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令和3年度介護報酬改定、「非常に満足している」 ── 武久会長

Posted By araihiro On 2021年1月19日 @ 2:22 PM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 令和3年度の介護報酬改定案をまとめた1月18日の会合で、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は「効率よく平均的に介護サービスを提供するというバランス感覚が非常に優れている。隅々まで細かなことに配慮していただき、非常に満足している」と評価した。

 厚生労働省は同日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の第199回会合を開き、昨年3月以降24回に及ぶ議論の集大成となる改定案をまとめた。

 取りまとめを受け、厚労省老健局の土生栄二局長は「4月の施行に向け、告示・通知の発出等を進め、円滑な施行に向けて準備を整えてまいりたい」とあいさつした。
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介護サービスが必要な方に提供できるように

 今改定について土生局長は「昨今の大きな課題である新型コロナウイルス感染症への対応、さらには従来からの地域包括ケア推進等への対応、これらにどう対応していくかが大きな課題であった」と振り返った。

 その上で、土生局長は「今回の改定を受け、まずは新型コロナウイルス感染症対策に引き続き全力で取り組むとともに、さらに2025年、そして2040年を見据えて介護サービスが必要な方に提供できるよう取り組んでまいりたい」と述べた。

 今後のスケジュールについて老健局老人保健課の眞鍋馨課長は「社会保障審議会からの答申を頂いた後、1カ月間のパブリックコメントの手続きを経て、その後、関係通知とあわせて公布する運びとさせていただく予定」と説明。

 最後に田中分科会長が「本当に長い間、どうもありがとうございました」とあいさつして閉会となった。
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令和3年度改定、「画期的な改革だ」

 今改定では、特別養護老人ホームの人員基準の緩和をめぐる議論があった。個室ユニット型施設の定員について、最終的には「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えない」との案でまとまった。

 この日の会合で武久会長は「今まで少し問題が残っていたようなところを解決していただいた画期的な改革だ」と評価した。

 その上で、「特養はこれまで『終のすみか』と言われていたが、今回の改定ではADLの改善加算やリハビリ、医療との連携などが盛り込まれ、特養に入所していても良くなれば退所する可能性を示していただいた」と述べた。
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リハビリ的な要素が介護に多く入った

 武久会長はケアマネ逓減制の緩和も評価し、「ケアマネジャーはデスクワークではなく外へ出て行くことが本来の仕事であるという方向に進むようになれば非常にありがたい」と述べた。

 また、介護ロボットやICTの活用にも期待を込め、「IT元年のような改革だと思う」とコメント。寝たきりや重度化の防止に向けた評価については、「リハビリ的な要素を介護の中に多く取り入れていただいたことも大変評価している」と述べた。
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隅々まで細かく配慮した改定

 武久会長は最後に、「今回の改定は隅々まで細かなことに配慮していただき、私としては非常に満足している。お世話になった」とあいさつした。

 武久会長は昨年12月に委員を退任。この日は田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)の代理として出席した。

 田中分科会長からは「4回の改定を見てこられた立場から褒めていただいた。長い間、ありがとうございました」との言葉があった。

 武久会長の発言要旨は以下のとおり。

〇武久洋三会長
 長く委員を務めさせていただき、今まで4回の介護報酬の改定に関わらせていただいた。
 今回の改定は非常に広範囲にわたり、今まで少し問題が残っていたようなところを解決していただいた画期的な改革だと思う。
 特別養護老人ホームは「終のすみか」と言われていたが、ADLの改善加算やリハビリテーション、医療との連携などが盛り込まれている。特養に入所していても良くなれば退所する可能性を出していただいたことは非常に良いと思う。
 10年ほど前は「小規模ほど良い」と言われていた。規模が小さいほどサービスが行き届くので良いと言われた時代があった。職員数が多い100ベッドの施設と比べて小規模な施設はかなり効率が悪いが、そういう状況がベストだという傾向があった。このような極端な差を少し縮めていただけたと思う。
 確かに、小規模であるほどサービスが行き届く。しかし、現実問題として日本の人口が減り、介護職も減っている。そうした状況下で、いかに効率よく平均的に介護サービスを提供していくか。今回の改定は、このバランス感覚が非常に優れていたと思っている。
 また、今回の改定ではリハビリ的な要素を介護の中に多く取り入れていただいたことも大変評価している。
 IT化の時代である。将来、介護職員が不足することを予想し、ロボットやICTの活用によって人材不足をいかにカバーしていくかという視点は非常に重要である。「IT元年」のような改革だと思う。
 また、口腔衛生の管理や栄養マネジメント、排せつ支援の強化のほか、リハビリテーション等の項目を非常にたくさん入れていただいた。こういう加算を取れるように頑張れば要介護度が改善していくという未来像も見えてきた。特にリハビリテーションについては、OT・PT・STが全部揃っていれば評価される。これは非常に画期的である。介護施設でのリハビリを認めていただいたことは非常にありがたいと思っている。
 ケアマネに関しては45件まで認めていただいた。私は介護支援専門員の資格を取得しているが、このケアマネジメントは事務的な要素がかなり強い。事務員がいると、かなりの部分を代行してもらえる。介護支援専門員がどんどん外に出て行って、患者さんと関わる。ケアマネジャーが医療にかなり関与することは、患者さんの病態や要介護状態を改善するために非常に重要であると思う。
 将来的には、居宅介護支援事業所に事務員を配置することをさらに評価し、ケアマネジャーはデスクワークではなく外へ出て行くことが本来の仕事であるという方向に進むと非常にありがたいと思う。
 今回の改定は隅々まで細かなことに配慮していただき、私としては非常に満足している。委員として長くお世話になった。ありがとうございました。

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〇田中滋分科会長
 4回の改定を見ていらっしゃったお立場から褒めていただいた。長い間、ありがとうございました。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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