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かかりつけ歯科医、「地域で見えない」 ── 歯科医療の議論で池端副会長

Posted By araihiro On 2021年8月5日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 令和4年度の診療報酬改定に向けて歯科医療がテーマになった厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「地域でどこの歯科診療所がかかりつけ機能を担って口腔ケアをしっかりやっているのか見えないところもある」と指摘し、「そのような情報が広く伝わるような方策も必要ではないか」と提案した。

 厚労省は8月4日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)の第485回総会をオンライン形式で開催し、当会からは池端副会長が診療側委員として出席した。

 厚労省は同日の総会に「歯科医療(その1)」と題する73ページの資料を提示。最終ページに論点を挙げ、医科歯科連携の推進などについて意見を求めた。
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医科・歯科全体で進める仕組みを

 質疑で、診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「歯科医師と薬剤師、あるいは歯科診療所と薬局の連携の推進も重要な視点」と指摘。薬の飲み合わせの確認や定期的に服用する薬剤の中止・調整などを挙げ、「歯薬連携の観点も加えた連携の在り方について議論していくことが必要」と述べた。

 一方、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は「地域包括ケアや地域連携に資する歯科医療を評価することが重要であり、そのような趣旨で、『かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所』を評価してきた」との認識を示した上で、「施設基準等の具体的な要件が趣旨に沿ったものとなっているのかなど、改めて、その趣旨や目的に立ち返り、見直しを行うことが必要」と求めた。

 こうした発言を受け池端副会長は、かかりつけ歯科医の「見える化」に向けた方策を検討する必要性を指摘。介護施設の入所者やデイサービス利用者らの情報を歯科診療所と病院などで共有する医科歯科連携に期待を込め、「嚥下やリハビリも含めて、口腔機能は医科も歯科も全体でみなければいけない。そういうことが進むような仕組みが必要」と述べた。

 池端副会長の主な発言要旨は以下のとおり。

■ かかりつけ歯科医について
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 私も地域医療や介護に携わる1人として、口腔ケアの維持・回復はぜひ進めていただきたいと思う。
 そうした中で、先ほど安藤委員から発言があったように、かかりつけ歯科医の機能が見えにくい面がある。
 資料によると、かかりつけ歯科医を評価した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の届出数は約1万だが、歯科診療所の数は約7万である。私自身も、地域でどこの歯科診療所がかかりつけ機能を担って口腔ケアをしっかりやっているのか見えないところもある。そのため、そのような情報をもう少し明らかにして、広く伝わるような方策も必要ではないかと思う。これは林委員にお聞きしたほうがいいかもしれない。

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【林正純委員(日本歯科医師会常務理事】
 かかりつけ歯科医が、いわゆる「かかりつけ歯科医機能強化型」の施設基準を満たしているかに関しては、確かに分かりにくいところはある。医療機能の情報システムなど、国民目線でご案内ができるように、これからも推進していきたい。
 かかりつけ歯科医は、地域住民の生涯にわたる口腔機能の維持・向上を目指し、ライフステージに応じて継続管理や重症化予防をしっかりやっており、これはかかりつけ歯科医の皆が共有しているところである。それを強化する意味合いも含めて、施設基準を立て付けていただいていると理解している。何が障害になって推進できないのかについても今後、検証しながら進めていただけたらありがたいと思っている。

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■ 医科歯科連携について
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 事務局にお聞きしたい。医科では情報提供が病診連携の中で進んでおり、情報提供料がしっかり算定できるようになっている。
 一方で、歯科から患者さんの口腔機能の情報などを診療所や病院等に提供することに対して、その情報提供料は自由に算定できるようになっているのだろうか。恥ずかしながら、私自身、そういう情報を歯科からご連絡いただいたことがあまりない。こうした連携がもう少し進めば、よりいいのではないか。
 特に介護施設の入所者やデイサービスの利用者などの情報を近隣の診療所や病院に提供することによって、状態の改善につながるのではないか。嚥下やリハビリも含めて、口腔機能は医科も歯科も全体でみなければいけないと思う。そういうことが進むような仕組みが必要ではないかと感じている。

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【厚労省保険局医療課・宮原勇治歯科医療管理官】
 歯科から医科への情報提供について質問があった。社会医療診療行為別調査で、歯科診療情報提供料がどの程度算定されているかは分かるが、その紹介先までの詳細は分からない。同調査によれば、歯科診療情報提供料は約9万回の算定がある。
 医科から歯科に情報提供した場合には、例えば周術期口腔機能管理等でそういった関連が考えられる。歯科診療情報提供料(Ⅰ)の中で、歯科医療機関連携加算1と2という項目がある。これについては、令和元年度で1900回。令和2年度で1と2を合わせて1700回程度となっている。これが多いか少ないかというと、多いという評価にはならないのだろうと考えている。

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■ 口腔機能管理料の届出医療機関数について
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 口腔機能管理料について、資料65ページでは「届出医療機関数及び算定回数」として平成30年度、令和元年度、令和2年度の数が出ている。令和2年度は「27,114」とあるが、この数字は算定回数だろうか。届出医療機関数が分かれば教えていただきたい。
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【厚労省保険局医療課・宮原勇治歯科医療管理官】
 ほかのページでも「届出医療機関数及び算定回数」と示しているものがあるが、実は算定回数だけしか評価をしていないものがある。例えば、63ページ(小児口腔機能管理料)も同様で、これは「算定回数」ということで、「届出医療機関数」ではない。分かりにくい資料になっており、大変申し訳ない。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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