Visionを持って生きる ― あきらめない生き方 ― 建築家の安藤氏が講演

その他 協会の活動等

安藤忠雄氏20150315

 世界的な建築家として知られる安藤忠雄氏が3月15日、横浜市内で開催された第2回慢性期リハビリテーション学会(学会長=橋本康子・千里リハビリテーション病院理事長)で特別講演しました。テーマは、「Visionを持って生きる ―あきらめない生き方―」。安藤氏は膵臓がんとの闘いを振り返りながら、「病は自分で治さなければいかん。先生が治してくれるか」と問いかけ、これまでに手がけた多くの建築物を紹介。「感動する場、心に残る場をつくらなければいけない」と語りました。
 
 安藤氏は冒頭、「私はいまリハビリテーション中なので、リハビリテーション学会にうってつけであると思った」と苦笑。昨年7月、膵臓がんのために膵臓全摘、脾臓全摘の手術をしたことを伝え、手術当時のエピソードを紹介しました。安藤氏は担当医から「今まで膵臓を取って生きている人はいるが、元気になった人はいない」と言われ戸惑ったものの、その医師から「安藤さん、元気になった見本になってくれ」と言われ、元気になった見本になるために手術を決意したことを振り返りました。
 
 安藤氏は「自分で治すというビジョンがなければ駄目だ」とし、日々の生活面についても「ビジョンを持って自分の仕事を徹底的に研究する」と強調。自身の健康状態について、「今のところ問題はない。痛かったこともしんどかったことも、便秘も下痢も食欲低下も全然ない。普段の意欲がある」と終始笑顔で話し、これまでに手がけた多くの建築物を紹介しました。安藤氏は、それぞれの建築物に込めた思いやアイデアを語る一方で、わが国の行く末を案じました。
 
 安藤氏は医療技術の急速な進歩を評価しながらも、「コンピューターは進んでいるのに人間の頭は進んでいない。日本は日本人だけ見ている。そろそろ世界を見たほうがいい」と苦言を呈し、「医学、建築も世界を見て自分を見ないといけない。ずっと狭い世界で生きるのは面白くない」と指摘。グローバル化が進む中、広い視野で世界を見つめる必要性を説き、「私たちは自分たちの職業をどこで勝負するかを考えないといけない。私は、感動する場、心に残る場をつくらなければいけないから、そのために頑張らなければいけないと思っている」と力を込めました。
 
 安藤氏は患者の立場から見た医療についても言及し、「いつ休んでいるのかと思うぐらいに先生方はクタクタで、リハビリが必要なのは先生方だろう」との感想を漏らしました。現在の医療現場について、「先生方も看護師さんもスタッフの皆さんも、みなプライドをかけて仕事をされている。こんな職業は他にはない。病院に勤めておられる人たちは責任感がすごい」と指摘。「医療は最後の砦。みなさんにぜひ最後まで頑張ってもらいたい」とエールを送って講演を締めくくりました。会場から大きな拍手がわき起こりました。
 
江澤和彦副会長 座長を務めた慢性期リハビリテーション協会の江澤和彦副会長(倉敷スイートホスピタル理事長)は、「心が洗われる。物事の本質をすべて突いていて、今日この学会にふさわしい。新しい発想が時代を変えるということを学んだ」との感想を述べました。

 続いて、安藤氏のグランデ・ウッフィチャーレ(イタリア共和国功労勲章)の受勲を祝い、橋本康子学会長(千里リハビリテーション病院理事長)から花束が贈呈されました。その後、安藤氏のサイン会が開催され、長い行列で賑わいました。

花束贈呈
 

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