同時改定、「80点以上の出来栄え」 ── 2月8日の定例会見で武久会長

会長メッセージ 協会の活動等 役員メッセージ

180208 日慢協定例記者会見1

 日本慢性期医療協会は2月8日、平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定などをテーマに定例記者会見を開きました。会見で武久洋三会長は「80点以上の出来栄えだ」と評価し、「今回の同時改定は素晴らしい。医師の責任がズシンと感じられる改定」との認識を示しました。入院医療の改革にも言及し、「1日単価の高い急性期病床から慢性期病床への『右方移動』がうまく進めば医療費の増大は免れる」と見通しました。
 
 武久会長は冒頭、「いろいろな抵抗勢力があった中で、精一杯に頑張った改定であった」との考えを示し、「厚労省の担当部局は非常に努力をされたことと思う」と謝意を表しました。会見では、当協会に関連する改定項目を中心に説明。在宅復帰の促進など「右方移動する所には手厚く診療報酬を出すという明確なメッセージ」としながらも、「同じ病院内での『垂直連携』は減点が非常に大きい」と指摘しました。

 同日の会見には、「第5回慢性期リハビリテーション学会」の鈴木龍太学会長、新設する日本介護医療院協会の江澤和彦会長が同席。鈴木学会長は「リハビリテーションこそ、Enjoyment of lifeを得られる手段だと思っている。そこで、今回のテーマはリハビリテーションで広がるEnjoyment of lifeとした」と参加を呼びかけました。
 
 江澤会長は、4月2日の日本介護医療院協会設立記念シンポジウムを案内。介護医療院については、「転換先のモデルをつくったのではなく、住まいと生活を医療が下支えするニューモデルを創設した」との認識を示し、「シンポジウムでは、今後取り組む事業者と共に、理念あるいは施設の役割等を模索していきたい。そのことによって健全な介護医療院が成立することをわれわれも強く願っている」と述べました。

 以下、同日の会見要旨をお伝えいたします。会見資料は、日本慢性期医療協会のホームページ(http://jamcf.jp/chairman/2017/chairman180208.html)に掲載しておりますので、こちらをご参照ください。
 
180208 日慢協定例記者会見2

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厚労省の担当部局は非常に努力をされた

[武久洋三会長]
 いよいよ介護報酬も診療報酬も点数が出てきた。本日の記者会見では、同時改定の内容を中心に当協会の見解を述べたい。今改定をどう評価するか。われわれ日慢協の会員や医療・介護の現場の観点からお話しさせていただく。

 大変厳しい財政状況の中で、今回の診療報酬と介護報酬は少しプラス改定となった。厚労省の担当部局は非常に努力をされたことと思う。

 先ほど、当協会の理事会があり、40数名の役員の先生方にご参加をいただいた。私はそこで「80点以上の出来栄えだ」とお話しした。これに全員から賛成を頂いた。診療報酬も介護報酬も、練りに練られている。診療報酬に関しては、いろいろな抵抗勢力もたくさんあっただろう。例えば、重症度、医療・看護必要度についても、いろいろなご意見があったと思う。看護師の配置基準についても、「病棟内の看護師だけが評価されていいのか」というご意見もあった。

 理事会では、個別の改定項目に関する検討はまだ行っていないが、「いろいろな抵抗勢力があった中では、精一杯に頑張った改定であった」とお話しすると、理事全員もそのように評価してくれた。まず、これを皆さんにご報告したい。

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【2月8日の記者会見の内容】

1.介護福祉士 月8万円の賃上げ問題について
2.2018年度介護報酬改定を受けて
3.2018年度診療報酬改定を受けて
4.第4回慢性期リハビリテーション学会の開催のご案内
5.日本介護医療院協会設立記念シンポジウム開催のご案内

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介護職員の処遇改善を医療の世界でも

 本日は、1~5についてお話しする。まず1について。政府は介護離職ゼロに向けた介護人材確保のため、介護職員のさらなる処遇改善を進める。介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1,000億円程度を投じ、2019年10月から処遇改善を行おうとしている。すなわち、消費税が上がるタイミングで月額平均8万円相当の処遇改善が実施されることになる。

 これまでも介護保険で処遇改善交付金が出ていたが、皆さんもご存じのとおり、これは介護保険適用施設のみとなっている。しかし、医療機関など医療保険が適用される施設においても同様に処遇改善交付金を出すべきではないか。

