「世界に冠たる日本モデルの構築を」  川渕教授

協会の活動等

川渕孝一教授

 東京医科歯科大大学院の川渕孝一教授は1月12日、今年最初となる日本慢性期医療協会(武久洋三会長)の役員勉強会で、「これからの慢性期医療に望むこと」と題して講演しました。

 川渕教授は、「慢性期医療に望むこと」として、▽世界に冠たる日本モデルの構築、▽限られた財源の中で量的確保と質的充実、▽求められる「日本の慢性期医療に合ったケース・ミックス」の開発──の3点を挙げました。

 その上で、北欧やアジアの医療事情などを紹介しながら、日本独自の医療・介護体制を構築する必要性に言及、「ホスピタリティーや教育システムなどの日本モデルは輸出できるのではないか」と述べました。

 また、長期入院の問題点については、「長期療養患者の属性を反映した包括支払方式を早急に導入する必要がある」とした上で、「どの部分までが医療でどの部分から介護という線引きはなかなか難しいが、仮に将来的にわが国の病院を急性期病床と慢性期・長期療養病床に分離するには、それぞれの病床と入院患者の属性とがうまくマッチするケース・ミックスを開発することが急務になるだろう」と改めて指摘しました。

 これは川渕教授が1997年に著した「DRG/PPSの全貌と問題点」の第8章で述べた内容で、「あれから15年経っても変わっていない」と苦言を呈し、長期療養における患者類型・アセスメントの重要性を指摘。患者の依存度に着目して5つの類型に分けるPDG(Patient Dependency Group)のようなシステムを療養型病床群などの評価・測定にいかに結びつけていくかが今後の大きな課題であると結びました。
 

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