医療処置の見直しで身体的拘束ゼロ ── 中医協で富家病院を紹介

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 「身体的拘束を廃止するという理念を施設内で共有し、医療処置について身体的拘束の必要性が少ないものへ徹底的に見直すことで身体的拘束ゼロを達成している」──。身体的拘束をめぐり議論した厚生労働省の会合で、当会の富家隆樹常任理事が運営する富家病院の取り組みがこのように紹介された。

 厚労省は10月29日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所特任教授)総会の第623回会合を都内で開催し、当会から池端幸彦副会長が診療側委員として出席した。
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 厚労省は同日の総会に「入院について(その3)慢性期入院医療・身体的拘束」と題する資料を提示。その中で身体的拘束について「積極的に取り組んでいる施設をより評価することについて、どのように考えるか」などの論点を挙げ、委員の意見を聴いた。

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慢性期の医療処置を見直す

 身体的拘束について厚労省保険局医療課の林修一郎課長は、まず介護施設向けの資料を紹介。「医療機関で取り組んでおられる方々でも身体拘束を減らされている方については同じような取り組みをされていると認識している」と述べた。
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 その上で、林課長は「73ページから76ページに、そうした事例を載せている」とし、事例①~④を紹介。この中で、「事例② 慢性期の医療処置を見直すことで身体的拘束ゼロを達成」と題し、富家病院が実施している医療処置の見直し等に関する資料が示された。
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 このほか、▼事例①(意識づくりと環境・物品の工夫により身体的拘束ゼロを達成:元気会横浜病院)、▼事例③(管理職を含むチーム主体の院内周知を進め身体的拘束が減少:横浜市立市民病院)、▼事例④(理念の共有とケアの実践を通じ意識改革を実現、拘束率減少:宗像水光会総合病院)──の3病院の取り組みも紹介された。

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人手が非常にかかることに理解を

 質疑で、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「今回の資料に示されているような身体的拘束を予防し、最小化するためのさまざまな好事例を参考に、個々の医療機関が、管理者が主体となった意識醸成や、組織風土の構築、委員会の設置、院内ラウンドやカンファレンスの実施、職員研修の開催、アドバイザーの招聘などに取り組むことを推進することが重要」とし、「そうした取り組みが積極的に推進されるような評価を行うことも検討する必要がある」と述べた。

 木澤晃代専門委員(日本看護協会常任理事)は「身体的拘束を減少させる上で環境づくりや医療処置の方法を見直すなど、具体的な工夫とあわせて周知や意識改革をいかに組織的に行っていくかが非常に重要」とした上で、「75、76ページの事例でも、さまざまな職種や部署で意識を統一していくための横断的な取り組みについて、非常に丁寧にプロセスを踏んで実施している様子が見て取れる」と評価した。

 支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「入院料の通則の改正により、指針の策定や体制整備は進んだものと受け止めている」との認識を示した上で、「今後は、71ページ以降で紹介されているような取り組みに期待しているが、人手やコストもかかることだと思うので、病棟でさまざまな職種が協力して効果的に取り組んでいただきたい」と述べた。

 一方、池端副会長は好事例の推進に賛同した上で、「実は人手が非常にかかるということも、ご理解いただきたい」と指摘した。池端副会長の発言要旨は以下のとおり。

【池端幸彦副会長の発言要旨】
 身体拘束に関しては、特に私ども慢性期医療を担う病院協会としては、以前から取り組みを推進していた立場からも、このまま進めていただければと思っている。好事例もいろいろ挙がっている。
 一方、デバイスがあったり認知症があったりする。頑張って拘束を外そうと思うが、何が一番大変かといえば、人手がかかること。特に夜勤帯。3人の夜勤で40人、50人をみるときに、かなり苦労する。また、ご家族にはリスクも含めて、ご理解をいただくことは非常に大変。だから、一概に、「これだけできるように」、「できるでしょう」ということは言えないところも、ぜひご理解いただきたい。その上で、推進することは、私はやぶさかではないと思っている。認知症ケア加算についても非常に有効なデータが出ているので、引き続き継続していただくことはいいのではないかと思っている。
 好事例を参考に推進することもいいと思うが、先ほど述べたように、実は人の手間が非常にかかるということもご理解いただきたい。ケースによっては、一言で認知症といっても、ちょっと目を離すと廊下に出ようとして転倒することもある。デバイスがなくてもそういうことはあるので、100%、外れるものではないこともご理解いただけるとありがたい。
 先ほど江澤委員が述べたように、「身体的拘束」と「身体拘束」の違いがある。身体に直接触れるものが「身体的拘束」という定義だが、例えばクリップセンサーなどは、むしろ、それを付けることによって身体拘束をなくし、どんどん活動を上げていくこともできる。そういったものもあるので、単に衣服に触れているか触れていないかだけで判断しないように、「身体的拘束」の定義も見直していただくと、より、本当の意味での身体拘束をなくすことができるのではないか。ぜひ、ご理解いただければと思っている。

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