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「改定に沿ったマインドで努力していく」── 2月18日の会見で武久会長

Posted By araihiro On 2016年2月19日 @ 11:40 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会は2月18日、①2016年度診療報酬改定を受けて、②第3回慢性期リハビリテーション学会の開催──をテーマに定例記者会見を開きました。①について武久洋三会長は、慢性期医療に関連する項目についてコメントし、「全般的に日慢協がすでに実施しているさまざまな取り組みに対する追認評価を頂けた」と評価。「今後も患者さんのために良い医療をさらに進めていきたい。この改定に沿ったマインドで今後も努力していく」と述べました。

 続いて、2月27日と28日の2日間にわたり神戸市内で開催される「第3回慢性期リハビリテーション学会」の木戸保秀学会長(松山リハビリテーション病院院長)が学会の開催趣旨などについて説明しました。今学会のテーマは、「地域に活きる~徹底的な予防リハビリテーションに取り組む」──。木戸学会長は、シンポジウムや講演のプログラムを紹介した上で、「今回の学会では、生活や社会参加を意識した内容を多く盛り込んだ。地域に活きる、徹底的な予防リハビリテーションという目標に向けて頑張っていきたい」と抱負を語りました。

 以下、木戸学会長の説明を紹介した後、今改定に関する武久会長のコメントをお伝えいたします。なお、第3回慢性期リハビリテーション学会のプログラムは同学会のホームページを、同日の会見資料は日本慢性期医療協会のホームページをご参照ください。

 第3回慢性期リハビリテーション学会
 http://gakkai.co.jp/manseikiriha3/
 
 同日の会見資料
 http://jamcf.jp/chairman/2016/chairman160218.html
 

■ 第3回慢性期リハビリテーション学会の開催について
 
[木戸保秀学会長(医療法人財団慈強会理事長、松山リハビリテーション病院院長)]
 第3回慢性期リハビリテーション学会の学会長を仰せつかった松山リハビリテーション病院の木戸と申します。よろしくお願いいたします。

 2月27日(土)、28日(日)に、神戸国際会議場で開催する。「地域に活きる~徹底的な予防リハビリテーションに取り組む」を学会テーマとして、様々な講演やシンポジウムを企画している。2日目の特別講演では、「地域に活きる~慢性期リハビリテーションの方向性を探る~」と題して、厚労省医政局地域医療計画課・迫井正深課長をお招きしている。

木戸保秀学会長20160217 今学会のテーマに掲げた「予防リハビリテーション」という言葉は、ちょっと聞き慣れていないかもしれない。けがをしない、肺炎を起こさないという予防に関するリハビリテーションをきちんとやれるかどうかが重要であると考えている。
 
 リハビリテーションによって機能回復を図ることは当然である。さらに介護予防や生活習慣病予防に必要な予防リハビリ、そして同時に社会参加を推進していく生活リハビリを実践していくことも私たちの使命であると考えている。

 平成28年度の診療報酬改定では、質の高いリハビリテーションの推進を目指して、4つのキーワードが掲げられている。その4つめのキーワードとして「具体的な目標を意識した戦略的なリハビリテーション」が挙げられている。今回の改定では、要介護被保険者に対する維持期のリハビリテーションについて、目標設定支援等・管理料が新設された。

 医療保険のリハビリテーションを単に身体的な機能の向上だけのために行うのではなく、目標をしっかり意識したリハビリテーションを実施し、リハビリ後にどのような社会参加や自立を図っていくのかを見据えたリハビリテーションに取り組む必要があるという趣旨ととらえている。私たちも、そのような方向を目指していきたい。今学会のシンポジウムや講演は、そのような方向性に沿った内容になっている。

 学会初日のシンポジウム1は、「生活行為向上リハビリテーションにどう取り組むか」というテーマで開催する。維持期のリハビリテーションを介護保険のリハビリテーションとどのように結びつけていくかという課題に迫る。
 
 シンポジウム2は「地域包括ケア病棟のリハビリテーション」をテーマとする。地域包括ケア病棟入院料では現在、リハビリ2単位が包括化されているが、今改定では回復期リハビリテーション病棟で一部包括になる。リハビリ包括化の流れの中で、どのようなリハビリテーションに取り組むかが課題である。こうした問題についても議論したい。リハビリスタッフが充足されない制約された環境下において、短期間でいかにリハビリテーションの効果を示していけるか。まさにこれからの慢性期リハビリテーションの在り方を考えるテーマである。

