医療現場の介護職員も「局をまたいで検討を」 ── 介護の処遇改善で田中常任理事

協会の活動等 審議会 役員メッセージ

2022年2月7日の介護給付費分科会

 臨時の介護報酬改定に向けた報告書案をまとめた厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は「処遇改善の対象となっていないサービス種類・職種にも言及していただいた」と謝意を表した上で、「医療現場の介護職員についても介護給付費分科会でも話し合うべき内容なので、局をまたいで検討していただく場をつくってほしい」と提案した。

 厚労省は2月7日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の第207回会合をオンライン形式で開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。

 厚労省は同日の会合に、介護職員の処遇改善などを目的とした「令和4年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」を示し、大筋で了承された。

 審議報告(案)では、10月以降も介護職員の収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための加算の対象や加算率、事業所内の配分方法などを明示した上で、今後の課題や主な意見も挙げた。

 その中で、「これまで処遇改善の対象となっていないサービス種類・職種についても、これらのサービス種類・職種における担い手不足や賃金の実態等を踏まえ、加算の対象とすべき」と明記している。

 この日の会合では、令和3年度改定の影響や経営状況に関する調査案が示され、有効回答率の向上に関する意見もあった。田中常任理事は、回答者の負担軽減を図る方策などを提案した。

■ 令和4年度介護報酬改定に関する審議報告(案)について
.
 審議報告案の2ページ目に「事業者や指定権者の事務負担の軽減・簡素化等にも十分に配慮」ということを盛り込んでいただいたこと、また「処遇改善の対象となっていないサービス種類・職種」について言及していただいたことに感謝を申し上げる。
 これに関しては、かねてより発言しているように、医療現場に勤務している介護職員が、介護現場の介護職員と差をつけられる理由は何もなく、できれば介護給付費分科会でも話し合うべき内容ではないかと思っている。大変、難しい場所で働いている介護職員がいる。ぜひ、局をまたいで検討していただく場をつくっていただければと思う。
 また、「各事業所の介護職員の配置数に応じて給付額が決まる仕組み」と明記していただいたことについても重ねてお礼を申し上げる。

.
■ 令和4年度介護事業経営概況調査の実施案について
.
 調査票「6-1」(介護老人福祉施設に対する調査票)を例に挙げて説明していただいたので、この「6-1」について質問と意見を述べたい。
 まず、5ページの「問2」では、経年で建物の状況を調べるということだが、事業所ごとにデータが番号振りで管理されているので、前回の分が出せると伺っている。そうであれば、変化のない床面積については現場で回答する必要はないのではないかと考える。増改築のあったときにのみ上書きをするようなかたちで回答することで現場の手間を省くことはできないかという提案である。
 もう1つは「問4」の収支に関する設問だが、小規模な事業所になればなるほど、この収支科目分けというのが不十分になっている可能性がある。私も現場でそういったことを聞いている。細かく収支分けがされていない所は、それが理由で回答ができないのではないかということも考えられるので、先ほどから意見が出ている回答率を上げる観点からも、収支を分けていないために回答ができないのであれば、「収支分けを細かくしていない」というような項目を1つ前に設けて、それ以降の項目は記入を免除するというようなことでも回答率は上がるのではないかと考える。
 また、その際には、どういった理由で収支科目分けができていないのか、また収支科目を分けるにあたって、何らかの公的な支援が必要かどうかというようなこともご質問いただけるといいのではないか。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

この記事を印刷する この記事を印刷する
.


« »