「オンラインLIVEイベント」を 在宅医療政治連盟と開催

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オンラインLIVEイベント_20221109

 医療と介護の連携など今後の医療提供体制を考えようと当会は11月9日、在宅医療政治連盟と共同で「オンラインLIVEイベント」を開催し、100人を超える医師らが視聴した。イベントでは、橋本康子会長が「医療・介護のシームレスな連携」をテーマに基調講演したほか、丸川珠代参院議員との対談もあった。

 開会に際し、在宅医療政治連盟の島田潔会長は「今年度から新たな試みとして在宅医療と関係する団体とのコラボレーション企画を行うことになった。その記念すべき第1回が本日」と紹介。「慢性期病院と在宅医療、介護施設がどのように連携を深めていけばよいか。これをイベントのテーマとして皆さまと一緒に考えたい」と呼び掛けた。

【島田潔会長のご挨拶】
 本日は永田町にある全国町村会館の会場から生放送のオンラインイベントで開催している。おかげさまで在宅医療政治連盟も2017年3月の発足から5年を迎えた。この5年間、自由民主党の在宅医療推進議員連盟と連携をとりながら、さまざまな活動を行ってきた。催しについては年1回の在宅医療の集い、そして厚労省の実務者も交えた意見交換の場として、在宅医療推進議連との共同開催による在宅医療懇談会を開催してきた。
 今年度から新たな試みとして、在宅医療と関係する団体とのコラボレーション企画を行うことになった。その記念すべき第1回が本日となる。開催パートナーをお引き受けくださったのは、全国約1100箇所の病院が加盟する一般社団法人日本慢性期医療協会様である。 
 慢性期医療については、在宅医療もその一翼を担っている。慢性期の病床を持つ地域の病院と在宅医療、介護施設がどのように連携を深めていけばよいか、これをイベントのテーマとして皆さまと一緒に考えたいと思う。 
 本日、ご講演をいただくのは、今年6月に武久前会長からバトンを引き継いだ日本慢性期医療協会の橋本康子会長である。基調講演に続いて、参議院議員の丸川珠代先生にご出演いただき、橋本会長との公開対談を組ませていただいた。

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慢性期医療機関の存在が大きな安心に

 来賓挨拶では、在宅医療推進議員連盟の会長を務める元厚労相の田村憲久衆院議員が「地域包括ケアにおいては在宅医療と慢性期医療が共に大きなメインプレーヤーになる」と期待を込めた。

【田村憲久衆院議員のご挨拶】
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 私は在宅医療推進議員連盟の会長も仰せつかっている。われわれはいつも連携させていただきながら、在宅医療をどう進めていくか、日々勉強も含めて進めている。在宅医療政治連盟として初めてのコラボ企画である。本日は、日本慢性期医療協会とのコラボで橋本会長もお越しになって、基調講演をいただける。
 コロナ禍で先生方には大変、お力添えをいただいて心から感謝を申し上げる。いろいろなかたちで日本の医療の脆弱性が言われるが、新型コロナウイルスに関しては入院が前提であったし、また外来機能については別途、発熱のための外来をつくり、一般の医療機関には行っていただかないところからスタートしている。そのため、現場の先生方には大変な混乱の中でご負担、ご迷惑をおかけしてきたのだろうと思う。今進めている感染症法についての見直しでは、パンデミック型の新興感染症に関して新たな医療提供体制をお願いをするが、これも今回のことから学んだ結果である。 
 しばしば、「在宅医療」という意味も含めて、「かかりつけ医機能」というものを強化しなければならないという話が出る。しかし、当然ながら新興感染症による在宅医療等と一般のかかりつけ医機能とは若干違っているわけであり、私は個人的には分けて考えていかなければならないと考えている。パンデミック時の医療と普段のかかりつけ医機能とは分けて考えていかなければならない。 
 かかりつけ医機能の中において大きな役割を果たすのが在宅医療である。若い方々のかかりつけ医機能と、高齢者の方々のかかりつけ医機能、言うなれば慢性疾患を多くお持ちの方々のかかりつけ医機能は当然違ってくる。GP制度のようなものを考えると、日本は若い方々にそこまでしっかりとしたかかりつけ医機能というものがそぐうのか、よくよく考えていかないと絵に描いた餅になるだろう。
 今回、政府でもかかりつけ医機能を議論しているが、まずは高齢者の方、若い方々においても、それぞれ疾患を持っておられる方々に対し、どのようなかかりつけ医機能をしっかり確保していくのか。地域包括ケアにおいては、多くを在宅で関わっていただく。日本では在宅医療の資源が十分に確保できていないという課題もある。そこで、診療所の先生方に在宅医療に入ってきていただく。24時間対応など、いろいろと難しいことを言われる人もいるが、いきなりそれをやると入ってきてもらえなくなる。まずは入ってきていただき、どういうチームの中で緊急時の対応をしていくかを考える。
 在宅医療政治連盟の皆さま方は、それも含めて今までノウハウを蓄えてきておられる。これから在宅医療に入ってこられる皆さま方と共有していただきながら体制を整えていくことが大変重要になってくるのではないか。そして、いよいよそうなった後、常に近くに慢性期医療を担っていただく医療機関がある。これが非常に大きい。
本日は日慢協の先生方とのコラボである。地域包括ケアにおいては在宅医療と慢性期医療が共に大きなメインプレーヤーになってくると思っている。今日はそんなことを期待をしながら、この会が成功裏に終わることを心からご祈念を申し上げる。これからも連携をよろしくお願いしたい。