 シンポジウム3では、認知症を取り上げる。2日目のシンポジウム4では、がんのリハビリテーション。シンポジウム5では、慢性期のリハビリテーションに必要な食支援のための予防、口腔・嚥下機能の低下とオーラル・フレイルを考える。

 2日目の特別講演には、わが国の障害者スポーツの発展に多大な貢献をされているJPC(日本パラリンピック委員会)事務局長の中森邦男先生をお招きした。「パラリンピックスポーツの魅力」と題して、ご講演いただく。スポーツは、障害を抱える方々も社会参加できる分野であると思う。

 今回の学会では、生活や社会参加を意識した内容を多く盛り込んだ。地域に活きる、徹底的な予防リハビリテーションという目標に向けて頑張っていきたい。多くのご参加をお待ちしている。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
[武久洋三会長]
 会場は神戸の三宮で、神戸空港からライナーが出ている。当日の参加者はすでに1,000名を超えており、非常にアクティビティの高い会員が多い。

 日本リハビリテーション病院・施設協会の栗原正紀会長をご来賓にお迎えしている。今学会は、他のリハビリ関連の団体とも連携し、回復期から在宅医療までトータルなリハビリテーションについて勉強する学会である。今後、大きく発展していくことを期待している。来年の第4回学会は横浜で開催することも決まっている。
 
 また、今年10月27・28日には、第24回日本慢性期医療学会を金沢市で開催する。どちらの学会にもぜひお越しいただければ大変ありがたい。
 

■ 2016年度診療報酬改定を受けて
 
[武久会長]
 まず療養病床の歴史について述べたい。今までどのような経過をたどってきたのか。療養病床は当初、「特例許可病院」、「介護力強化病院」という名前だった。2001年の医療法改正によって療養病床が創設された。

2月18日会見資料_ページ_01

 右下の表をご覧いただきたい。
 介護療養病床と医療療養病床を合わせたトータルの病床数は、06(平成18)年の38.4万床から15(平成27)年には34.0万床に減少しているが、これは介護療養病床の減少によるものであって、医療療養病床はむしろ増えている。

 その間、06(平成18)年に「医療療養病床を10万床減らせ」というキャンペーンがあったが、ほとんど影響なく、療養病床の転換の促進策はとりやめになって解消された。われわれは、きちんとした慢性期治療病棟を目指している。

 2ページをご覧いただきたい。
 今回の改定では、療養病棟入院基本料2に初めて「医療区分2または3の患者割合の合計が5割以上」という要件が入った。

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 これは当初、「6割以上」という厳しい要件になることも想定されたが、「5割以上」ということになった。今年9月までは経過措置がある。10月以降、この要件をクリアできない場合でも、30対1以上であれば5割減にとどまる。

 これは療養病棟入院基本料2の救済策であるが、医療法上の看護配置基準をクリアできていないので、平成30年の同時改定の時に療養病床をどうするか。この点について、厚労省の「療養病床の在り方等に関する検討会」で議論された。今年1月に「新たな選択肢の整理案」がとりまとめられ、おおまかなことは分かっているが、ここを具体的に詰めていくために、これから検討委員会などがつくられると思っている。

 3ページをご覧いただきたい。
 今回、療養病棟の医療区分について「きめ細やかな評価」ということで、医療区分が一部変更になった。

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 医療区分3の「酸素を投与している状態」については、安易に酸素を投与して医療区分3を取っている所があると厚労省は考え、ここを厳密にして医療区分3と2に分けた。「頻回の血糖検査」、「うつ症状に対する治療」についても、同様の考え方で医療区分2と1に分けている。きちんとした日慢協の会員であれば、このような見直しに対して大きな影響はない。

 4ページ、療養病棟在宅復帰機能強化加算の見直しについて。

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 他院からの入院患者には「入院期間1ヵ月以上」という要件が外れるが、自院から転棟した場合には、今までどおり。新たに、ベッドの回転率が10%以上ということが求められる。 

 療養病床を2つ以上持っている病院の多くは、そのうち1つを在宅復帰機能強化型にしていると思われるので、その計算の中に1ヵ月以内も入るということで、さほど大きな影響はないだろう。

