「第141回社会保障審議会介護給付費分科会」 出席のご報告

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「第141回社会保障審議会介護給付費分科会」 出席のご報告

 平成29年6月21日、「第141回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。議題は、下記のとおりです。

1.平成30年度介護報酬改定に向けて(福祉用具貸与、短期入所生活介護、短期入所療養介護、通所介護、療養通所介護、通所リハビリテーション)
2.その他

【武久洋三会長のご発言】
 病院で行っているリハビリテーションは、現状において、利用者から高い評価を得ている。病院のリハビリテーションルームは広々として様々な機械も揃っており、みるからに立派なリハビリ施設だと思われることが多い。一方デイケアとなると、広さは3㎡に半減し、定員も20名程度と規模がかなり小さくなる。リハビリをすることでもっと良くなりたいというモチベーションの高い利用者であれば、病院からデイケアに移った際の印象の落差に、不安が出てくるだろう。
 私の意見としては、病院側のキャパシティに余裕があるのなら、デイケアに通っていてもリハビリだけは病院のリハビリルームで行うことができるようにすれば、医療保険のリハビリから介護保険のリハビリへと抵抗なく移りやすいのではないかと考えている。地域包括ケア病棟では、リハビリテーションの単位が包括されている。包括にすることで、次第にアウトカム評価の流れに向かっている。そうした点をふまえ、回復期リハビリ病棟のリハビリルームをデイケアで使用してもよいという流れになれば、医療保険から介護保険への移行はスムーズになるだろう。
 通所介護の機能訓練と、通所リハビリテーションの定義の差については以前から言われている。医療保険では機械等用いて集中的なリハビリを行い、患者のモチベーションを高めて一生懸命やっている一方、介護保険のリハビリでは現状維持がせいぜいなのだという認識の違いがあるようでは困る。

 参考資料3「通所介護及び療養通所介護(参考資料)」35ページを見ると、結局、個別機能訓練を行い、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の配置があっても、改善する割合は9.7%である。一方、通所リハビリテーションの資料を見ると、通所介護よりはるかに状態が良くなっている。これらの資料を見れば、要介護者は皆通所リハビリに行きたいに決まっている。なぜ、同じように個別機能訓練を行いリハビリ療法士がいる通所介護と、通所リハビリとで、状態に3倍近くもの差が出るのか。医療者として、この差は無視できない。
 介護保険には、要介護認定の度合が軽くなると、利用者やその周囲の人が嫌がるという不思議な状況がある。私自身は、現状維持というのは、年齢が進むにしたがってだんだん悪くなるのが当たり前の中で、充分立派な評価であると思っている。
誰でも、良くなりたいという思いをもってリハビリに望んでいる。リハビリを受ける中で、制限日数等関係なく、受ければ受けるほど状態がよくなるということであれば、リハビリはぜひ続けるべきである。それにともなって介護保険のサービスを受ける頻度も減ってくるようになれば、なお理想的である。

○第141回社会保障審議会介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000168709.html
 

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