「令和7年役員新年会」のご報告
会長メッセージ 協会の活動等 官公庁・関係団体等 役員メッセージ

日本慢性期医療協会は1月9日、都内のホテルで「令和7年役員新年会」を開催した。橋本康子会長は新たな部会の設置などを伝え、多様な意見を反映させる意向を示した。新年会には、関係学会の役員らも多数参加。途中、安藤たかお厚生労働大臣政務官も会場に駆けつけ、祝辞を述べた。日本医師会の角田徹副会長は「引き続きリーダーシップを発揮していただき、お互いに協力して日本の慢性期の医療を引っ張っていただきたい」と当会の活動に期待を寄せた。
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奨学金の肩代わりで人材定着
開会の挨拶で橋本会長は、大きな災害がなく新年を迎えたことを安堵した一方で、インフルエンザの感染者数が増加している状況を懸念。「当院でも感染者が発生しているが、幸いにも重症化する患者が少ないため、医療現場の混乱は抑えられている」と伝えた。
自院の経営状況については、昨年の診療報酬改定を「大変厳しい同時改定だった」としながらも、前年度から収入が伸びた理由を紹介。「スタッフの奨学金返済を一部肩代わりすることで人材の定着を図り、その結果、収入が上向きになった」と説明した。このような取り組みにより、慢性期医療現場での課題解決を進めていることを紹介した。
日慢協の活動については、「都道府県慢性期医療協会・会長会議」や「青年部会」の発足を挙げ、こうした会での検討を通じて地方の医師や若手医師の意見を積極的に取り入れ、今後の提言に反映させる方針を示した。
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日本の慢性期医療を引っ張って
日本医師会の角田徹副会長は、今年が地域医療構想の具体的な方針を議論する重要な年であることを強調。日本医師会と日本慢性期医療協会が定期的に懇談会を開催し、議論を重ねていることを紹介した上で、「医療・介護の提供体制については、ぜひ日慢協と協力を進めていきたい」と述べた。新たな地域医療構想については、病床機能に加え、外来や在宅医療などの機能も含めた医療提供体制の構築が求められていると述べ、「地域医療介護構想」の考え方を紹介した。
また、昨年11月に開催された第32回日本慢性期医療学会の成果を高く評価。「“治し・支える”良質な慢性期医療 ~サイエンス・アートの調和と統合~をテーマに、矢野諭学会長をはじめとする皆さまの多大なご苦労とご尽力で開催された。引き続き、リーダーシップを発揮していただき、お互いに協力して日本の慢性期の医療を引っ張っていただきたい」と期待を込めた。
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慢性期といえば日慢協
当会常任理事で地域包括ケア推進病棟協会会長も務める仲井培雄氏は日本病院団体協議会代表者会議の議長として挨拶。「いろいろな団体があるが、慢性期といえば日慢協だけ。非常に発言力が高く、本当に素晴らしい政策を多く提案されているので、大変助かっている」と謝意を表した。
仲井議長は、「地域急性期」「包括期」などを挙げ、「日慢協が提案した言葉や名称が反映されているのは非常に頼もしいし、嬉しい」と評価。高齢者救急や高齢マルチモビディティ患者への対応についても、日慢協における活動や取り組みが反映されているとの認識を示した。
仲井議長は昨年、石川県での災害により自身の病院が被害を受けた経験などを振り返り、「平穏無事な日常がいかに大事かを改めて感じる。今年は参院選や団塊世代の後期高齢者入りなど、医療界にとっても多くの変革が予想される年。いろいろな波がたくさん押し寄せるが、日慢協の皆さんと一緒になって乗り越えていきたい」と語った。
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「連携包括期」という提案も
乾杯の音頭をとった地域病病連携推進機構の上西紀夫理事長は、昨年の日本慢性期医療学会と併催したシンポジウムを振り返り、「高齢者救急の問題など、非常に内容の濃い議論ができた。大変素晴らしい学会だった」と評価。次回の学会について「地域で頑張っている病院などを選ばせていただき、シンポジウムを組みたい」と語った。
上西理事長は新たな地域医療構想にも言及。地域包括の考え方について、「武久洋三名誉会長が述べているような多機能の病院が集まって互いに連携しようという内容になるだろう」とし、「連携包括期」という考えを提案した。
その上で、上西理事長は「今後ますます多くの問題点が出てくると思うが、皆さま方と一緒に私も勉強させていただき、新たな連携などを通じて、地域の患者さんをきちんと治す取り組みを進めていきたい」と語った。
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2025年1月10日