 5ページ。一般病床と療養病床の差がどんどん縮まっているということ。

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 6ページ、地域包括ケア病棟入院料の見直しについて。500床以上の病院で、右下のような施設基準を届け出ている病院は、1病棟しか地域包括ケア病棟にできない。
 

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 すなわち、大規模な病院が大規模に地域包括ケア病棟を取ってしまうと、市中病院の混乱を招くということへの配慮であると思われる。

 7ページ。療養病床へのクラークの導入が始まった。

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 50対1を取るためには、年間の緊急入院患者数が100名以上の実績を有することが必要であるので、慢性期病院にとっては難しい。すなわち、急変患者を24時間受け入れているような病院でなければ、医師1人にクラーク1人は不要だろうという判断だが、今回の改定では、「75対1、100対1補助体制加算」については、「100名以上」から「50名以上」に緩和された。

 急性期病院よりも慢性期病院のほうが医師の数が少ないので、慢性期病院のほうが医師クラークを必要とする。すでに慢性期病院には医師クラークを配置しているので、100対1を取ろうと思えば取れる。今回の見直しはありがたいと思っている。

 9ページ。退院支援加算が新設され、療養病床は1,200点となっている。これは非常に大きい。

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 従来から日慢協では、老人収容所的な病院ではなく、きちんと治療して1日も早く自宅に帰すという取り組みを推進してきた。今回の退院支援加算では、専従の看護師や専任の社会福祉士の配置などが要件に入っているが、1,200点を取る方向に進むだろう。

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 主な施設基準を見ると、連携医療機関との定期的な面会などが求められているが、こうした取り組みを従来からやっている医療機関は、退院支援加算が取りやすい。恐らく、ほとんどの病院が退院支援加算1を取りにいくと思う。

 一方、今回の改定では、マイナス面もある。11ページ、障害者施設等入院基本料について。

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 障害者病棟には、脳卒中の後遺症で意識障害を有する患者さんが多く入っているが、医療区分の基準を参考にして、医療区分1・2の場合はこういう点数になった。ただし、医療区分3の場合は従来通りの点数を算定できる。障害者病棟の入院基本料を適正に算定している病院は問題ないものの、若干の減収となる。

 12ページ、薬剤総合評価調整加算について。これは非常にありがたい。

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 日慢協では約6年前から、東京大学大学院加齢医学講座の秋下雅弘教授の指導の下、1日の処方は5剤までということを徹底してきた。従って、多くの会員病院では、入院時から持参薬を大幅に減らすということが慣習になっている。この加算は、かなり多くの会員病院が取れるのではないかと期待している。

 13ページ。地域包括診療料・同加算の施設基準が緩和される。

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 慢性期病院は二次救急の指定を取っていない所が多いので、今回の緩和によって、この点数が取りやすくなる。ぜひ取っていただきたいと思っている。

 14ページは、認知症地域包括診療料。「内服薬は5種類以下」などの算定要件がある。

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 「認知症以外に1つの疾患」ということを考えると、地域包括診療料の場合にも対象疾患に認知症が入っているので、地域包括診療料のほうが算定しやすいが、方向性としては「認知症の薬などを山ほど出すな」ということだと思う。

 15ページは、身体疾患を有する認知症患者のケアに関する評価。認知症ケア加算が新設された。同加算1は14日まで150点、2週間以降も30点くれるということは、認知症患者を受け入れやすくするのだと思う。
 

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 これは大学病院、急性期病院なども含まれているので、かなり広範囲に認知症の合併症患者を診ることを評価するということ。

 加算1の条件には、「認知症治療の経験と知識が十分ある専任の常勤医師」とあるので、当協会でも研修の必要性を考えている。
 また、「認知症看護経験があり一定の研修を修了した専任の常勤看護師」ということなので、こちらについても当協会で研修会を開く予定となっている。

 16ページは、栄養食事指導について。これは非常に大きく影響してくる。

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 対象者は、がん患者や摂食・嚥下機能不全、低栄養状態。医師が、硬さや付着性、凝集性などを配慮して嚥下調整食をつくるなどの条件が定められている。従来の指導料と比べると倍増になる。

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 外来栄養食事指導料は130点から260点となり、2回目以降も200点。栄養改善がかなり促進されるだろう。

