厚生労働省 宮島俊彦老健局長との懇談

協会の活動等

 去る平成24年1月25日午後、正に平成24年度介護報酬改定が諮問された直後に、当協会武久洋三会長以下、役員計9名が揃い踏みで、新年のご挨拶を兼ねて、厚労省宮島俊彦老健局長を表敬訪問させて頂き、局長室横の専用会議室で快くお迎え頂いた。

 まず武久会長が口火を切る形で、新年のご挨拶と今回の介護報酬改定が無事諮問された事に関してご慰労の言葉を申し上げた後、今後の慢性期医療の在り方等に関して、協会の方針とあわせて資料をもとに宮島局長にご説明させて頂いた。

 実は今回の懇談は、先のメディファックス等でも報道されご存じの方も多いかと思われるが、同紙の年頭インタビュー記事の中で、「地域包括ケアシステムの理想像とはどのようなものですか?」との問に対して、「個人的には、急性期以外の病院はなくなるのが理想と思っている。」との同局長の発言を受けて急遽申し込まれたものであり、その懇談の中身に関しては役員一同かなり注目をしていたのである。

 非常に物腰は柔らかながら、局長の慢性期医療に対する偏見を払拭しようと、いつになく武久会長の発言は熱のこもったものになった。そして時折相づちを打ちながら最後まで傾聴して頂いた後の同局長の発言には、役員一同固唾を飲んで聞き入っていたことは言うまでもない。

 その局長のご発言の主旨としては、武久会長のLTAC(長期急性期病床)を中心にした慢性期医療に対する考え方には、名称の是非はともかくその概念については一定の理解をお示して頂いた上で、今後の介護保険3施設のうち、老健については常勤医師の必要性を疑問視し、究極的には医療は外付けにせざるを得ないのではないかと、老健・特養の一元化方針(!?)とも言われかねない爆弾発言も飛び出した。更に特養については、終の棲家を目指さざるを得ないのであれば、地方と都会の違いはあるものの、やはりユニット型が主流にならざるを得ないことを改めて強調された。一方で最も注目された介護療養型医療施設の役割については、身体疾患合併症を伴う認知症患者の治療や癌末期を含む看取り機能等があることに、局長から異議は唱えなかったことは、特筆すべきことと思われた。

 また当会が本年から掲げた、長期急性期病床の概念や、在宅支援、ターミナルケア、回復期、身体疾患合併の認知症患者治療機能などの役割を明確にした、『2012 日本慢性期医療協会宣言』については熱いエールを送って頂き、出来るところから是非実践していって欲しいとの希望が添えられたことに、我々も意を強くしたところであった。

 さすがに、先のインタビュー記事の急性期一辺倒とも言える発言の主旨がどこにあったのかを深く追及することは控えたが、少なくとも慢性期医療に上記の機能が必要であることに関しては局長にも一定のご理解を頂いた感があり、一同胸をなで下ろして局長室を後にした。今後もことある毎に粘り強く厚労省高官等にアプローチして、「良質な慢性期医療がなければ、日本の医療は成り立たない」を合い言葉に、次期診療報酬改定に向けても最後の頑張りが重要と感じつつ、厚労省を後にした。以上、簡単にご報告させて頂いた。(文責:日本慢性期医療協会事務局長 池端幸彦)
 

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