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1月25日の社保審・介護給付費分科会のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年1月25日 @ 11:03 PM In 審議会 | No Comments

 厚生労働省は1月25日、第88回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、日本慢性期医療協会の武久洋三会長が委員として出席しました。答申に向けた平成24年度介護報酬改定の諮問について議論されるため、会場は満席で数多くの報道関係者も集まっていました。

 今回は、辻泰弘厚生労働副大臣も出席され、挨拶の中で、「これまでの議論の集大成である審議報告ならびに改定率を踏まえ、各サービスの報酬単価の設定を諮問したい」と述べられました。

 はじめに、厚生労働省の宇都宮啓老人保健課長より、改定の骨子および各サービスの報酬・基準の見直しについて概要が説明されました。

 報酬全体の改定率は+1.2%で、介護職員の処遇改善については、これまでの交付金相当分を介護報酬に円滑に移行していくために、介護職員処遇改善加算を創設する。また、施設系のサービスでは、介護療養型医療施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設の介護保険三施設について共通して「認知症行動・心理症状緊急対応加算」を設け、在宅での対応が困難となった患者の受入れを評価していくとのことでした。

 約1時間の説明の後、各委員からの質疑に移りました。

 質疑に入る前に、大森彌分科会長(東京大学名誉教授)から、介護報酬の改定率を+1.2%とすることは、昨年末に財務大臣、厚生労働大臣そして前原民主党政策調査会長にすでに報告済みなので動かすことはできないことを確認され、「当分科会の審議報告に則して定められた改定率なので、それほど違和感はないと思う」と述べられました。

 質問のトップに、武久会長から、多くの加算が新設されることについて、「各施設の基本報酬が軒並み下げられる中、各加算がどのくらい算定されるかを個別に推定して+1.2%という改定率を算出したのか」という質問をしたところ、宇都宮老人保健課長から、「基本報酬は下がるように見えるが、介護職員処遇改善交付金に代わる介護職員処遇改善加算を睨みつつ設定した結果である」との説明がありました。

 議論が集中した介護職員処遇改善加算については、田中滋委員(慶應義塾大学大学院教授)からは、「処遇の改善については、賃金についてだけではなく、生きがいやキャリアアップ、勤務環境などについて検証を行っていく必要がある」との発言が、三上裕司委員(日本医師会常任理事)からは、「『賃金・物価の下落傾向』を踏まえていくことを改定案にも明記してほしい」との発言がなされました。

 改定全体に対する要望として、勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)から、「介護保険を利用するのは高齢者なので、今回の改定についてわかりやすくお知らせし、周知徹底を十分にしてほしい」との意見が述べられました。

 各委員からの意見がひととおり出された後、大森分科会長が諮問について委員に問い、平成24年度の介護報酬の改定案は了承され、同日中に小宮山洋子厚生労働大臣に答申されることになりました。

 最後に、宇都宮老人保健課長より、今回の介護報酬改定の検証を目的として「介護報酬改定検証・研究委員会(仮称)」が設置されることが報告され、閉会となりました。
 

介護給付費分科会(1月25日)
 



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