 確かに、介護福祉士は介護施設の中では、介護の専門家として重要な役割を果たしている。このため日本慢性期医療協会としては、平成29年12月8日に開催された政府与党政策懇談会の提言は、介護の専門家としての介護福祉士の重要性を明確化するものであり、大いに評価したい。

 しかしながらもう一方の医療の世界では、介護福祉士という国家資格者を看護助手と呼び、あくまでも看護職員のヘルプとしての能力しか評価してくれていない。いまや入院患者の約80%が後期高齢者となっている現状で、診療や看護だけでなく介護のよしあしが生命を左右する現状認識があまりにもないのではないかと危惧している。

 介護の専門家を看護の助手としてしか認めていない。これは一体、どこの誰が決めたのかと問いたい。毎日の入院診療において、優れた介護のプロである介護福祉士の働きがなければ入院医療は現実には行えない。10年以上の経験のある介護福祉士に月8万円の評価をしてくれるなら、医療の世界で活躍しているベテラン介護福祉士に対しても、国を挙げて同じように評価してほしいと思う。

 介護と医療は、いまやほとんど別々の専門分野である。超高齢化が進行している現状と未来を考えると、介護の専門家を医療でも適切に評価し、介護の分野だけでなく、医療の分野における介護福祉士も評価してほしい。これまで介護職員の処遇改善加算は介護の世界のみで評価されてきた。しかし、これからは医療の世界でも同様に国が介護職員を支えなければ、医療は崩壊してしまう。

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「右方移動」がうまく進めば医療費の増大は免れる

 続いて、2について。今回の同時改定について、総評を述べたい。今回の同時改定は素晴らしいと思っている。医師の責任がズシンと感じられる改定だ。「医師の役割を誠実にきちんと果たしてほしい」と言われているのと同じと受け取っている。慢性期病棟は慢性期治療病棟として評価し、社会的入院は認めないという明確なメッセージが感じられる改定である。

 診療報酬本体は0.55%のプラス改定となったが、アウトカム評価のさらなる推進や在宅連携の重視などによって改善する人が多くなり、1~2年後には結局、総医療費は減るのではないかと思っている。これからますます高齢患者が増えるが、アウトカムが良くなれば、日常復帰できる患者が増えていくだろう。事実、2016年度診療報酬改定後、医療費増大が懸念されたが、実際の医療費は上がらなかったという結果が既に出ている。

 今回の同時改定において、ドラスティックに患者や要介護者が良くなる方向に評価してもらったので、プラス改定ではあるものの、デイサービスの大規模減算や同一敷地内でのサービス提供による減算、そして1日単価の高い急性期病床から慢性期病床への「右方移動」がうまく進めば、医療費の増大は免れるのではないかと思っている。

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同じ病院内での「垂直連携」は減点が非常に大きい

 「右方移動」を図示した。16ページをご覧いただきたい。

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 左側の急性期から右へ右へと患者に移ってもらう。移りやすいように、そして移さなくてはならないように仕向けた改定だと認識している。

 一方、「垂直連携」に対する評価はどうか。17ページをご覧いただきたい。

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 特に急性期病院では、同じ病院の各階にいろいろな病棟機能を持ち、階が上下する「垂直連携」をしている病院もある。今回の改定では、こうした「垂直連携」を明確に否定はしていないが、むしろ自宅からの水平連携、地域の中から水平に移ってくる患者を大きく評価し、病院内での「垂直連携」については積極的に認める方向には進まず、減点が非常に大きい改定になった。

 病状が軽く、要介護度の重い方については、介護医療院という新しい施設ができたので、積極的な治療をせずに適切に看取る場合には、介護医療院が良いのではないか。これは病状にもよる。がんの末期や、年齢も高く、なかなか良くなる見込みがない場合には、人生の最終段階におけるガイドラインに沿って適切に看取る。この場合には介護医療院がいいのではないか。

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右方移動する所には手厚く診療報酬を出す

 次に、2018年度診療報酬改定の主なポイントについて述べたい。

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 まず、「入院時支援加算」(200点、退院時1回)の新設について。これは、どんどん退院してほしいということ、施設に移ってほしいということである。施設からは在宅に帰ってほしい、右側にどんどん移動してほしいという方向性が非常にはっきりしてきた。

