第55回社会保障審議会介護保険部会 出席のご報告

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第55回社会保障審議会介護保険部会 出席のご報告

 平成28年2月17日、第55回社会保障審議会介護保険部会が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

 1.介護分野の最近の動向等について
 2.介護保険制度における所得指標の見直しについて
 3.その他

◇武久洋三会長の発言
武久会長20160217 この介護保険部会は非常に重要な部会だと思う。介護保険制度は、2000年に施行され、2018年の医療保険、介護保険の同時改定の時には約20年を迎える。本部会はこの同時改定を見すえ、介護保険制度において大幅な改革を行っていくための会である。
 
 私自身、介護保険制度の開始以来16年間にわたり、介護認定審査会の委員長を続けている。三浦老健局長は、介護保険制度の創設の時にも老人保健課の担当官として直接たずさわっておられ、2018年の同時改定に向けた議論をすすめるには、非常によいタイミングだと思う。

 ただ、当時の予想と比べて、色々なことが非常に早い速度で進んでいる。しかし介護保険は制度である以上、PDCAサイクルをきちんと回していく必要があり、「C」のチェックのところをよく見直さなくてはいけない。例えば、日本は平均寿命が世界で一番高いとされているが、介護保険制度が運用されてからこれまでの間に、健康寿命との差はどれくらい縮まったのだろうか。また、介護度の重度化は、どれくらいおさえられたのか。様々な側面をチェックせずただただ制度が流れていくだけで、バロメーターとなるべき項目が充分改善されていないとすれば、やはりこれから考えていかねばならないだろう。
 
 栃本一三郎委員が発言されていたように、介護保険はドイツの制度をかなり参考にしたと思う。ドイツはじめヨーロッパは、寝たきりの人はほとんどいないと言われている。日本では、寝たきりの方が非常に多い。ドイツと日本の高齢者の要介護度はどのくらい違うのかを比較してみる必要がある。
 
 私が見る限り、ドイツの急性期病院の平均在院日数は5~6日である。日本の急性期病院には特定除外制度があるので、平均在院日数は大体40日くらいとなる。入院日数が海外と比べ6~8倍くらい長く、急性期病院に入院することによって、その後行うリハビリテーションの効果が非常に低くなっているのではないかと思う。
保険局も、急性期病院での医療の制限に取り組み始めた。急性期病院に入院している間、リハビリテーションが充分に行われないということが寝たきりの方の増加につながっているとしたら、そこは医療と介護の連携において非常に重要なポイントになってくると思う。
 
 そもそも、介護保険制度の以前には、自助、共助、公助という概念があった。ところが、公が助けてくれるのであれば、自助も共助もいらないだろうとなってきた。それまでは隣近所が手伝ってくれていた部分を公が担うということで、生活支援サービスがどんどん拡大していった。宇都宮啓氏が老人保健課長のとき、要支援の人々に過大なサービスを提供することによって、要介護度がかえって進むというデータが出されていたと思う。PDCAの「C」をこれから進めていく上で、様々なデータを出していただき、すばらしい2018年を迎えられたらと期待している。

○第55回社会保障審議会介護保険部会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000112926.html

 

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