地域包括期」「慢性期」──の3区分にすることを提唱したほか、次期改定に向けて「障害・特殊疾患病棟」のあり方についても意見を述べ、「一般病床と療養病床との垣根を取り払い、療養病床からも算定できるように要望していきたい」との意向を示しました。
 
 同日の会見には、武久会長のほか松谷之義副会長、富家隆樹常任理事、橋本康子常任理事が出席。松谷副会長は、今月16日から3日間にわたり大阪市内で開催される「慢性期医療展2015」の概要を紹介し、「地域包括ケアシステムを具現化した内容を多く盛り込んでいる。ぜひ多くのご参加を」と呼びかけました。
 
 富家常任理事は、「看護師特定行為研修講座」の開設に向けて準備を進めている状況を報告。在宅医療の推進を図るうえで看護師の特定行為をさらに充実していく必要性を語りました。富家常任理事は「指導者の育成も進めていかなければいけない」と指摘し、特定行為に関する指導者研修も進めていく方針を示しました。 
 
 橋本常任理事は、先月14、15日に横浜市内で開催された「第2回慢性期リハビリテーション学会」を振り返り、慢性期におけるリハビリテーションの重要性や必要性をさらに広げていきたいとの考えを示しました。橋本常任理事は、第2回慢性期リハビリテーション学会の学会長を務めました。
 
 以下、会見での発言要旨をお伝えいたします。
 

■ 平成27年度介護報酬改定への対応
 
[武久会長]
 本日は、私どもから7つの項目についてお話ししたい。最後に、「慢性期医療展2015」について松谷副会長からお伝えする。まず、平成27年度介護報酬改定への対応について述べる。いよいよ4月から新しい報酬でスタートする。その中で特に介護療養型医療施設について、われわれのスタンスをお示ししたい。

 今改定では、介護療養型医療施設について「機能強化型A」「機能強化型B」「その他」──に分かれた。当協会でアンケート調査を実施したところ、Aを目指す施設が約半分、Bを目指す施設は3割程度。医療療養に移行する施設が10数パーセントにとどまり、医療療養へのシフトは意外に少なかった。

介護療養型医療施設の今後の運営に関するアンケート結果
 
 「機能強化型A」「機能強化型B」は、かなりハードルが高い基準となっている。これはいわば「先取り」であるといえる。今まで介護療養型医療施設はどちらかといえば要介護度を重視しており、医療の状態をさほど斟酌していない。しかし今後、急性期病床の絞り込みが進むと、重度の患者さんが介護療養型医療施設にも入ってくる。今回の「機能強化型」はそうした流れを見据えて先取りしたものであると考えている。

 日慢協の会員病院の中でも、この「機能強化型A」「機能強化型B」を取れる施設は少ない。「その他」の区分では、月5%近い減収になることは間違いないので、介護療養型医療施設として存続するためには、「機能強化型A」を取る必要があると認識している。

 アンケート調査の自由回答を見ると、介護療養型医療施設に対する愛着が強く感じられる。このため、全国に6万床以上ある介護療養病床が急激に3万床ぐらいに減ることは考えにくい。徐々に減少し、医療療養に移行する施設もあるとは思うが、平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定までに3万床程度に減少することを懸念している。

 医療療養の20対1は在宅復帰型ととらえられている面があるので、後遺症の強い患者さんを最期までみる介護療養型の機能がやはり必要となる。従って、「介護療養型医療施設」という名前がどう変わろうと、こうした機能を持つ病床が存続することは間違いないと思っている。

 一方、デイケアについては、デイサービスと差別化するためにリハビリテーションに対するマネジメント加算などが付いたが、1年間の実績が必要なため来年にならないと算定できない項目も多くある。従って、デイケアについては確実に減収となる。

 この点、日慢協の会員病院は介護老人保健施設や特別養護老人ホームも運営しており、特別養護老人ホームはマイナスになっていない。ユニットケアがプラスの所も数多くある。すなわち、介護老人保健施設や介護療養型医療施設は「強化型」を算定できても現状より減収になるという厳しい状況にある。しかし、デイケアとデイサービスとの違いを明確にした点は評価できるので、われわれも協力して、デイケアを正しい姿に導いていくように努めていきたい。
 