 それから、療養病棟入院基本料の「在宅復帰機能強化加算」の評価が見直され、10点から50点、10%から15%以上になった。右方移動する所には手厚く診療報酬を出すという明確なメッセージである。

 次に、20ページをご覧いただきたい。

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 夜間看護加算の新設については、重い人を入れているのだから、特に夜にきちんとした看護体制を取るようにということで評価することになった。診療実績データの提出が評価され、アウトカム評価(DESIGN-R)を導入し、どんどん良くしようということで褥瘡対策も評価されているが、点数はあまり付けてくれてはいない。医療区分の適正化については、医療区分3のモニターでの算定が少し厳しくなった。それから、療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料(管理料)1と3において、看取り方針を定めておくことが要件化された。

 21ページをご覧いただきたい。

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 回復期リハビリテーション病棟で一番大きいのは、発症から最大6カ月という脳血管障害が、途中で退院した場合には、そこからまだ3カ月算定できるということ。6カ月をオーバーしてもリハビリテーションが認められることになった。

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院内キャッチボールが完全にできなくなる

 今回の改定では、一般病棟7対1を3つに分けた。10対1が以前から分かれているように、7対1も分ける。急性期病院はみな同じ7対1となっていたが、やはり高度急性期と地域急性期には大きな差があるので、ここを明確にしようということだろう。「急性期一般入院料1」は看護必要度30%以上になったが、これについては当然の結果ではないかと思っている。

 逆に言うと、70%はどのような患者でもいいということであり、どう考えても諸外国とは入院の基準が明らかに違う。マスコミで騒がれると芸能人がすぐに入院できるのは日本ぐらいのものではないか。入院できる基準は、これからだんだん厳しくなると思う。

 13対1、15対1については、15対1をベースとして加点する。「地域一般入院料」は1~3となっている。平均在院日数は、「入院料3」が60日以内、「入院料1」「入院料2」は24日以内になった。

 療養病棟入院基本料は、看護職員配置が「20対1」に統一された。医療区分2・3患者割合が「80%以上」と「50%以上」に分かれたが、ほかは現行と大きな違いはない。今後は、療養病棟を慢性期治療病棟としてしか認めないことが明らかである。すなわち、社会的入院はもちろん、25対1の療養病棟と10対1の急性期病棟を1病棟ずつ持っている所が患者を院内キャッチボールするということが、これで完全にできなくなる。看護職員配置「25対1以上」には経過措置があるが減点されている。

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「地域包括ケア病棟入院料1」はかなり高い水準

 地域包括ケア病棟入院料は2つから4つに分かれる。「地域包括ケア病棟入院料1」はかなり高い水準であるので、ここが非常に重要になってくると思う。救急指定は条件には入っていないが、200床未満の病院と200床以上の病院で機能を明らかに分けた。地域の中で多機能な病棟を持つ病院として、地域包括ケア病棟で地域急性期を受けなさいという明らかなメッセージと捉えている。

 30ページをご覧いただきたい。地域包括ケア病棟入院料の診療実績要件。

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 このように、a、b、c、dという項目のうち2項目をクリアしていることが条件になる。この中で、bとcは結構大変だが、aとdは該当するところが多いかと思う。国の方針としては、bとcも頑張ってほしいというのが地域の多機能病院に対する、すなわち地域包括ケア病棟やリハビリ病棟や慢性期病棟を持っている地域の病院に対するメッセージではないかと思っている。

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「回復期リハビリ病棟入院料1」が先鋭化した

 32ページをご覧いただきたい。

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 回復期リハビリテーション病棟入院料については、リハビリの実績指数「FIM利得」を27から、いきなり10ポイント上げたことが非常に大きなニュースである。従来の入院料1が2つに分かれ、1の1となって先鋭化した。1日の点数が2,085点と、リハビリの実績を含めた非常に大きな点数が付いているため、現在の入院料1~3のうち2以上がここを目指すことになると思われる。

 在宅復帰率の要件も見直され、右へ右へと行くようにする。34ページをご覧いただきたい。

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 急性期一般病棟からは、あらゆる病棟が在宅復帰先になるが、地域包括ケア病棟からの在宅復帰は、自宅・介護医療院・居住系介護施設と有床診療所だけしか認められず、回復期リハも同じく自宅・介護医療院・居住系介護施設、有床診療所に在宅復帰先が限定される。療養病棟も自宅・介護医療院、居住系介護施設に退院しないと認められない。老健も同じということになり、急性期からとにかく、どこへでもいいから出したい。そこから先は自宅か居住系に行ってくださいということである。

