社会保障審議会・医療保険部会(11月7日)のご報告

会長メッセージ 審議会

2012年11月7日の医療保険部会

 

■ 「高齢者医療制度の抜本改革」を求める声も
 

 意見交換の冒頭、健康保険組合連合会専務理事の白川修二委員は、「健保組合は負担が増えて困っている。協会けんぽは、積立金を取り崩して保険料の引き上げを抑えるべきだ」などと主張しました。その一方で、「小林委員と同じく、高齢者医療制度の抜本改革がない限り、保険者財政は中長期的にはもたない。そこに手を付けないと、来年度以降の問題は短期的な、付け焼き刃的な対策しか打てない」と述べました。
 経団連社会保障委員会医療改革部会長の齊藤正憲委員も、「財源捻出を目的に健保組合に負担を肩代わりさせることには反対」とした上で、「今求められているのは高齢者医療制度改革を推進して、現役世代の負担軽減を図ることだ」と述べました。

 委員らの意見を受け遠藤久夫部会長(学習院大経済学部教授)は、「抜本改革なく小手先では意味がないとの意見はまさにその通りだが、国民会議で抜本改革に近いことが議論されると聞いている。一方、今年度末に支援策の期限が切れるので、当面、この部会としては期限が切れる時限措置について集中的に審議していくのが適切な対応ではないか」とまとめました。
 大島課長も、「年内に期限が切れる措置について集中的に議論し、結論を出していただきたい。抜本的な議論は国民会議で始まるが、当部会でも並行して議論をお願いしたい」と応じました。
 

■ 医療問題はすなわち高齢者問題
 

 協会けんぽへの財政支援策をめぐる議論の中で、武久委員は「皆さんの言葉の端々に、高齢者医療の問題が出てくる」と指摘した上で、次のように述べました。

 「大学病院の入院患者さんの平均年齢が70歳を超えているというデータもある。すなわち、医療問題はすなわち高齢者問題とほぼ同義語ではないか。高齢者が高度急性期病院に入院している。処置が終わった後も入院している。この1日当たりの入院医療費が非常に高い。処置が終わったら次の段階に移っていくという仕組みを考えていかないと、根本的な解決にはならない。『高齢者医療がどんどん増えるから高齢者医療費を減らすんだ』という単純な策ではなく、システム上の問題を議論すべきではないか。治療が終わっても長く入院している人をできるだけ少なくするような議論も必要ではないか」
 
武久洋三委員(写真中央、日本慢性期医療協会会長)
 

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