■ 「看護師特定行為研修講座」の開設
 
[富家常任理事]
 看護師の特定行為研修に関する省令が3月に公布された。今後、看護師による特定行為が可能になるが、研修を受ける必要がある。この研修が今年10月からスタートするため、当協会も指定研修機関になるべく、「看護師特定行為研修講座」の開設に向けて準備を進めている。特定行為21項目のうち、慢性期の医療機関に必要な7項目について研修を進めていきたいと考えている。

 そもそも看護師の特定行為は、2025年に向けて在宅医療等への推進をさらに図っていくための資格であるとも言える。医師らの具体的な指示を待たずに、「手順書」という包括的な指示の下に一定の診療の補助を行うことができる。

 こうした中で、指導者の育成も進めていかなければいけない。そこで当協会では、特定行為に関する指導者研修も並行して進めていく。指定研修機関になるべく、指導者研修の申請も本日提出した。これらにより、指導者の育成も図りながら特定行為の研修も進めていく予定となっている。
 

■ 「地域包括期」の提唱
 
[武久会長]
 地域医療構想の策定に関するガイドラインは、厚労省の検討会で侃々諤々の議論がなされ、3月に一応の決着をみた。私はこのガイドライン検討会に委員として出席しており、3月18日の第9回会合で「地域包括ケア病棟はどの機能区分に入るのか」と質問した。これに厚労省の担当者は「地域包括ケア病棟でどのような患者様を診ておられるかというところにも関係すると思うので、今ここでどちらかということは事務局としても申し上げられないという状況」と述べた。すなわち、「急性期に入る場合もあるし、回復期、慢性期に入る場合もある」という曖昧な回答だった。

 厚労省が示した病床機能報告制度に基づく報告状況によると、「高度急性期」と「急性期」の報告が合わせて6割以上となっており、「回復期」が非常に少ない。では、「回復期」で報告したのはどのような病院か。私は、回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟を持っている病院が「回復期」で報告しているのではないかと考えている。

病床機能報告制度の行方
 
 では、「高度急性期」と「急性期」はどのような病院か。われわれの考えを図でお示しする。厚労省は「特定急性期」「高度急性期」「広域急性期」の3つを今後は「急性期」として認定しようと考えているのではないかと思う。そして、「急性期」に続く区分が「地域包括期」であり、ここには「地域急性期」「回復期リハ」「慢性期在宅復帰型の一部」が含まれることになるだろう。

 最終的には、①急性期、②地域包括期、③慢性期──の3区分に統一されるだろうと考えている。このため日慢協としては、「地域急性期」と「回復期」を統合した「地域包括期」を提唱していきたい。病床機能は3つにしたほうが分かりやすいと思われる。
 

■ 日慢協支部の設立状況
 
[武久会長]
 現在、日慢協の支部が全国に広がっている。今後、ますます支部を増やしていきたいと考えている。このことは、次にお話しする「地域医療構想調整会議への参加」にも関連している。
 

■ 地域医療構想調整会議への参加
 
[武久会長]
 厚労省の地域医療構想策定等に関する検討会では、都道府県ごとの協議の場である「地域医療構想調整会議」の参加者をめぐる議論があった。私は、病床機能を代表するような病院関係者がこの調整会議には参加すべきであると考えている。

 すなわち、「病院団体の代表者」というよりもむしろ、慢性期機能については慢性期病院の代表者が参加し、急性期機能については急性期病院の代表者が参加すべきであり、そのような運営が全国で進むことが望ましいと思っている。日慢協としても、この調整会議に積極的に参加すべく各都道府県支部の先生方にご尽力いただき、県の担当者に働きかけていきたい。
 

■ 障害・特殊疾患病棟は「超慢性期」
 
[武久会長]
 資料1と2をご覧いただきたい。資料1は今年3月4日の中医協総会で示されたもので、資料2はそれを参考に作成した。現在、障害・特殊疾患病棟は一般病床のみからの算定となっているが、私は療養病床からも算定できるようにすべきと主張したい。

【資料1】
会見資料1
 
【資料2】
資料2

 現在、回復期リハビリテーションと地域包括ケア病棟は一般病床からも療養病床からも移行できる。とすれば当然、障害・特殊疾患病棟も一般病床と療養病床の双方から算定すべきと考える。一般病床と療養病床との垣根を取り払い、療養病床からも算定できるように要望していきたい。

