第96回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

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第96回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

 平成28年7月14日、「第96回社会保障審議会医療保険部会」が開催され、当会からは委員として武久洋三会長が出席いたしました。
 今回の医療保険部会では、主に「骨太の方針2016」における医療保険分野の関連事項や、被用者保険の現状についての報告と議論が行われました。

 まず、本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針2016)」にもとづいて、特に医療保険分野に関連する事項について報告が行われました。負担能力に応じた公平な負担・給付の適正化、薬価・調剤等の改革といった事柄を、改革工程表に基づいて着実に実行していく方針です。

 また、骨太の方針2016および改革工程表において指摘されている高額療養費制度、後期高齢者の窓口負担の在り方について意見交換が行われました。委員からは高齢者医療への拠出金割合の増加の懸念や、高齢者の窓口負担における特例措置の撤廃を求める意見などが述べられました。

 議論の中で、武久会長は特に年齢層別の医療費割合について触れ、現在国民医療費の約35%を占める75歳以上高齢者医療費について、急性期と慢性期、あるいは一般病床と療養病床の内訳を示して欲しい、と要望されました。

 医療保険に関連する議題として、被用者保険の現在の財政状況についても報告が行われました。被用者保険には主に、1企業ないし同種同業の事業主等で組織された健康保険組合と、自らは健康保険組合の設立が困難な中小規模事業所の従業員・家族が加入する協会けんぽ、また公務員、私立学校教職員等を対象とする共済組合の3種類があります。今回は健康保険組合と協会けんぽについて、最新の財政状況が示され、協会けんぽでは、高齢者医療にかかる拠出金負担が約4割に上っていること、保険者の賃金の伸び率を医療費の伸び率が上回り、財政構造は赤字構造であることなどが述べられました。健康保険組合についても、26年度決算においては保険料の引き上げによって黒字となったが、高齢者医療への拠出金負担は4割を超えている旨が述べられ、被用者保険団体の委員からは、こうした負担について、現役世代の納得感のある負担を求める声があがりました。

 その他、被用者保険が進める保健事業についても紹介され、データヘルスの推進やがん検診への取り組みなどが紹介されました。委員からは、肺がん予防のための禁煙活動の促進や、早期発見が困難なすい臓がん等について、若い頃からの国民への啓発を求める意見などが述べられました。また、データヘルスに関しては、ICTやビッグデータの活用により保険者機能を強化する新たなサービスの策定のため、有識者検討会の設置が告示されました。
 

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