 18ページ。今回の改定で、療養病床では大幅な減点となる。

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 パックをそのまま吊れば手間が省けて、そのまま栄養食になる便利な製品がいくつも出ている。これが640円から575円に下がった。毎日65円分がなくなるので、1ヵ月で2万円近い減収となる。

 それよりも大きいのは、特別食加算が算定できなくなったこと。これは当然のことだと思う。なんの努力もなしに特別食の加算が取れていた今までのほうがむしろ幸運だったと思う。既成のものをそのまま投与するだけで特別食の加算を頂いていた。ここは訂正されて当然であるが、これが大きな減収になると思う。

 19ページ。回復期リハビリのアウトカム評価について。4つのキーワードが掲げられている。

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 20ページ。回リハ病棟におけるアウトカムの計算式で、FIM利得が27未満であれば、その病棟は6単位までで、7~9の3単位は算定できない。部分包括のような形に変更される。

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 地域包括ケア病棟は2単位が包括。リハビリの包括化が回リハにも及んでいる。
 3ヵ月ごとに評価するので、7~9月がクリアしていても、10~12月がクリアできなければ「実績が一定の水準に達しない」ということになる。6ヵ月を通じてクリアしなければならないので、かなり厳しい。

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 脳血管リハビリは6ヵ月間の入院期間があるが、3ヵ月間で退院させればFIM利得27点を14点ぐらいに下げることができる。従って、脳血管のリハビリに対しては3ヵ月ぐらいで改善して在宅復帰させよというメッセージであると思っている。
 
 回復期リハビリテーション病棟協会のデータによると、脳血管障害に対するリハの平均は89日ぐらいなので、だいたいこれに合っている。もちろん、入院期間が長い病院もあれば短い病院もあるが、長い病院はきちんとやってくれというメッセージかなと思う。

 22ページ。疾患別リハ料の初期加算、早期加算について、ちょっと曖昧であったので整理したということ。

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 急性期病院に長く入院していると、回復期リハなどの後方病院は初期加算・早期加算が取れない。この見直しによって、急性期病院におけるリハビリ職員の雇用促進につながるかは分からない。

 前回の会見で示したように、急性期病院に1ヵ月以上入院しているとFIM効果が非常に悪くなる。何もしないで急性期病院に長く入院しているということは、寝たきりをどんどんつくる原因になる。こういう考え方が恐らく通説になっていくだろう。

 そうなると、急性期病院はできるだけ早期に回復期リハ病院などに転院させるか、どんどんリハビリをやるか、そのいずれかになる。200床前後の急性期病院は、PTやOTを雇って自院内の回復期リハ病棟でリハビリをやるが、高度急性期病院はできるだけ早く出すという方向に流れるのではないか。急性期病院のADL維持向上等体制加算は25点から80点に引き上げられる。

 24ページ、在宅復帰率の比較。前回の会見でも述べたように、急性期病院での入院期間が短いほど、後方病院での在宅復帰率が高くなる。

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 棒グラフのブルーの部分が「自宅」。見てお分かりのように、3ヵ月以上になると、明らかに在宅復帰率が落ちていく。寝たきりになって、どこかの施設に入らなくてはいけなくなる。これが日本の寝たきり増加の原因になっているので、急性期病院は早めに出してほしい。今回の改定における厚労省のスタンスも同様であると思う。

 25ページ。回復期リハ病棟の体制強化加算の施設基準を見直す。

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 現在、体制強化加算1の施設基準では、「専従の常勤医師」としており、病棟以外の業務に就いてはいけないという非常に厳しいものだったが、少し基準を緩めて「同加算2」を新設する。ドクターは専従で2名以上と厳しくなるが、外来診療などほかの業務に従事できる。このため、同加算2を取る病院が増えるだろうと思っている。

 そのため、日慢協でも3月20、21日に、体制強化加算の研修会を開催することになっている。恐らく今年度内にこの研修会を開くのは日慢協だけであると思う。すでに160人ぐらいの申込みがあり、会場の都合で参加を断っている状況にある。

 26ページは、廃用症候群リハビリテーション料の新設について。

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 これまで、廃用症候群のリハビリと脳血管のリハビリを一緒にしてきたのがおかしかったので、廃用症候群リハビリテーション料を新設したことは評価できるが、点数が大幅に違うという問題がある。

