日病協「第120回代表者会議」 出席のご報告

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日病協「第120回代表者会議」 出席のご報告

 平成26年10月27日(月)、日本病院団体協議会(日病協)の「第120回代表者会議」が開催されました。12病院団体から計16名が会議に出席し、当会からは武久洋三会長と中川翼副会長が出席いたしました。
 会議では、10月22日までに開催された中医協や、第110回診療報酬実務者会議などについて報告、検討が行われました。
 
 社会保障審議会医療保険部会については武久会長から報告がなされました。
 
 医療保険制度改革のうち、短時間労働者の適用拡大に係る課題では、「被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における“格差”を是正する」「働かない方が有利になるような社会保障制度の仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える」などが目標とされています。
 
 短時間労働者への保険適用拡大については、①週20時間以上、②月額賃金8.8万円以上、③勤務期間1年以上見込み、④学生は適用除外、⑤適用拡大前の基準で適応対象となる従業員が501名以上の企業が対象とされており、3年以内に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講じることが予定されています。
 
 武久会長は「政府は国民に“もっと働けるように”という姿勢をとりながら、配偶者控除をはずす等、厚生年金保険については事業者に負担させようとしている。経営基盤の脆弱な中小企業には医療産業も含まれる。基盤の安定していない中小・民間事業者については、何らかの国費を投入すべきではないか」と主張したことを報告しました。
 
 また、岩本康志氏(東京大学大学院経済学研究科教授)が短時間労働者に保険をかけることと事業者負担が増えることに関係性はないと説明したことに対して、武久会長は「労働政策の被扶養者の撤廃・額の引上げの検討が行われることと、短時間労働者の保険適用拡大とは別の次元の話ではない。被扶養者を減らし、労働人口を増やす国策であれば、彼らの保険料は事業者ではなく、国が負担するべきではないのか」と発言したことを報告されました。
 
 続いて、入院時食事療養費ならびに紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担のあり方についても武久会長から説明・報告がなされました。
 入院時食事療養費・入院時生活療養費については、「入院期間が2週間である急性期病院はともかく、精神科など長期入院が必要となる医療機関では患者の負担が大きくなることから、治療食は除外すべき」と発言したことを報告されました。
 
 紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担は、「選定療養」という費用の一部として位置づけられています。医療は制度上、「フリーアクセス」とされていますが、選定療養費を設定することで、かかりつけ医による診察を経て、病態が重い患者には紹介状を発行し大病院を受診するという流れを作り、大病院への患者の集中を回避することが期待されています。
 現在選定療養を実施している医療機関における特別料金の設定状況については、最低105円、最高8400円が設定されていたことや、選定療養費の設定額をどうすればよいかという議論が行われたことが報告されました。武久会長は報告の後、「かかりつけ医への誘導に必要な対策は金額の問題だけではないのではないか」と意見を述べられました。
 
 他の代表者会議出席者からは、「選定療養費が医療保険に対してどのように設定されるのか注意したい。設定額が医療保険に組み込まれて大きな増額にはならないのか、あるいは上乗せとなり大きく増額になるのかによって議論は変わる」などの発言がありました。
 日病協としても、今後の動向を注視する予定です。
 
 診療報酬改定結果検証部会や診療報酬基本問題小委員会などについては、長瀬輝誼氏(中医協委員)から、地域医療構想ガイドライン等に関する検討会については西澤寛俊氏(日本病院協会会長)からそれぞれ報告がなされました。
 
 第110回実務者会議については、猪口雄二氏(診療報酬実務者会議委員長)より報告がなされました。
 猪口氏からは、日病協の実施した医療機関における消費税に関する調査結果の10月22日時点での速報について説明がなされました。本調査の調査対象は四病協あるいは日病協に所属する1075病院で、回答率は40.3%、有効回答は26.2%とされています。
 補填率については、50%未満が12件、50%以上100%未満が165件、100%以上150%未満が63件、150%以上が42件であり、補填率の中央値は87.1%でした。総体的には補填されているものの、個々の医療機関の特性によるばらつきは大きく、過半数の医療機関で補填は不足あるいは過多となっていることが説明されました。
 猪口氏は今後、補填方法の問題点をさらに精査し、より適切な対応策を検討していくとしています。
 

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