医療療養病床には若い患者も多い

会長メッセージ

FF135

■ 討論
 

 討論では、療養環境の整備について、池端氏が「一律の基準が理想的であるが地域特性があり、都市部のように土地代が高すぎてどうすることもできない病院もある」と述べた。

 また、社会保障国民会議では、今後300万人増える入院患者に対し、240万人が在宅療養するプランを打ち出している。今後、在宅療養支援をどのようにしていくかという問いに対し、猪口氏は「医師、看護師等の人材不足の問題もある中で、本当に要介護4、5の方々を高専賃等の居住系施設で外部の訪問サービス等を利用しながら療養できるのか疑問である。4.3m2の多床室の有効活用も検討すべきではないか」と述べた。

 高橋氏は、「国は、現在6万床しかない亜急性期・回復期リハビリテーション病棟を約40万床まで増やそうとしている。一般病床のDPC、非DPC病床から亜急性期・回復期リハビリテーション病棟へ移行してもらわなければならないだろう」と述べた。

 そして、現在の非DPC一般病床、亜急性期病床、療養病床にも適応できる診療報酬体系が必要であり、不足する高齢患者向けの病床について、4.3m2の病室も有効活用できるような診療報酬体系も必要だろうと述べた。

 実際に国は、平成23年6月2日に行われた第10回社会保障改革に関する集中検討会議における資料の中で、「平成37(2025)年度の医療・介護サービスの需要と供給(必要ベッド数)の見込み」を、高度急性期病床が22万床、平均在院日数を15~16日、一般急性期病床を46万床、平均在院日数を9日、回復期リハ、亜急性病床を35万床、平均在院日数を60日としている。

 高度急性期病院は、重度の患者が入院することを想定すれば妥当かと思われるが、一般急性期病床が平均在院日数9日ということは、現状の約3分の1にしなければならないことを意味している。しかし、46万床もの病床が平均在院日数9日で回るのは、現状ではかなり困難である。

 また、高度急性期病院で治療した患者のうち、回復する可能性が高い患者は、回復期、亜急性病床に転院できるかもしれないが、必ずしも全員が回復するわけではない。気管切開や人工呼吸器、また重度の多臓器不全など、回復期ではとても診れないような慢性期ICU患者について、平均在院日数9日の一般急性期病床で受け入れることは難しいだろう。

 そこで、私は新たに長期に入院できる急性期機能を持った「長期急性期病床」の設立を提案している。この機能は、ここ最近4年間で急激に入院患者が重度化した医療療養病床と高度急性期機能を維持できなかった地域の中小病院が、この部分を担うことになるであろう。

 急性期医療の平均在院日数がますます短縮化されていけばいくほど、そのポストアキュートを引き受ける長期急性期病床が必ず必要であると考えるが、厚労省はあえて、その不可欠な病床機能を過小評価している。これからの医療体制を考えると、最低に見積もっても約30万床の長期急性期病床と約30万床の長期慢性期病床の存在が必要となるだろう。

 これからの重要課題の一つである認知症問題について、関氏は、「在宅でもどのような介護サービスを選択し、それをうまく利用していくことで対応可能である。しかし認知症になれば、自分が在宅にいることすらわからなくなるので、必ずしも自宅がよいとはいえないのではないか。きちんとケアをしてもらえるところで過ごしてもらうのが一番ではないか」と述べた。

 一般病床において問題となっている90日超の特定除外患者について、項番不明患者割合が、15:1では59%、 13:1では68%を占めている問題も湧き上がっている。

 しかし、これらの患者をそのまま現行の医療区分では分類できないだろう。また、一般病床の7:1や10:1の病床にも存在する特定除外患者を、いきなり慢性期病床で治療するというわけにいかない。

 来年の診療報酬・介護報酬同時改定では、マイナーチェンジ程度しかできないかもしれないが、十分な調査を行い、早急な改定をしていただきたい。

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