 とりあえず、4ヵ月ぐらいをめどにやる。廃用症候群の場合は神経損傷がないので、短期間で集中的にリハビリをやればかなり良くなる可能性がある。初期加算も付いてくるので、急性増悪した慢性期の患者さんは、1ヵ月以内に改善させて帰してあげるという努力が必要になる。

 27ページは維持期リハビリテーションについて。

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 「維持期」、すなわち算定日数を過ぎた患者さんについては月13単位まで認められている。今年4月から、これが全廃されるかと思ったが、まだ受け入れ体制が十分ではないということで、平成30年4月まで廃止が延期された。

 しかし、ペナルティーがある。「4割引でやれ」ということになっているので、かなり厳しくなる。介護保険のリハビリを全くやっていない場合には厳しい。通常の48%ぐらいになる。

 先ほどの理事会で、「デイケアがない所はできるだけデイケアを併設してください」と伝えた。介護保険のデイケアと、現在の維持期リハとを併用して、この2年間やって、各病院内で順調に移行できるような体制をとるように勧めている。

 28ページ。目標設定の支援。要介護被保険者等に対するリハビリの機能予後の見通しの説明、目標設定の支援等を評価する。

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 算定要件はこのようになっている。この目標設定等支援・管理料を取る方向でやっていかなければいけない。入院患者さんだけではなく、退院した後のフォローもしっかりやってくださいということ。予防、緊急入院、入院中の治療、そして退院後のフォローもちゃんとやりましょうということ。

 29ページ、摂食機能療法の対象の明確化等について。

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 昨年10月8日の記者会見で、「嚥下障害と膀胱直腸障害に対するリハビリを優先すべき」と申し上げた。STが1日平均5.6単位の摂食・嚥下訓練を実施したところ、大幅な改善が見られたというデータをお示しした。

 今回の改定では、摂食機能療法を評価していただき、経口摂取回復促進加算2が新設された。内視鏡下嚥下機能検査や嚥下造影は専門的な療法である。胃瘻の患者さんが多い中で、嚥下訓練をきちんとやる。これにより、われわれが10月の会見で示したような結果が得られる可能性があるので、ぜひこの加算は取っていただきたい。

 30ページ右側、経口摂取回復促進加算2の施設基準(2)をご覧いただきたい。「3割以上」が良くなっていればいいということ。

2月18日会見資料_ページ_30
 

 10月の会見で示したような摂食嚥下訓練を集中的にやることによって、この施設基準にあるレベルの回復はできている。今回の評価は、われわれが取り組んできた嚥下障害のリハビリを追認していただいたものであり、大変ありがたい。

 鼻から管を吊って、意識ははっきりしていて、おむつをしているという人をできるだけ救ってあげたほうがいい。集中的にやれば、かなり救えるという結果も出しているので、このように評価していただけると大変ありがたい。今後、STの重要性が増すと思われるが、残念ながらSTの教育機関がまだ十分ではないので、そのうちSTの奪い合いが起こるのではないか。

 以上、われわれに関連する主な個別改定項目について説明した。

武久会長20160217 全般的に言うと、日慢協がすでに実施しているさまざまな取り組みに対する追認評価を頂けた部分がある。患者さんのために良い事は、保険が付いていなくてもやっていれば認めてくれる。きちんとしたデータを出して、EBMをちゃんと示せばそれなりに評価してくれる。

 今後も日慢協としては、診療報酬上の評価に関わらず、患者さんのために良い医療をさらに進めていきたいと思っている。今回の診療報酬改定については全般的に、日慢協として非常に評価している。この改定に沿ったマインドで今後も努力していく所存である。

 平成24年から始まった改革が26年に大幅に進み、28年で緻密に改革され、さらに同時改定の30年で一応の結論に至る。30年までには、2025年に向けた医療提供体制の整備が完全に改革されて提示されるものと思っている。
 
 日本慢性期医療協会としても、これからの2年間は大きな試練の年である。われわれはきちんとした慢性期医療を提供することによって、患者さんを早く地域に戻すという本来の目的に邁進したいと思っている。今後とも、皆様にご協力をお願いしたいと思う。

                           (取材・執筆=新井裕充)
 



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