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オンライン資格確認、「しっかり検証していく」 ── 厚労省の山下課長

Posted By araihiro On 2021年3月5日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 今年4月から始まるオンライン資格確認の「プレ運用」がスタートした3月4日、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の山下護課長は同日の会合で「しっかり検証していくことが大事」との意向を示した。当会の井川誠一郎常任理事への答弁。

 厚労省は同日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第141回会合を開き、オンライン資格確認等システムの進捗状況を報告した。

 その中で山下課長は「病院での受付の導線イメージ」を示し、患者の保険資格等の入力作業が不要になり、患者の待ち時間が減少するメリットがあることなどを伝えた。
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P8【資料2】オンライン資格確認等システムの進捗状況について_20210304医療保険部会

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代替漢字のままで登録されてしまう

 同日の会合に池端幸彦副会長の代理で出席した井川常任理事は質疑で、マイナンバーカードのデータがそのまま登録された場合の課題を提示。「難しい漢字の名前が代替漢字のままで登録されてしまう恐れがある」と懸念し、見解を求めた。

 山下課長は「きちんと合っているかをしっかり検証していくことが大事であり、少し慎重に進めていかなければいけないこともある」との認識を示した上で、「それを今、検証するのがまさに『プレ運用』であるので、きちんと合っているかを1つひとつ確認していく」と述べた。

 この日の会合では、コロナの影響による医療費の動向についても報告があった。井川常任理事は、コロナが収束した場合の病床稼働率を指摘し、「こうしたデータは今後も長期間にわたって取っていくべき」とコメントした。

 井川常任理事の発言要旨は以下のとおり。
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20210304_医療保険部会

■ マイナンバーカードのデータについて

 資料8ページの「病院での受付の導線イメージ」によると、初診時にマイナンバーカードで資格確認がなされ、マイナンバーカードを登録した時に住所や氏名、生年月日が一通り取り込まれる。
 マイナンバーカードのデータを記録する時に、難しい漢字の名前は代替漢字に変換されて入力されると思う。そうすると、レセコンや電子カルテの名前も代替漢字のままで登録されてしまう恐れがあるのではないかと心配している。また、住所についても20%ぐらいは誤字が出てしまうと聞く。
 そこで今後、こうした点は改善される余地があるのだろうか。名前の場合に代替漢字のままでは非常に困る。われわれ臨床現場から言わせていただくと、特に死亡診断書が問題になる。死亡診断書は原則的に戸籍と同じ漢字の名前で書かなければならない。そのため、代替漢字の部分は全く修正されず、当初記録した内容のままで流れていく恐れがある。この点について、どのようにお考えか、お聞かせいただきたい。

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【厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長】
 まさにそういうことがある。例えば、「高橋」の「高」のように、名前は同じでも漢字が違うことがある。だからこそ、マイナンバーという形で1人1つの生涯の番号を使う。
 一方で、健康保険証の番号も昨年10月から個人単位になっているので、マイナンバーと健康保険の被保険者番号がきちんと結びつくことが大事になる。名前だけで登録をしようとすると同じ人なのかという疑問が生じてしまう。だからこそ、生涯1つの番号を使って連携していく。
 今回、私たちは初めて対応することであるので、当然、その番号がきちんと合っているかをしっかりと検証していくことが大事であり、その検証をしっかりしない限り、やはり本格的に進めることは、少し慎重に進めていかなければいけないこともあるだろう。
 それを今、検証するのがまさに「プレ運用」であるので、きちんと合っているかを1つひとつ確認していく。
 そういった面で言えば、ご指摘があった住所等についても、保険者から頂いている情報が本当に正しいか、1つひとつ確認しながら今後修正していく作業を保険者や審査支払機関と一緒になって対応しているところである。

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■ コロナの影響に関するデータについて

 このデータは、非常に重要なデータだと思っている。コロナによる医療費の影響がよく出ていると思う。今後も長期間にわたって取っていくべきデータである。
 昨年10月ぐらいまでは受診控えによる影響が非常に大きかったと思うが、12月頃から第3波に入り、今年2月に改正感染症法が成立した。
 こうした中で、大阪府内では民間の急性期病院がいわゆる「コロナ病床」として病棟を開放した所が少なからずある。今後、コロナが収束した場合、こうしたコロナ病床が丸ごと空床となってしまう。そうすると、急性期病院は急いでその病床を埋めなければならないことになり、結果的に慢性期に移る患者さんの減少が当面の間は続いてしまう恐れがある。
 こうした状況も予想されるので、コロナの影響に関するデータはこれから様変わりするかもしれない。こうしたことも念頭に置いて、今後も長期間にわたって取っていかなければならないデータであると思う。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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