医療と介護の同時改定にどう対処すべきか

官公庁・関係団体等

医療と介護の同時改定にどう対処

被災地の復興の第一は医療・介護提供体制の構築で、
報酬改定が必要 (西澤寛俊・全日病会長)

 
  
 現在、私は中医協委員をしているが、一方では日本病院団体協議会の議長もしている。今、改定要望のとりまとめをしている最中でまだ公表していないので、今日は具体的なものは控えさせていただく。

 ただ、日本病院団体協議会で一つだけ決まっているのは、入院基本料をしっかり評価してほしいということである。そのほか、救急や認知症の問題等々は、これからまとめていく予定である。

 私たち全日本病院協会も4月ごろ、東日本大震災の影響を考慮して、次回の改定の是非について非常に悩んだ。結果として、これから状況がどう変わるかわからないから、現段階で改定する方向で準備していくということになった。その理由のいくつかを申し上げたい。

 まず一つには、今回の震災では日本医師会のJMATを初めとして、全国各地から救援隊として多くの関係団体が支援活動に従事した。こういう非常時にたくさんの方々が支援を行ったということに、改めて医療人の素晴らしさを感じたところである。

 被災地の復興の第1は、非常時にも医療を継続できる医療・介護提供体制の構築である。そのためには、医療機関の経営基盤の安定が必要であり、もう少し報酬を上げていただきたいというのが本心である。

 2つ目の理由は、前回はプラス0.19という微々たるプラス改定であったが、それでもかなりホッとして息をついた。そのときの改定では、大病院や高度急性期病院に4,400億円のうち4,000億円が回った。次は中小病院、診療所、慢性期の番だといわれた。私たちはそれをずっと望んでいたので、次回いただかないとバランスがとれないということもある。

 3つ目は、医療と介護の役割分担とシームレスな連携である。現状はまだ医療と介護の連携はうまくいっていないと思っているので、同時改定はよい機会である。

 最後に、慢性期入院医療をどうするかという問題がある。医療療養病床や介護療養病床、介護施設、それと一般病床の中の長期入院も含め、これらをきちんとしたデータをもとにした議論が必要になってくると思う。

 その中で一つ考えなければならないのは、先ほど鈴木課長がいわれたが、地域特性だと思っている。私の病院は北海道にあり、7対1看護が入ってからは、地方から看護師さんがいなくなった。

 それまでは10対1看護を取得していた病院が15対1である。しかも、その町に一つしか病院がない。そういう所では、その地域で在宅やほかのシステムをつくって対応しなければだめである。そのようなことも含めて、慢性期入院医療のことを検討していく必要があると思っている。

 
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