技能実習生の受け入れを全国に広げたい ── 定例会見で富家常任理事
日本慢性期医療協会は9月12日の定例記者会見で、外国人職員の雇用について見解を示した。技能実習生の監理団体として受け入れ支援等に取り組んでいる埼玉県慢性期医療協会会長の富家隆樹常任理事が現状を説明した上で「技能実習生の受け入れを全国の会員施設で広げていきたい」と述べた。
富家常任理事は、厚生労働省の「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」の委員も務めている。富家病院を中心に医療・介護・福祉を展開する「富家グループ」では、医師や看護師、介護士など計92人の外国人材を雇用している。
この日の会見では、富家常任理事が「外国人職員の雇用について」と題して説明。外国人職員の増加に伴い、技能実習生の管理費も増加している状況を伝えた上で、「診療報酬や介護報酬で補填されない」と指摘。受け入れ施設の負担を軽減するため、「埼玉県慢性期医療協会の監理団体のシステムを全国の会員施設に広げていく。外国人人材の受け入れという方面からも、会員病院のサポートをしていこうと考えている」と語った。
富家常任理事の説明は以下のとおり。なお、会見資料は日本慢性期医療協会のホームページをご覧いただきたい。
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介護職の求人倍率が高い
[矢野諭副会長]
定刻になったので令和6年9月の定例記者会見を開始する。まず橋本会長からご挨拶を申し上げる。
[橋本康子会長]
本日は、外国人職員の雇用について当会の事務局長である富家隆樹先生から説明していただく。
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[富家隆樹常任理事]
介護職員の求人倍率は2022年に3.79倍と高止まりしている。
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訪問介護職員の求人倍率はそれよりも遥かに高く、15.53倍となっている。
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外国人の人材が増えている
当会は今年7月、「看護補助者のためのケア業務レベルアップ講座」を開催した。
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全参加者191人のうち、外国人の参加者は9人(5%)であった。当会主催の講座には外国人も参加している。外国人の人材は会員病院でも増えている。
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富家グループ全体では、92人の外国人に働いていただいている。中国、ブラジル、インドネシア、ベトナムなど多くの国からお越しいただいている。
職種は看護師、看護助手、介護士、事務、清掃など幅広く、富家千葉病院には中国人の医師が勤務している。
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介護の技能実習は7人、特定技能は28人である。
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外国人材が増えると管理費が増える
外国人を雇用する上で問題になるのが管理費である。技能実習生1人につき、全国平均で月4万4,351円の管理費が発生する。
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技能実習生が増えれば増えるほど、すなわち外国人材が増えれば増えるほど管理費が増える。
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今年度、富家グループの施設では管理費の総額が2,500万円に達すると見込んでいる。外国人雇用に係る管理費用は、診療報酬や介護報酬で補填されるものではなく、補助金などが出るものでもない。施設側から出ていく出費である。
当会会員のグループ施設における外国人雇用の状況も同様である。管理費として、1,500万円以上の出費がある。
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管理費を引き下げている
私が会長を務める埼玉県慢性期医療協会では、外国人技能実習生の監理団体として受け入れ支援等に取り組んでいる。現在、受け入れていただいているのは8施設。2024年7月現在の受け入れは14人、延べ20人である。
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埼玉県慢性期医療協会は日本慢性期医療協会と同様、一般社団法人であり、営利企業ではない。管理費については、ある程度、諸経費を加味するだけで利益を残さずに運営できるので管理費を年々、引き下げている。
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2019年は4万5,000円だったが、24年9月からは2万円と、当初の半分以下の管理費にすることができている。
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監理団体のシステムを広げていく
日本慢性期医療協会では、「外国人人財に対する今後の取り組み」として、技能実習生の受け入れを全国の会員施設で広げていきたいと考えている。
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埼玉県慢性期医療協会の監理団体のシステムを全国の会員施設に広げていくことで、全会員施設の管理費の負担を極力、最低限にするようにできればいいと考えている。
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「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」という理念の下、外国人人材の受け入れという方面からも会員病院のサポートをしていこうと考えている。私からは以上である。
2024年9月13日