処遇改善の税額控除、「わからない事業所も」── 介護給付費分科会で田中常任理事

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 介護職員の処遇に関する調査案が示された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は処遇改善の税額控除について「事務的な知識がないと理解が難しい側面があるため、制度の適応の有無が『わからない』という事業所もあるのではないか」と指摘し、回答選択肢の見直しを提案した。

 厚生労働省は7月31日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第241回会合を持ち回り形式で開催し、各委員から提出された意見を8月1日にホームページ上で公表した。

 今回の議題は、令和6年度介護従事者処遇状況等調査の実施について。前回調査からの変更点などを示した実施案の概要(資料1)のほか、調査票(資料2)が示されている。

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加算の一本化を踏まえた見直し

 この調査は今年10月に実施し、結果は来年3月頃にまとまる予定。調査項目は「介護職員等処遇改善加算(新加算)の届出状況」などで、従事者票では「令和5年9月及び令和6年9月の給与額等を調査」としている。
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01スライド_資料1のP2

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 調査項目等の変更について、今回の調査では「令和6年度介護報酬改定における『介護職員等処遇改善加算』への一本化を踏まえた調査項目の見直しを行う」とした上で、前回調査との比較表を示した。
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02スライド_資料1のP3

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 前回調査からの主な変更点は、コロナの影響に関する項目を削除するほか、給与等の調査項目を修正。令和6年度におけるベースアップや令和6年度の賃上げ促進税制の適用見込みなどを把握するための項目を追加する。
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03スライド_資料1のP4

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知識がないと理解が難しい

 給与等の状況に関する調査票では、「介護従事者の給与等の引き上げに伴う令和6年度の賃上げ促進税制の適用有無について、該当する番号に○をつけてください」との問いに対し、5つの選択肢が用意されている。
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04スライド_資料2のP2抜粋

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 提出意見によると、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は選択肢2について「赤字の事業所も多くあることから、適用を受けることができない場合も多いと思われます。適用を受けない理由についても、調査すべきと考えます」と指摘。その上で、「介護職員等処遇改善加算(新加算)に移行した場合に、これまでの加算の対象職種や配分方法にどのような変化が生じた(工夫を行った)かについての実状も把握した方が望ましい」としている。

 東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「そもそもこの『賃上げ促進税制』の制度の詳細を理解している方も少なく、回答の選択肢にある『対象』『対象外』なのかも分からない方が多いと思われますので、ここでは、『知っている』のか『知らない』のかの2択で、その認識を問う設問で十分だと思います」との意見を提出している。

 田中常任理事は「処遇改善の税額控除について、そもそも事務的な知識がないと理解が難しい側面がある」と指摘。選択肢5(未定)について、「わかりやすく分けて評価してはどうか」と提案した。

【田中志子常任理事の意見】
調査票ページ2 問1(5)の処遇改善の税額控除について、そもそも事務的な知識がないと理解が難しい側面があるため、制度の適応の有無が「わからない」という事業所もあるのではないか。訪問看護や訪問介護の小規模な事業所では、格安請求ソフト、会計ソフトなどを組み合わせて使っていることも多く、税理士からそういった情報やアドバイスが入る場合があるとは考えにくい。したがって、回答の選択肢の「未定」を「そもそも制度が煩雑で理解・対応できない」「制度の理解はあるが未定」などわかりやすく分けて評価してはどうかと考えます。

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