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本日のコラボレーションは意義深い

 同議連事務局長の今枝宗一郎衆院議員はコロナ禍の対応を振り返り、「何かあったときに慢性期の医療機関が地域に存在することが大きな安心になる。本日のコラボレーションは意義深い」と述べた。

【今枝宗一郎事務局長のご挨拶】
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 本日は初めての日慢協とのコラボレーション企画である。在宅医療政治連盟は新しい試みをどんどん進めており、素晴らしいと実感している。橋本康子会長の対談相手は丸川珠代先生である。丸川先生は医療分野にとても詳しい先生であるし、何よりも心の優しい先生であるので、今日聞いてらっしゃる方は最後に心がほっこりして終われるのではないか。 
 コロナ禍で在宅医療の先生方には各地で大変なご努力、ご尽力を今もいただいていることに感謝を申し上げたい。緊急往診や健康観察をはじめ、夏の第7波もそうであったが、自宅療養で何とか耐えることができた。それによって病院崩壊、医療崩壊を抑えることができた。これは先生方のご尽力のおかげである。第8波でも先生方のご努力が大きく期待される。それによって社会・経済活動が守られる。まさに人の暮らしが守られている。お願いばかりで恐縮だが、行政や財政面での支援について、われわれはもっと努力したい。
 一方、コロナがなくても、いわゆる2025年問題、地域医療構想、そして在宅医療も1つの大きな課題である。地域包括ケアの重要性を進展させていく。そうした中で本日、日慢協の先生方とのコラボである。私も在宅医の経験があるが、何かあったときに慢性期の医療機関がしっかりと存在すること、地域にあることがどれほど大きな安心になるか。心を合わせて一緒にやっていくことが在宅にとってどれほど大きな安心になるか。そういう意味で、今日のコラボレーションは意義深いものになると思う。こんな時代だが、現場の方々に少しでもほっこりしていただける、そんな時間となれば幸いである。政治の立場でも全力を尽くして在宅医療を応援していきたいと思うので、よろしくお願い申し上げる。

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IADLの回復を目指していく価値を

 基調講演では、橋本会長が自院の取り組みや症例などを紹介。退院後の継続的な訪問リハビリなどで大きく改善したケースを動画などで伝え、「在宅でできることは在宅で、病院でしかできないことは病院でやっていくことを提唱したい」と語った。

 講演を受け、丸川議員は自身の経験を振り返りながら、「先生方が医療の逼迫の中で在宅療養を支えていただいていることの尊さに胸がいっぱいになる。機能の回復だけではなく生活を取り戻す、IADLの回復を目指していくことの価値を一家族としても体験し、切望した。素晴らしいお話であった」と評価した。

【丸川珠代参院議員のご挨拶】
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 日本慢性期医療協会との初めてのコラボレーションに参加させていただき、大変光栄である。私は初めて大臣になったとき、母は祖母を介護し、同居している私は子育てをしていた。子育てと介護が重なる環境の中、介護疲れで母が倒れた。いろいろな医療の連携の中で、1人の患者、家族がどんな経験をするのか実際に体験した。在宅医療の世話にもなった。今回のコロナ禍では、在宅医療の先生方が医療の逼迫の中で在宅療養を支えていただいていることの尊さに胸がいっぱいになる。
 また、日本慢性期医療協会の皆さまは最初のダイヤモンド・プリンセス号を下船された乗客の皆さまのためにスタッフを派遣してくださり、ポストコロナの患者さんを積極的に受け入れてくださった。そのおかげで病床が回転するようになって今を迎えていることに改めて感謝申し上げたい。
 本日は橋本先生、素晴らしいお話であった。若い方、ご高齢の方にかかわらず、その機能の回復だけではなく生活を取り戻す、IADLの回復を目指していくことの価値を家族としても体験し、また切望したので、本日の対談を楽しみにしている。

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慢性期多機能病院が望ましい医療を実現

 橋本会長と丸川議員の対談では、女性が活躍できる社会の在り方をはじめ、介護保険制度の見直しに向けた課題などがテーマになった。質疑では、当会の安藤高夫副会長が慢性期救急の取り組みを紹介した上で、「慢性期医療と在宅医療の連携は今後どうあるべきか」と問題提起した。

 丸川議員は「慢性期医療機関のように高齢者のことをよくわかっていて、全体をみることができる病院が救急を引き受けていただくことに大きな意味がある。慢性期多機能病院が在宅医療とうまくかみ合うことによって高齢者や家族にとって最も望ましい医療が実現できることを期待している」と語った。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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