「HOSPEX Japan 2011」で日慢協役員らが講演

協会の活動等

日本の風景-075

 午後のテーマは、「在宅療養支援病院と地域連携」でした。

 まず、介護力強化病院連絡協議会(現日本慢性期医療協会)の初代会長で前日本医師会常任理事の天本宏氏が基調講演しました。

 天本氏は、「自らの在宅医療支援の実践から、今後の慢性期医療機関の在宅医療支援病院の在り方を問う」をテーマに、地域での生活を支援するトータルケアサービス体制の必要性や、これからの超高齢社会のケアを支える「地域包括ケア支援病院構想」、来年度の同時改定に向けた課題など幅広い観点から政策提言しました。

 情熱あふれる講演の最後で天本氏は、「今日は叫び続けました。私の思いを述べました。制度も方針も30年前から変わっていない。業界とのかかわりとか、いろんな問題がありますが、制度も変えていかなくてはいけない」と訴えました。

 続いて、日慢協の事務局長・常任理事で地域連携委員会委員長を務める池端幸彦氏が「『地域支援型慢性期医療拠点』としての慢性期医療の役割と、これからの循環型地域連携システムについて」と題して講演しました。

 池端氏は、政府の「社会保障と税の一体改革」で示された方向性や、来年度の同時改定に向けた課題などを丁寧に説明しました。詳細な分析データを基に、医療や介護を取り巻く環境が急速に変化していく状況を分かりやすく示しました。

 今後の医療・介護体制の中で果たす「在宅療養支援病院」の役割などにも触れながら、「急性期 → 慢性期 → 介護期 → 在宅期 → 急性期 → 慢性期 → 介護期 → 在宅期」という循環型の地域連携システムを構築する必要性を指摘しました。

 その上で、「めざすべきこれからの慢性期医療・介護」として、▽尊厳を大切に ▽生活・人生を視点に置く ▽地域との連携がとれる ▽医療との連携がとれる ▽デマンドとニーズの違いを理解 ▽リハビリテーション・認知症の理解 ▽ターミナルケアを理解 ▽テーラーメイド医療とテーラーメイド介護 ▽医療なき介護は無く、介護なき医療も無し──などを挙げました。

 池端氏は、これらの目的を達成していくために多職種が協働し、チームでアプローチしていく重要性を指摘、「良質な慢性期医療がなければ、日本の医療は成り立たない」と締めくくりました。会場は定員オーバーで、立ち見の人があふれていました。

 2日目のセミナーでは、日慢協の栄養委員会委員長を務める加藤正彦氏や、診療の質委員の委員長である矢野諭氏らが講演。3日目は、看護師や作業療法士らコメディカルの立場から、院内での取組みや改善策などが幅広く紹介されました。【新井裕充】

 

 
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