医療経済実態調査、「回答率を上げるために努力」── 中医協小委で池端副会長

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2024年12月4日の調査実施小委員会

 令和8年度診療報酬改定の基礎資料となる「第25回医療経済実態調査」の主な対応案が示された厚生労働省の会合で、保険者の代表から「賃上げに係る項目について詳細な調査を行わないことは大変遺憾」との意見があった。日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「医療従事者に行き渡っているかを確認する項目で十分担保できるので問題ない」と厚労省案を支持した上で、「病院団体としても回答率を上げるために、しっかり努力する」と述べた。

 厚労省は12月4日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)の薬価専門部会と調査実施小委員会を開催し、当会から池端幸彦副会長が調査実施小委員会に出席した。

 最初に開かれた薬価専門部会では、「平均乖離率約5.2%」などの調査結果を踏まえ、令和7年度薬価改定に関する論点が示された。次回の部会で関係業界からのヒアリングを実施する予定。
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賃上げ、「しっかり調査・検証すべき」と支払側

 続く調査実施小委員会では、診療報酬改定にあわせて2年に1度実施される「医療経済実態調査」の設計について議論。前回11月6日の小委で出された意見などを踏まえて修正された7項目の対応案は全て了承されたが、「賃上げに係る項目」について議論があった。
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08_主な論点

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 質疑で、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「前回の改定で非常に大きな論点にもなっており、しっかり調査・検証すべき事項であるにもかかわらず、回答への負担というのが主な理由で、詳細な調査を行わないことは大変遺憾」との認識を示した。

 その上で、松本委員は「事務局には、ベースアップ評価料に伴う実績報告や、ほかのデータを組み合わせて可能な限り詳細な分析を要望する」とし、医療法人の経営情報データベース(MCDB)の活用に言及。「MCDBのほうが実態調査の標本数を上回っている。将来的な活用の可能性について、事務局においては具体的な検討をぜひ進めていただきたい」と述べた。同様の意見が他の支払側委員や公益委員から相次いだ。

 池端副会長は以下のように述べ、理解を求めた。厚労省の担当者は、「MCDBは今後、初めて詳細な集計・分析が行われる。さまざまなデータを確認した上で、今後の取扱いについて検討を進めていきたい」と説明した。

【池端幸彦副会長】
 私も今回の対応案については特に異論はない。ベースアップ評価料の評価について意見があったが、これは既に診療報酬を算定する段階で、年度末にきちんと医療従事者に行き渡っているかどうかを確認する項目があるので、そこで十分担保できるのではないかということで、この実調からは外していただいても問題ないかと思っている。
 一方、病院団体としても回答率を上げるために、しっかり努力することをここでお約束させていただきたいと思う。

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【厚労省担当者】
 賃上げの状況について、ご意見をいただいた。われわれとしても、今後、ベースアップ評価料については、実績報告書などを踏まえ、今後、その状況の把握に努めていきたいと思っている。MCDBの活用については、先ほど私からも申し上げたとおり、今後、初めて詳細な集計・分析が行われるということもある。その際に、さまざまなデータが出てくると思うので、そうしたものも私どものほうでも確認した上で、今後の取扱いについて検討を進めていきたいと考えている。
 また、調査票そのものについては、今日いただいたご意見を踏まえて、また次回、具体的な調査票案として、お出しできるように作業を進めたいと思っている。

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