「第10回入院医療等の調査・評価分科会」出席のご報告

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第10回入院医療等の調査・評価分科会

 平成27年10月15日(木)、「第10回入院医療等の調査・評価分科会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

 1.とりまとめ(案)について

◇池端幸彦副会長の発言
*資料1「入院医療等の調査・評価分科会における検討結果(とりまとめ)」の6ページに、短期滞在手術等基本料について、下記の記述がある。

・A項目が3点の患者は、A項目が2点以下の患者よりも、医師による指示の見直しが頻回な患者や看護師による頻回の処置・観察が必要な患者の割合が少なく、包括範囲出来高実績点数の低い患者も多くみられる。このことから、A項目が2点であっても医療密度の高い患者が特定集中治療室に入院している一方、A項目が3点の患者は相対的に医療密度が低いことが考えられる。また、特定集中治療室に入院する患者のうち「心電図モニター」「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」にのみ該当する患者の割合が平均よりも著しく高い医療機関がみられる。例えば、こうした項目にのみ該当する患者の「重症度、医療・看護必要度」に関する評価を適正化したうえで、基準から外れる患者は一定の割合に限って入室の対象とするなど、特定集中治療室を重症患者が一層適正に利用するための要件の設定について検討を要する。

ここに「A項目が3点以上の患者は相対的に医療密度が低いことが考えられる」とあるが、これは必ずしもA項目3点以上の患者の医療密度が低いということではなく、「心電図モニター」「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」の3つのみによって3点以上となっている患者において医療密度が低い場合があるという意味であり、A項目3点以上の患者の中にも、医療密度の高い患者、低い患者が混在しているのが実情だろう。この書き方では、A項目3点の患者は、すべて医療密度が低いという誤解を招く。書き方を変える必要があるのではないか。

池端幸彦副会長平成27年10月15日*今回で、平成28年度診療報酬改定にあたっての本分科会のとりまとめは終了となり、次回以降の検討会では平成30年度改定を考えていくことになる。これまでも主張してきたことだが、高度急性期から療養病床までは、一連の流れである。もちろん入院日数や重症度は病床区分によって異なるが、高度急性期、急性期、回復期、慢性期と、途切れることのない流れの中で診療し、医療提供を行っているということを改めて意識し、調査の項目や看護必要度等、すべての病床区分で共通にしていただきたい。そうすれば、療養病床はデータがないと言われている状況も変わるだろう。また、最近は療養病床でもDPCデータを算定する医療機関が出てきており、こうした医療機関の数は、今後ますます増えてくると思われる。こうしたところからデータを出すことも可能だろうし、療養病床もDPCデータ算定に対応できるということの証明にもなっている。
 事務局が提出してくれる資料も、高度急性期、急性期、回復期、慢性期で分けて考えるのではなく、高度急性期から慢性期まで、一律の視点で検討し、データにどのような違いが出てくるかを明確にして頂きたい。そして療養病床については、20対1と25対1では別のものとして考えてほしい。また、今後の分科会では、事務局の資料提示による検討だけではなく、委員も制度設計の段階から、意見を出せる形で開催出来れば良いと思う。

*資料1「入院医療等の調査・評価分科会における検討結果(とりまとめ)」の11ページに、慢性期入院医療について、下記の記述がある。

・在宅復帰機能強化加算届出医療機関の状況を分析したところ、当該加算の届出医療機関では自宅からの入院が多かったが、在宅復帰機能強化加算を算定している病棟において、必ずしも急性期病棟から受け入れた患者の多くが在宅に復帰できているわけではなかった。病床回転率等の算出に当たって自宅からの入院と他院からの転院を区別していないこと等が背景にあると考えられた。【別添資料 p.194~196】
 

[別添資料P195]

別添資料P195

[別添資料P196]

別添資料P196

 この箇所の書き方が分かりづらいので資料をもとに変更するとのことだが、変更する際は、療養病床において、間違っても患者を自宅から受けて自宅へ帰す流れは悪で、急性期病床から受けて在宅へ帰す流れは善だといったニュアンスが出ないようにしてほしい。療養病床が自宅からの入院を受け、退院で自宅に帰すのは、地域包括ケアシステムの中でも重要な機能である。
 急性期から患者を受けたパターン、自宅から患者を受けたパターン、それぞれ別の形で評価されるのは分かるが、自宅からの患者受入れはネガティブで、急性期病床からの患者受け入れはポジティブといった評価にするべきではない。加算としての位置付けならともかく、少なくとも急性期からの患者を自宅へ帰す割合を持って、在宅復帰機能加算算定の条件にすべきではない。前述の箇所について書き方を変更する場合は、この点に配慮していただきたい。
 
 本日のとりまとめの報告は、後日、中央社会保険医療協議会に提出されます。

○第10回入院医療等の調査・評価分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000101340.html
 

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