「第104回社会保障審議会医療保険部会」 出席のご報告
平成29年４月26日、「第104回社会保障審議会医療保険部会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
１．保険者インセンティブについて（報告）
２．都道府県のガバナンスの強化について
３．働き方改革実行計画について（報告）
４．その他
本日の議論では、保険者における予防・健康づくり等のインセンティブの見直しとして
①市町村国保について保険者努力支援制度を創設し、糖尿病重症化予防などの取り組みを客観的な指標で評価し、支援金を交付する
②健康組合・共済の後期高齢者支援金の加算・減算制度についても、特定検診、保健指導の実施状況だけでなく、がん検診や事業主との連携などの取組を評価する仕組みに見直す
上記について、活発な議論が交わされました。また都道府県のガバナンスの強化として、都道府県には、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促す司令塔の役割を担ってもらい、制度（権限）・予算（財政）・情報（データ）・人材などの面からアプローチを考えていくとの説明がありました。
◇武久洋三会長のご発言
75歳以上になるとどうしても病気が多くなり、入院費用もかさむ。後期高齢者だけで医療費の4割近くを占めている。日本の平均寿命は上がっているが、健康寿命と平均寿命の差を考慮せねばならない。女性の場合平均寿命は87歳近くで、健康寿命との差は12年ある。だとすると、75歳くらいから病気がちの人が増えてくるということになる。平均寿命と健康寿命の差は、75歳になっていきなり表れるわけではなく、中年の時からの経過によって起こる。なぜ健康寿命との差が発生するのか、原因を突き止めることも大事だが、健康寿命と平均寿命の差が少ないほど医療費は抑えられるという想定をすると、まずは都道府県ごとの男女別平均寿命から、健康寿命と平均寿命のデータを出す必要があるのではないか。そのデータを参考に考えていける対策も多いと思う。
参考資料1-1「保険者努力支援制度（平成28年度前倒し分）の結果（詳細）」の中に、都道府県別の市町村平均獲得点数が出ている。私の住んでいる徳島県を見ると、「特定健診・特定保健指導・メタボ関連」では上位の点数を獲得しているが、「がん・歯周疾患検診関連」では悪い結果となっている。だが「重症化予防関連」では上位、というように、各項目ごとに都道府県がばらばらの成績を示しており、この点についてはどう考えればよいか。
⇒事務局からは「今回、このようなデータを取ったのは初めてである。都道府県単位だけでなく、市町村ごとでもかなりのばらつきが見られるので、都道府県から市町村に支援を進めていく際の材料にしてほしい」との回答がありました。
資料２「都道府県のガバナンスの強化について」にある「第二期医療費適正化計画の進捗状況（平成28年度）」だが、毎年の医療費の増え方については抑えられてきていると思う。もちろん今後もどのように減らしていくかという論はあるのだが、特定健診の実施率、指導の実施、メタボリックシンドロームの減少率については、平成25年から平成35年までで、目標値が変わっていない。重要なのは、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少である。ここの減少は、直接的に医療費の削減に反映してくる。特定健診の実施率や指導率を上げても医療費に反映しなければ意味がないと思うが、平成29年度も、平成35年度も、メタボリックシンドロームの減少率の目標値は25%に設定されている。
平均在院日数は10年で約3日短縮したが、諸外国に比べるとまだ5～7倍は長く、寝たきりの方も5倍くらい多い。平均在院日数の目標値を短く設定するのは良いと思うが、3％前後しか減少していないメタボの減少率について目標値が25%とされているのには、理由があるのか。
⇒事務局からは「第１期医療費適正計画では、メタボリックシンドロームの該当者ではなく、特定健診・保健指導の該当者の割合の減少率を下げるということにしていた。その後、第２期においては、専門的な議論の中で、服薬の対象者は特定健診・保健指導の対象者にはしていないが、服薬の方も含めてメタボリックシンドロームの該当者にしてはどうかということで設定していた。ただ、服薬の方を入れた数字はなかなか出にくいということがあったので、やはり第３期の目標としては第１期のやり方に戻し、服薬の方を除いた人を対象にしようということなので、25％目標は維持していく」との回答がありました。
○第104回社会保障審議会医療保険部会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000163328.html
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2017年4月27日