 障害・特殊疾患病棟は「超慢性期」であり、長期にわたる療養が必要であるにもかかわらず、4.3㎡の狭くて汚い療養環境で何年も過ごすということが許されるはずがない。障害・特殊疾患病棟は「超慢性期」であることを改めて主張したい。

 前回、前々回の診療報酬改定の方向性として、特殊疾患病棟がなくなるということが示唆されている。しかし、すべての病棟に在宅復帰を求めることは困難である。どうしても在宅復帰できない患者さんがいる。そういう患者さんに対しては、先ほどお示しした区分の「重度長期慢性期型」として「重度長期慢性期病棟」を新設し、障害・特殊疾患病棟をそこに含めていくことを提案していきたい。
 

■ 第2回慢性期リハビリテーション学会の開催報告
 
[橋本常任理事]
 3月14、15日、横浜市内のパシフィコ横浜で、第2回慢性期リハビリテーション学会を開催し、学会長を務めさせていただいた。2回目の開催ながら約300の演題数が集まり、1,000人近くの参加があった。昨年、慢性期リハビリテーション協会が発足し、今年で2年目を迎える。当協会の存在が、リハビリ関係者の間で徐々に浸透してきた印象を受ける。

 シンポジウムでは、地域包括ケアを支えるリハビリテーションや、栄養とリハビリテーションなど、多彩なシンポジウムが開かれた。これまでのリハビリテーションから脱却し、新しいリハビリテーションを目指そうということで、「慢性期」という概念を踏まえながら、きちんとリハビリテーションをやっていきたいとの思いで開催した。

 学会後、参加者のアンケート結果を拝見したところ、「日本の医療の中で最も大事な分野なので今後も広めていってほしい」といった意見が数多く寄せられていた。第3回学会は来年2月27(士)、28(日)の2日間、神戸国際会議場で開催される。慢性期におけるリハビリテーションの重要性や必要性を感じていただいているので、今後も参加者がますます増えていくことを期待している。
 

■「慢性期医療展2015」について
 
[松谷副会長]
 「慢性期医療展2015」の実行委員長を務めている。慢性期医療展は今回で5回目を迎える。4月16~18日の3日間、大阪市の「インテックス大阪」で開催される。従来から「バリアフリー展」というものがあって、慢性期医療展がこれに合流したという経緯がある。多くの病院団体があるが、この慢性期医療展のように病院団体が自ら運営する展覧会は他にないと思われる。

 昨年の慢性期医療展とバリアフリー展の合同開催には、10万人を超える来場者があり、西日本では最大規模の展覧会となった。介護・医療・福祉の関係者だけではなく、自治体関係者の方々にも多く参加していただき、多くの病院がブースを出した。

 多くの患者さんにとって、病院のイメージはあまり具体的ではないかもしれない。手術をしたり、薬の処方をしたりする施設であるというイメージはあるが、もっと具体的に何をしているのかを知っていただき、病院への期待が少しでも高まってほしい。こうした思いから、病院自体も出展し様々な取り組みを紹介している。

 昨年の展覧会で最もうれしかったことは、医療や介護、福祉の利用者が非常に多く参加してくれたこと。松葉づえや車いすで参加し、福祉関係のブースで介護ロボットに触れ、未来に向けた期待を抱いてもらえた光景は他に類を見ないものであった。

 昨年は、慢性期医療展とバリアフリー展をあわせると、400社が1,100ブースを出す非常に大きな展覧会となったが、単に福祉用具などを展示してある会ではなく、提供側と利用者側が一同に会するセミナーなどを100セッション以上も開催した。目指す方向もきちんと設定し、昨年はサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に焦点を当てた。例えば、サ高住を建てている民間企業の思いや、病院の立場、利用者の立場など様々な角度からサ高住を考え、一般市民の方々に分かりやすいセミナーを開催した。

 私たちが目指す方向は地域包括ケアシステムの構築であるので、地域包括ケアシステムについて多くの一般市民の方々に理解していただけるよう、地域包括ケアシステムを具現化した内容を多く盛り込んでいる。ぜひ、多くのご参加をお待ちしている。多くの参加者の声を聴くことによって、私たちは利用者が何を求めているかを知ることができる。これは今後の医療・介護・福祉を展開していくうえで欠かせない。ぜひ、ご参加いただけたら非常にありがたい。よろしくお願いいたします。
 

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