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虐待防止措置などで意見 ── 介護保険部会で橋本会長

Posted By araihiro On 2022年9月27日 @ 11:11 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 高齢者の虐待防止措置などがテーマになった厚生労働省の会合で日本慢性期医療協会の橋本康子会長は、サービス付き高齢者向け住宅やシェアハウスについて虐待防止措置に該当する規定がないことに対し、「何らかの法的な規定も必要ではないか」と述べた。

 厚労省は9月26日、社会保障審議会(社保審)介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)の第98回会合を一部オンライン形式で開催し、当会から橋本会長が委員として出席した。

 この日の主な議題は、①給付と負担、②その他の課題──の2項目。このうち②では「高齢者虐待防止の推進」などの論点が示され、各委員が意見を述べた。橋本会長の発言要旨は以下のとおり。

■ 給付と負担について
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 介護費用は増加し続け、いずれ限界に達するという議論がある。その中で、要介護度が改善された場合には何らかのメリット、例えばインセンティブ制度の導入が必要ではないかと思う。これは私たち福祉や医療に携わる者の課題だと認識している。高齢者の方々は、お世話されるだけの人たちではない。身体や高次脳機能障害などに対するリハビリテーションなどを的確に提供して、たとえ歩けなくても、車椅子でも、障害があったとしても何らかの方法で自分でできるだけ生活を行っていく期間を長くすることが大切だと思う。
 介護や福祉の業界では、高齢者の自立に向けてリハビリやケアを行っていくのは当たり前だと言われてはいるが、現実には寝たきりの高齢者がどんどん増えている。そのため、アウトカムを今後は取り入れていくべきである。頑張って要介護度を下げれば報酬がアップするという何らかのインセンティブ制度を導入してほしいと思っている。

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■ 高齢者虐待防止の推進について
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 参考資料の43ページ(施設における虐待防止措置規定等の違い)の表を見ると、例えば設置規定について「届出」「登録」があり、この違いがわかりにくい。有料老人ホームでは届出の内容を確認して許可を与えるようなプロセスは規定されていなかったり、一方でサ高住では登録しないと事業を行うことができない。 
 ただ、登録と虐待防止措置との関係がわからないところもあるので、もう少し詳しい説明が必要だと思う。確かに有料老人ホームなど、いろいろ法律は違うのかもしれないが、最近は、サ高住やシェアハウスが増えてきているので、そういったところで何らかの法的な規定も虐待に関しては必要ではないかと思う。
 また、虐待という言葉が強いので、そんなことはあまり起きていないように思われるかもしれないが、虐待類型として身体拘束やネグレクトなども含まれている。「うちは暴力的な行為はしていません」と言われるが、本当にそうなのか。身体拘束をしてはいけないとされているが、なかなかチェックできていない。ネグレクトなど、虐待とまでは言わないにしても、それにつながるようなことが起きてきていると思うので、そのあたりはきちんとやっていかなければいけないと思う。 
 そして、認知症の方が増えていくことに関しては教育。認知症へのきちんとした正しいケアスキル、看護スキルを身につけていない介護スタッフもいる。また介護スタッフだけではない。施設のトップの方なども認知症の人に対する介護、ケアの仕方をあまりご存知ない方もおられたりするので、そういった人たちの教育。スタッフの教育・研修は、とても大切なことではないかと思う。 
 最近、ケアスタッフが少ないのはわかるのだが、ケアスタッフの募集を見ると「未経験でも大歓迎」という。ただ、そう言われても、やはり介護のスキルがなければ難しい。すぐ虐待や身体拘束に向かうことがあると思うので、そこは注意しなければいけないと思う。

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■ 福祉用具について
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 メンテナンスという考え方も必要ではないか。現場で見ていると、下肢装具や手すりは何年か経過すると使われずに放置される場合がよくある。メンテナンスして、またきちんと使えるようにするとか、必要なものにすることも必要ではないか。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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