医療と介護の同時改定にどう対処すべきか

2012年同時改定の重要ポイントの一つは
慢性期の入院医療 (鈴木康裕・厚労省医療課長)
今回の震災では、被災された方について、2つのことを行った。
1つは、被災されて保険証を紛失した場合でも医療が受けられることとした。2つ目は、通常3割お支払いいただいている窓口負担を徴収しないことにした。
病院については、被災地の病院と被災地を支援している病院の両方について、以下の対応を行った。
1つは、医療法で許されている病床数を超えて被災者を収容してしまう場合や、通常の看護基準が看護師が支援に出ることによって薄まってしまう場合もある。さらには、平均在院日数が延びたり病棟でない会議室等を利用する場合もある。こういうことは通常減額になるが、減額しないことにした。
また、レセプトコンピュータが流されて、どのくらい診療報酬を請求したらよいのかわからないこともあるので、昨年3か月間の平均をとっていただいて、その分お支払いをすることとした。被災地を支援している病院についても同様の扱いにした。さらに、製薬工場が被災して長期間処方されると薬が足りなくなる場合があるので、「投与日数の短縮にご協力を」として日本医師会と厚生労働省の合同でポスターをつくって啓発を行った。
さて2012年同時改定であるが、重要なポイントの一つは慢性期の入院医療で、その中心は療養病床とその地域特性である。東京や大阪といった大都市と人口密度の低い地域では、病床や在宅医療の進め方にかなり差があり、それを全国一律の仕組みでやっていくことは少し無理がある。地域特性に対してどのように配慮したらいいのかを考えていくことが必要である。
一般病棟の評価は、基本的には患者さん対看護師さんの比率で点数が決まる。ここまでは基本料が決まっていた上で、一定期間の90日を超えると原則的には特定入院基本料928点になる。しかし除外規定があり、この除外規定に該当すると928点に下がらないという仕組みになっている。この特定除外の仕組みをどのように考えるかが、恐らく次回の改定で問われることになると考える。
2010年改定が終わった後の中医協全体としての附帯意見がある。そこには、慢性期医療を総合的に検討し、療養病床だけでなく一般病棟や障害者病棟も含めて横断的な調査を行い、その結果を今後の診療報酬改定に反映させるとしている。それについては、慢性期入院医療の包括評価調査分科会において議論し、調査・検討を行っている。
2012年改定に向けての中医協の意見として、支払い側は、一般病床でも医療区分に基づく包括評価を導入し、特に特定患者の定義を検討するとしている。診療側は、もう少し機能分化を推進させて医療のあり方を明確にすることと、認知症の方はBPSDという症状が出て手がかかる場合があるので、その評価について検討するとしている。
社会保障と税の一体改革では2025年に着地点を設定しており、2012年改定はちょうど3回ある介護との同時改定の3段階の1段階目になる。2012年、18年、24年、このホップ・ステップ・ジャンプのホップとして、来年の改定は重要と考えている。

2011年12月1日