「わたしの医療観」 岡田玲一郎氏
役割分担はしばしば役割分割
来年4月から診療報酬が変わりますが、出てきた点数を見て2年間寝てたらどんどん遅れます。事後対応より事前対応が必要です。事前に対応している病院は、来年4月にほとんどの点数が取れるでしょう。そこからまた2年間走り続けます。
病棟薬局はアメリカでは常識です。看護師の業務が減るんです。これ(スライド写真)は、ピクシス(pyxis)という機械です。オーダーが出ると、看護師が自分のパスワードを入れる。すると、その患者さんに出された薬の引き出しだけがピッと開く。閉めると下の薬局に情報が下りて、詰め替える。これ、もう15~16年前からです。なかなかこれが日本に入ってこない。これは老人ホームにもあります。盗難防止、記録漏れ、在庫管理などに役立ちます。
最近、アメリカで「LTAC」(Long Term Acute Care、長期急性期医療)の病院が出てきました。ものすごい勢いで広がっています。アメリカでは、「短期急性期病院」の平均在院日数は5日です。しかし、5日で急性期が終わるわけがない。そこで、LTACが出てきた。ここが、この日本慢性期医療協会にとって大事なところです。
アメリカでは、STAC(短期急性期医療)の平均在院日数は5日、LTACは25日です。急性期が30日だとすると、日本でSTACが10日になったら、残りの20日をやる病院が必要になります。日本でも、LTAC病院がこれから増えるでしょう。
救命救急センターはどんどん平均在院日数を減らして10日を切ろうとしています。そうすると、20日をどこが診るのか。1つの基準をつくっていけばいいと思います。今年、この病院に行ったら、LTAC病院が2年で5割も増えたと話していました。猛烈な勢いです。「なぜ5割も増えたの?」とききましたら、「老人が増えた」と答えました。僕も老人ですけど。来月、79です。
老人の救急患者への対応は亜急性期病床でいいのでしょうか。「亜急性期」の定義、これを厚生労働省がはっきりさせてくれればいいんです。今、老人に認識されています。「あの病院は早く出される」と。そうすると、受ける病院がなければいけない。
役割分担とは、それぞれが仕事を担うことですが、役割分担はしばしば役割分割になります。なかなかチームにならない。口では「役割分担」と言いますが、分割したがる人がいるんです。
2011年12月8日