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新年のご挨拶①  武久洋三・会長

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年1月1日 @ 12:01 AM In 会長メッセージ | No Comments

 皆様、新年明けましておめでとうございます。私が慢性期医療協会の会長に就任させていただいてから、4回目の新年となりました。会員の皆様に十分にお役にたてているかどうかは内心忸怩たるものがございますが、役員の先生たちのご協力も得て何とかここまで頑張ってまいりました。

 就任当初は、療養病床は療養病床削減政策が強力に推し進められている非常に厳しい状況でございました。「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」。このキャッチフレーズでやっと慢性期医療の必要性や重要性が少しずつ認識され、一般病床・療養病床という病床種別の呼称から、急性期病床・回復期病床・慢性期病床という表示に厚労省自身も変更されつつあります。しかしそのように慢性期医療がある程度の注目を浴び出してくればくるほど、慢性期病床の責任は重大となり、診療の質が求められることは当然のことであります。

 平成18年6月30日までは、軽い患者を入院させて検査も治療もしないほうが利益率が高いなどという、制度としては軽い人を入院させることを推奨しているような体系でありましたが、平成18年7月1日から重度処置を行えば報酬が高くなるという医療区分が導入されました。そのため急性期病院から、重度な後遺症をもった患者の療養病床への移動が開始されたのです。しかしそのころより、一般病床の13:1、15:1の中に迷入している長期慢性期患者である特定除外患者と療養病床の患者との整合性が、大きな問題として判明してきました。私としても同様な患者は同様な診療報酬体系のもとに入院治療を行うべきという持論を展開してきました。

 そのため、特定除外患者の制度で利益を得てきた全国の一般病床を中心とする中小病院からは、あえて問題提起をすることに対するブーイングが起こりましたが、保険診療による診療報酬体系は平等であるべきという当然の正論の主張を継続してまいりました。平成22年6月に行われた、横断調査の結果、私たちの主張は正しかったことが判明されました。厚労省が思っているように、慢性期医療の概念の中に13:1、15:1を含める政策が継続されていくことがほぼ決定されました。24年4月の同時改定にははっきりとした結果が出ることになると思います。すでに医療区分制度はその歴史的役目を終えつつあります。処置をすればするほど医療区分が上がるという診療報酬体系は適切ではなく、病態別に評価するべきであるとして、すでに試案は公表しております。

 新年にあたり、「2012.日本慢性期医療宣言」を常任理事会にて決定し、新たなる活躍に向けて会員一同とともに邁進する所存であります。本年は協会設立20周年にあたり、念願の会員数が1000を超えております。会員の皆様のお力添えをいただきながら、正しい慢性期医療を推進していく所存でございます。今後ともよろしくお願い致します。

【プロフィール】

 医療法人平成博愛会 博愛記念病院 理事長

 職歴・業績等:

 昭和17年生まれ。岐阜県立医科大学卒業。大阪大学医学部付属病院インターン終了。徳島大学大学院医学研究科卒(医学博士)、徳島大学第三内科を経て、現在、医療法人平成博愛会理事長、社会福祉法人平成記念会理事長等を務める。病院(一般・医療療養・回復期リハ)・介護老人保健施設・介護老人福祉施設・ケアハウスなどを経営。

 専門分野:内科・リハビリテーション科・老年医学・臨床検査

 団体役職等:

 日本慢性期医療協会会長、厚生労働省社会保障審議会医療保険部会委員、中医協・慢性期入院評価分科会委員、厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会委員、厚生労働省医療・介護サービスの連携に関する懇談会委員、厚生労働省介護保険サービスに関する関係団体懇談会委員、経済産業省医療産業研究会委員、経済産業省ヘルスケア産業プラットフォーム推進委員、経済産業省医療・介護周辺サービス産業創出調査事業評価委員、日本病院会理事、徳島県慢性期医療協会会長、徳島県老人保健施設協議会副会長、NPO法人徳島県介護支援専門員協会副理事長、徳島県高齢者保健福祉計画策定委員会委員、徳島県介護保険事業支援計画策定委員会委員

 著書:

 「よいケアマネジャーを選ぼう」「介護認定調査 正しい受け方・行い方」「介護保険・施設への緊急提言」「在宅療養のすすめ」「高齢者用基本治療マニュアル64」(いずれも㈱メディス出版部)

 資格等:

 日本内科学会認定内科医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、THP産業医、介護支援専門員、介護支援専門員指導員、ケアマネジメントリーダー、日本臨床検査医学会臨床検査管理医、日本糖尿病協会療養指導医
 



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