療養病棟、「バタバタ倒れてしまう」 ── 入院分科会で池端副会長

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池端幸彦委員(日慢協副会長)_20190607入院医療分科会

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は6月7日、入院医療に関する調査結果が示された厚生労働省の会議で「療養病棟入院料2」の要件に言及しながら、「いきなり現行5割の医療区分2・3の基準を上げたりすると、やっと今、経過措置から上がれたのが、次のステップには進めず、バタバタ倒れてしまうことになりかねない」と危惧し、慎重な対応を求めました。今回の調査によると、重症患者の割合が基準を大きくクリアする結果となっています。

 厚労省は同日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の今年度第2回会合を開き、「2018年度調査結果(速報)」を示しました。

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20190607_入院医療分科会1
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 それによると、療養病棟に入院している重症患者(医療区分2・3)の割合は、改定前の2017年度調査時よりも増加していました。
 
 この結果について厚労省は「区分2・3の患者は、療養病棟入院料1では全体のおよそ9割、療養病棟入院料2では全体のおよそ7割を占めた」とまとめています。

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59_2018年度調査結果(速報)

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新療養2、「人件費が持ち出しとなっている」

 
 2018年度改定では、「療養病棟入院基本料」(旧療養)が再編・統合され、「療養病棟入院料」(新療養)の1と2はいずれも看護職員の配置要件が20対1となりました。
 
 看護職員の配置が25対1の「療養病棟入院基本料2」(旧療養2)は「経過措置1」となり、1割減算となっています。

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51_2018年度調査結果(速報)

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 質疑で、池端幸副会長は「旧(療養)と新(療養)とを比べると、点数は同じ」と確認した上で、「新療養2では、実は人件費が持ち出しとなっている。このことをまず、ご理解いただきたい」と指摘しました。

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新療養2、「かなり厳しく、やっとクリアしている」

 
 続いて池端副会長は、新療養2では「医療区分2・3の患者が全体の約7割を占めた」という調査結果に言及。「5割を十分にクリアしているから、次の改定では6割でいい、7割でいいという議論にはしてほしくないということを強調したい」と理解を求めました。

 今回の調査では、新療養2の病棟における医療区分2・3の分布について「70%以上80%未満が最も多かった」との結果も示されています。

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60_2018年度調査結果(速報)

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 これについて池端副会長は「(新療養)2に関しては、正規分布していない」と指摘。「かなり厳しく、やっとクリアしている所もある。頑張って次は(新療養)1にしようという所もある」と現状を説明しました。
 
 その上で、池端副会長は「これをいきなり現行の医療区分2・3が5割の基準を上げるような議論になってしまうと、やっと今、経過措置からここに上がれたのが、次のステップには進めず、バタバタ倒れてしまうということになりかねないので、ぜひ、そういう見方で見ていただきたい」と理解を求めました。

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20190607_入院医療分科会

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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