「第13回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」出席のご報告

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「第13回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」出席のご報告

 平成28年2月4日、「第13回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
 
 1.病床機能報告制度の改善に向けて
 2.地域医療構想の実現に向けた取組について
 3.その他

◇武久洋三会長の発言
 現在行っている病床機能報告制度、および地域医療構想の策定、その先の地域医療構想調整会議の設定等は、すべて2025年に向かって進められている。しかし当面は、病床機能報告制度において、各医療機関は自分たちが提供している医療をそれぞれの判断によって報告し、データを出していくという状況が続く。だがいずれ、少なくとも地域内においては、自己申告で出されてくる病床機能は最終的に収れんし、コンセンサスが出来上がっていくことになるのではないか。この報告制度の目的は、そうしたところにあると思う。そして、各地の地域医療構想調整会議において、このケースは高度急性期、このケースは回復期というふうに、地域ごとの話し合いの中でまとまっていくのが望ましい形ではないかと思う。本日の事務局のお話では、病床機能について、厚生労働省からひといきで決めてしまうということはないとのことなので、ひとまず安心している。今こうしてどんどん進めていることは、あと9年ほどで自然に落ち着いていくのではないかと思っている。
 地域医療構想区域は、二次医療圏からそのまま踏襲されている。その中には人口5万人の地域もあれば50万人の地域もある。当然患者の流出、流入はあるし、小さい地域が大きい地域に吸収されていくことも起こり得る。二次医療圏が今の形のまま2025年まで続くとは考えていない。
 我々がいる医療の現場も、地域によって提供内容が全く異なっている。そういった観点から考えれば、大きな方針については国で決めていただき、それを見て、医師会や病院団体などが実務的に動いていく。我々もやはり、求められる方向に動いていく必要がある。

 オンライン請求のレセプトから必要な項目や情報を抽出し、この患者は高度急性期、この患者は地域包括ケア病棟、この患者は慢性期というふうに判断し、この病院にはこの病床機能の患者が一定以上の割合を占めているからこの病床機能を報告するべき、といった作業をされてしまっては、ちょっと困ってしまうという点を申し上げたい。当局としては、外枠を設けてある程度振り分けていく方がやりやすいだろうが、自動的に病床機能を振り分けられても名称にそぐわない病態の患者や、症状がかなり重くて難しい処置を行っている患者が例外的に入っているというケースもありうる。だが、先ほど申し上げた通り、来年、再来年と2025年に近づいていく中で徐々に固まっていくだろうから、今のうちはまだ病床機能を確定するようなことは控えていただければと思う。
 前回から申し上げている通り、急性期の定義ははっきりしていない。慢性期については、私自身の感覚でいえば大体1ヶ月程度急性期に入院すれば、その後は慢性期かと思っている。地域包括ケア病棟は2ヶ月まで入院できるので、期間で見れば慢性期の要素を含んでいると言えるが、今後は手術も包括外となっていくことからも分かる通り、高度な医療を受ける患者もいる。一方で、リハビリを中心に行っている人もおり、地域包括ケア病棟だけで機能が3つくらいに分かれている。
 病床機能の各区分の病態を例示していただけるのは分かりやすくていいと思う。しかし、必ずしもこうでなければならないといった形ではなく、表現の仕方を工夫して提示していただければ良いのではないかと思う。

 地域医療構想で非常に危惧を持っている点について、お話ししたいと思う。田舎のほうに行くと、県庁所在地というものがあり、そのほかの都市は割合人口が少ない。田舎のほうの人口に対するベッド数が決まっているが、そこで住んでいるお父さん、お母さんが病気になったときに、息子や娘が住んでいる県庁所在地周辺の病院にほとんど移ってくる。そうすると、田舎のほうに必要なベッド数よりも、田舎のほうにはベッドの需要が少なくなるということが大抵の地方の県では起こり得る。それで、上へ上へというか、県庁のほうへ向いて患者さん、人間の移動は起こるが、逆のほうにはなかなか動かない。
 ただ、中川構成員もおっしゃっていたように、県のほうは、ベッド数が多いと言われたから、ただ減らすことに終始しているということもある。これは、厚労省というお上が言っているから、お上の言うとおりにするのだということ以上に、私は国保保険者が都道府県になるというのが非常に大きいのではないかと思う。県の方も国保の保険者になれば、例えば何々県が全国で国保保険の1番だと言われると、余り名誉なことだと思っていないかもわからない。そのためには、ベッド数が減ることが医療費を減らすこととイコールになってしまって、実際の現場にいる患者さんにとっては矛盾ができてくる場合があり得ると思う。
 したがって、県庁周辺の必要ベッド数というのはもうフルになっているのだけれども、現実には入院は皆、入っているといったときに、流出・流入という単純な資料だけでは理解できないような動きというのがあり、それは各都道府県がだんだん賢くなって、ちゃんと四、五年後には合目的なものになるのではないかと思う。
 そういうように、保険の胴元になるから、とにかくこの地域は、例えば1つ病院がなくなったので、ベッドの必要性はむしろプラスに働かないといけないというときでも、一切認めないということになっていっても、これはまた本末転倒なので、そういうことがないと思うが、しかるべき適切な指導を行っていただいて、自主的に都道府県が県内の状況に勘案して、適切な地域医療構想ができるようにぜひ御指導していただけたらと思っている。

○第13回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111454.html
 

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