 4月から介護医療院が新しくできるため、介護医療院への入所を促進するという意味で、在宅復帰先に追加されているが、いつまで在宅復帰先として考えてもらえるかは分からない。少なくとも6年間は在宅復帰先になると思う。

 35ページは以上をまとめている。

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在宅からどんどん受け入れ、どんどん帰す

 36ページは、地域包括ケア病棟や療養病棟で急性期の患者を受け入れた場合の初期加算。

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 これを見ていただくと分かるように、在宅患者を受け入れた場合は非常に大きく、地域包括ケア病棟では3,000円となっている。2週間で4万2,000円になる。

 すなわち、在宅からどんどん急性期患者を受け入れ、2週間以内にどんどん帰せば、たとえ療養病棟でも、1日当たりの単価が非常に大きくなる。地域包括ケア病棟もそういう役割を果たしてほしいという意向である。

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介護報酬改定、アウトカム評価を重視

 介護報酬改定について述べる。このたびの介護報酬改定は、低栄養改善、嚥下排泄リハ、褥瘡対策等をきちんと実施している所に対するアウトカム評価を重視している。今後、これらをきちんと実践していけば患者の状態は良くなり、結果として医療や介護の必要性は少なくなる可能性がある。

 38ページ。2018年度介護報酬改定の主なポイントとして、まず介護医療院の創設を挙げたい。

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 介護医療院はⅠ型とⅡ型に分かれる。早期転換をする場合には、毎日930円を頂けるため、月に2万8,000円くらい、1年間もらえるということで、これは明らかな促進策である。

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機能が多い所から、機能の少ない所に派遣

 39ページをご覧いただきたい。特養でも看取りを進める。

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 太平洋戦争が終わった時に20歳ぐらいであった90歳前後の方々が、焼け野原から立派な現在の日本にしてくれた。われわれにとって恩人、大先輩である。その人たちを特養でどんどん看取るようにと、今までずっと言われてきた。

 しかし、特養に医師はほとんどいない。看護師は100名に3人。夜勤はいない。そういう所で、介護職員が居室に行ってみたら亡くなられていたというのが特養での看取りだ。これでは、あまりに気の毒ではないかと思い、私はこういうことでは先輩方に対して失礼だと何回も言っていたところ、看護師の夜勤を認めていただき、また1万5,000円で医師に夜中に来てもらえる。

 やはり人が亡くなるときには、医師がいて、看護師がいろいろと対応し、「ご臨終です」というのが、死にゆく人を看取る礼儀ではないかと思う。今回の改定で、この点を非常に大きく評価したいと思う。

 医療機能が少ない特養であるが、病院から医療を提供するということは、機能の少ない所に機能の多い所から派遣することにつながる。すなわち、1月の記者会見でも申し上げたように、急性期病院にはリハビリの能力が少ない。そこで、リハビリスタッフがたくさんいる慢性期や回復期の病棟から急性期にリハビリを派遣してはどうかと発表させていただいた。ある機能が多い所から、ある機能の少ない所に派遣し、全体の医療を効率化していくこと。そして、できるだけ早く患者に良くなってもらい、日常に帰っていただくことが、基本だと思う。

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老健の経営、非常に厳しくなる場合も

 老健については、41ページで示しているようにスコア制となっている。

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 90点満点のうち、できるだけたくさん点数を取るようにということ。従来も同じようなことがあるが、これほど徹底はしていなかった。これによって在宅復帰・在宅療養支援の指標として大きくなる。これをきちんと取らなければ、老健の経営は非常に厳しくなる。

 老健の将来について、42ページにまとめた。

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 老健は短期入所を徹底する。早期の在宅復帰を目指し、在宅支援をしてほしい。治療能力、リハビリ能力を向上させてほしいと言われているが、いまだに7割近くの老健は、従来型を取らざるを得なくなっている。そういう所では、「むしろ滞在型を徹底するしかないのではないか」との声まで出ている。

 当協会には老健をお持ちの会員が半分近くいる。本日の常任理事会では、老健の収支が厳しいことを予想する声もあった。日慢協は慢性期医療の団体であり、特養でも老健でも慢性期医療をするため、総論的に日慢協が関わっていかなければならない。今後も、当協会の会員がお持ちの老健については、それなりの発言をさせていただく。

