平成27年度「第4回入院医療等の調査・評価分科会」 出席のご報告

審議会 役員メッセージ

入院分科会0701

 平成27年7月1日、「平成27年度第4回診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。

 本日の議題は、下記の3点です。

 1.慢性期入院医療について
 2.有床診療所について
 3.短期滞在手術基本料について

◇池端幸彦副会長の発言
*これからの評価のあり方を考えるにあたり、地域包括ケア病床の算定要件にリハビリ1日平均2単位以上提供というのがあるが、リハビリスタッフの配置基準は指定されなかった。しかし地域包括ケア病床の半分以上は、1日2単位以上のリハビリを提供しているというデータが明らかになっている。
 やはりこれからは要件や施設基準といったストラクチャーで誘導しようというのではなく、アウトカムを求めていくべきである。退院支援専門職員の配置の重要性は理解しているが、退院支援職員をどれだけ配置しているかというストラクチャーではなく、平均在院日数、在宅復帰率等のアウトカムを評価すべきだろう。
 
入院分科会7月1日_ページ011

 
 療養病床で退院支援を行う職員は、日頃から急性期や回復期といった他の病床に、カンファレンス等を通じて、どういった病態なら療養病床で診ることができるのかを明確に伝えておくべきである。急性期病院では、患者が自力で食事をできなくても療養病床に送ってよいのか等、判断がつかずにいるケースが多い。退院支援専門の職員でなくても、その時々で対応が可能な職員が行えばいい。どの職種をどう配置しているかより、実をとる支援を考えるべきである。

池端副会長20150701*療養病床の役割には、主に3つの機能があると考える。1つ目は、在宅から患者を受け入れ、治して退院させる機能。2つ目は、急性期等からの患者の受け皿機能。そして3つ目は、看取り機能である。急性期病院から療養病床に転院してくる患者というのは、退院が難しいケースが多い。急性期でも、帰せる患者はすぐに退院させている。その結果、療養病床が受け入れるのは、介護度が高いだけでなく、医療区分2、3に該当する医療ニーズが高い状態で退院が困難な患者が必然的に多くなる。
 したがって、特に回転率の見直し等には、慎重になっていただきたい。算定基準を厳しくするのではなく、加算をつけるというやり方で対応していただければと思う。
 また、「在宅復帰率の算出から、1か月未満の入院を除外して考えることの影響についてどう考えるか」とある。1か月未満の入院を外すかどうかという点は、病院側にとっては多少の問題であっても、患者にとっての懸念材料ではない。療養病床の今後を広く考えれば、他病床と比較しても療養病床だけが1か月未満の入院を外しているというのはいかがなものかとも思う。1か月未満の入院も数に含めるのは、ある程度やむを得ないだろう。 

入院分科会7月1日_ページ014

*「入棟期間ごとの褥瘡に該当する患者の割合」という資料が出ているが、ここ10年で褥瘡の治療はかなり進化しており、調査をしていないので何ともいえないが、きちんとやっている病院なら院内で褥瘡を作ることはほとんどないように思われる。
 ただし褥瘡というのは単純に、ケアが悪いからできるというものではない。栄養状態等、さまざまな要因がある。このデータをもって、直ちに療養病床で褥瘡が増えているとは取らないでほしい。

入院分科会7月1日_ページ034

*医療区分1は、医療区分2・3以外の病態ということで区分けされているだけだが、実は大変重篤な病態を含んでいる。肝不全や、喘息重積発作なども医療区分1というのは無理がある。医療区分については、分類の仕方はもちろんのこと、ぜひとも抜本的な改革をお願いしたい。当協会でも会員病院を対象に、参考になると思われるデータをとっているので、次回の分科会で提示ができればと考えている。

*「医療区分別の「看護師による観察及び管理」の頻度」という資料の中に「医療区分2で約50%、医療区分3で約30%の患者が、定時の観察のみで対応できる状態にあった」とあるが、これは裏を返せば、病院では定時の看護師による観察が一律できちんと行われているということである。施設や在宅では、看護師の観察は1~2週間に1度といったところだろう。療養病床は、病院の最後の砦であるということを意識し、頻度やパーセンテージだけで判断することのないよう慎重に進めてほしい。
 
入院分科会7月1日_ページ026

*論点に「「看護師による定時の観察のみで対応できる者の割合」が比較的高い、うつ状態、頻回な血糖検査、酸素療法等の状態や、褥瘡について、医療区分の評価に当たっては、よりきめ細かな状況を考慮するべきではないか」とある。確かに酸素をつけた患者の中には、在宅で生活を送る人もいる。酸素をつけているだけで医療区分3というのは,ある意味誤解を生みやすいかも知れないが、その患者像は多様なので、医療区分においては患者のイメージ像をもっときめ細かく把握する必要があるという考えに賛成である。
 また、たとえば医療区分2の中には、当てはまる項目を2つ以上3つ4つと抱えている患者というのもいる。そういった方は医療ニーズの高いことが多い。医療区分について、一人の患者につき当てはまる項目がいくつあるのか、もしデータが出せるならお願いしたい。さらに、医療区分2において当てはまる項目を複数個抱えたら医療区分3になるといったような、柔軟な対応を考えてもよいのではないかと思う。

入院分科会7月1日_ページ048

*療養病棟基本料2について、医療ニーズの高い患者をもっと受け入れるようにとの議論だが、ここ10年の療養病床をみると、医療ニーズの高い患者が確実に増えている。療養病床は今後、看護必要度のより高い病棟となっていくだろう。ストラクチャーよりもアウトカム重視ということで話をしておきながら恐縮だが、可能なら、現状の療養病床(特療養病床入院基本料1)における看護師の加配の実態調査についてのデータを示していただければと思う。

○平成27年度第4回診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000090201.html
 

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