浜松医科大学病院の小林利彦氏が役員勉強会で講演

協会の活動等

浜松医科大学病院の小林利彦先生

 国立大学法人・浜松医科大学医学部附属病院(瀧川雅浩・病院長、613床)は2003年4月、患者さんやご家族に対する総合的な医療・福祉相談などのサービス部署として「医療福祉支援センター」を開設、地域連携室や難病相談支援室などと連携して、さまざまな相談や支援を行っています。同センター長で特任教授の小林利彦氏が4月11日、日本慢性期医療協会の役員勉強会で講演しました。

 講演のテーマは、「急性期病院が慢性期医療に求めること&急性期医療に欠けていること」です。小林氏は1983年に浜松医科大学を卒業後、消化器外科医として大学病院のほか療養型病院にも勤務し、ビジネススクールに通うなど幅広い経験をお持ちです。大学病院で副院長を4年間務めた後、現在のセンター長に従事する傍ら、公益財団法人・日本医療機能評価機構で、病院機能評価のサーベイヤー(評価調査者)も担当しています。

 小林氏は、同センターの活動を紹介した上で、「地方の国立大学病院の役割」として、「地域貢献・社会貢献」を強調しました。小林氏は、「国立大学病院の使命と言えば『教育』『研究』『診療』の3つが挙げられるが、近年はさらに『国際協力』、そして『地域貢献・社会貢献』が求められている」と指摘、大学病院はピラミッドの頂上ではなく「地域のヘルスケア環境の底辺を支える役割がある」と述べました。

 また、急性期病院と慢性期病院の連携を阻む壁として、主治医意見書を十分に書けない医師がいる急性期病院側の問題や、急性期病院への信仰が強い住民意識、専門性追求の弊害、慢性期病院側の受け入れ問題などを挙げました。例えば、「○○の処置はできない」と言われるケースがあるなど、慢性期病院の機能的な問題点を指摘したほか、リアルタイムに空床状況を把握できないことも転院のハードルを高めているとしました。また、慢性期病院の受入担当者の応対スキルや、急性期病院志向が強い患者さんを納得させる難しさなども課題に挙げました。

 こうした状況などを踏まえ、病院機能評価が今年4月から新しい評価体系に変わったことを紹介。新体系の基本的なコンセプトとして、「診療プロセスとその支援機能の評価へのシフト」などを挙げ、「今までのように『マニュアルがあるかないか』ではなく、患者さんが外来を受診してから入院、治療、退院するまでのプロセスが適切かどうかを確認する『患者トレース法』が新バーションのスタイルだ」と強調。今回のバージョンから機能種別に「慢性期病院」を加えた5種類となったことを紹介し、「ぜひ受審してほしい」と呼びかけました。
 

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