 43ページをご覧いただきたい。嚥下リハや排泄リハを非常に評価してくれることとなった。

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 また、低栄養対策への評価として、月に1人3,000円、また再入所の老健の栄養連携加算についても4,000円、それから通所系でも1回5単位という形で対応してくれている。

 今回の同時改定における日慢協の関連項目についての意見を総論として述べさせていただいた。

 次に、当協会が今月末に開催する「第5回慢性期リハビリテーション学会」について、学会長を務める鈴木龍太先生から発表させていただく。

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「第5回慢性期リハビリテーション学会」について

[鈴木龍太・学会長(鶴巻温泉病院院長)]
鈴木学会長 今年2月26日(月)、27日(火)に、パシフィコ横浜会議センターで「第5回慢性期リハビリテーション学会」を開催し、学会長を務めさせていただく。学会プログラム集の表紙は、鶴巻温泉病院公認のゆるキャラマスコット、「鶴のまきちゃん」、リハビリの女医である。

 慢性期リハビリテーションは、障害発生直後、外傷手術前後と急性期リハビリテーションを経た後の回復期、生活期、維持期、慢性期、終末期、すべてのリハビリテーションを指す言葉であり、日本慢性期医療協会が提唱している概念である。すなわち、急性期以降のリハビリテーションに関する学術大会であり、今年で5回目を迎える。

 リハビリテーションは、人間らしく生きる権利の回復と捉えられ、リハビリテーションで社会参加のお手伝いができたらと考えている。リハビリテーションこそ、Enjoyment of lifeを得られる手段だと思っており、今回のテーマは「リハビリテーションで広がるEnjoyment of life」ということだ。

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 今年は診療報酬改定の年であるため、イブニングセミナーとして厚労省保険局医療課の廣瀬佳恵課長補佐と、当協会の武久会長の講演を予定している。ぜひ、ご参加いただきたい。

 学会のプログラムでは認知症、神経難病、緩和ケア、それから障害者ご自身が障害を乗り越える取組などをテーマにシンポジウムを開催する。ウイークデーの開催だが、ぜひ皆さんにお越しいただき、参加していただきたい。

[武久会長]
 続いて、日本介護医療院協会の設立記念シンポジウムのご案内を江澤先生にお願いする。

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日本介護医療院協会の設立記念シンポジウムについて

[江澤和彦・日本介護医療院協会会長(倉敷スイートホスピタル理事長)]
江澤会長 このたび、介護医療院が4月1日から誕生することを踏まえ、日本慢性期医療協会の中に日本介護医療院協会を新たに設立させていただく。4月2日、パレスホテル東京において設立記念シンポジウムを15時から17時に、その後17時15分ごろから記者会見をさせていただき、18時からパーティーをする段取りにしている。皆さま方に奮ってご参加をお願いしたい。

 なお、介護医療院は介護保険上の介護保険施設であり、医療法上は医療提供施設である。長期療養と新たな概念である生活施設をうまく融合させた施設となっている。介護医療院は、今までと異なる政策として位置付けられている。

 すなわち、転換先のモデルをつくったのではなく、住まいと生活を医療が下支えするニューモデルを創設した。そのあたりをシンポジウムにおいて、今後取り組む事業者と共に、理念あるいは施設の役割等を模索していきたい。そのことによって介護医療院が健全に成熟することをわれわれも強く願っている。そういったことを目的として、日本介護医療院協会をこのたび設立させていただく次第である。

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 介護医療院は、基準にもいろいろと明記されているように、もちろんQOD、質の高い看取り、人生の最終段階における医療、いわゆるアドバンス・ケア・プランニングを行うような看取りも重要な機能であるが、一方でリハビリも提供し、在宅療養も可能になっている。あるいは在宅と介護医療院を行き来することもあるだろう。基準にも明確に書いてあるが、家庭や地域と交流をするという役割もある。特に地域交流を進め、透明性の高い、地域に開かれた施設になっていくことも非常に重要なポイントだと思っている。

 そして生活施設という新しい概念が入っているため、プライバシーにも配慮する。プライバシーにはハードもあればソフトもあると思っており、そのあたりを今後、現場での検証を踏まえつつ、いろいろと考えていきたいと思っている。4月2日には、皆さまの多数のご参加をお待ちしている。

                           (取材・執筆=新井裕充)

 

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