- 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト - http://manseiki.net -

「最終的に中医協で議論を」 ── オンライン診療について池端副会長

Posted By araihiro On 2020年12月24日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 オンライン診療が議題に上った12月23日の中医協総会では、政府系会議と中医協との関連が議論となり、「中医協が形骸化しないように」との意見もあった。日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「皆さんと同じ意見」と賛同した上で、「最終的に中医協で安全性や利便性などを患者さんベースで議論して実施していくべき」と述べた。

 厚生労働省は同日、今年最後となる中央社会保険医療協議会(中医協)を一部オンライン形式で開催した。この日は総会のみが開かれ、池端副会長は都内の会場で出席した。
.

医政局の検討会、政府会議に続き総会

 この日の総会に先立つ21日、厚労省医政局はオンライン診療に関する検討会を開き、今後のスケジュールや検討方針などをまとめた。

 翌22日には政府の規制改革推進会議がオンライン診療などに関する方向性を打ち出した。

 こうして迎えた23日の総会で、厚労省は報告事項として「オンライン診療について」を5つ目の議題に挙げ、関連する会議の検討状況などを紹介した。
.

中医協に報告しながら必要な検討を

 総会で厚労省保険局医療課の井内努課長は、オンライン診療に関する検討会のスケジュールなどを紹介。「令和3年夏を目途に(オンライン診療の)恒久化に向けた取りまとめを行い、令和3年秋を目途にオンライン診療の適切な実施に関する指針の改定を行う」と伝えた。
.

01スライド_【総-5-1】オンライン診療_20201223中医協総会_ページ_03

.
 一方、政府の規制改革推進会議については、「22日の会議でオンライン診療・服薬指導の恒久化について提言がされている状況」とした上で、「われわれとしては、(オンライン診療に関する)検討会での検討を注視しつつ、必要に応じて中医協の場に報告しながら必要な検討を行っていただく」と説明した。
.

02スライド_【総-5-2】オンライン診療_20201223中医協総会

.

中医協の議論が形骸化しないように

 質疑で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)はオンライン診療に関する医政局の検討会を重視する考えを示した上で、「この中医協での議論も大変重要なものになってくると考えるので、その際にはしっかりと議論してまいりたい」と述べた。

 松本委員は「診療報酬上の扱いについては、この中医協で十分な議論していくべきであり、外部からの意見によって中医協の議論が形骸化しないようにしていただきたいということを改めて事務局にお願いしたい」と強調した。
.

全部、政府主導で決められている

 支払側からも同様の意見があった。佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「オンライン診療云々に関して中医協が形骸化しないように、しっかりと中医協の中で議論をしていきたいと考えている」と述べた。

 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は政府の規制改革推進会議に言及し、「薬価のことや前回もめた初診・再診への加算など、これらは全部、政府主導で決められている」と苦言を呈した。

 その上で幸野委員は「規制改革推進会議と中医協の議論の関係はどうか。規制改革推進会議が先行して、いろいろ決められてしまうのではないかと懸念される」とし、厚労省側の見解を求めた。
.

「診療報酬」に関しては中医協での議論

 井内課長は「規制改革会議の議論もあるし、厚労省の検討会での検討もある」とした上で、「そういったものを注視しつつ、われわれとしては必要な議論を中医協で行っていただけるように必要な情報を報告し、『中医協においての検討』というものを進めていただきたい」と説明した。

 そこで幸野委員は「規制改革推進会議がいろんなことを決めても、あくまでもこのオンライン診療の在り方については中医協が決めるということでよろしいか」とさらに尋ねた。

 井内課長は「オンライン診療の『基本的な考え方』は厚労省内の検討会で検討が進められている。『診療報酬』に関しては、この中医協での議論と思っている」と答えた。
.

中医協が追認する形にならないように

 これに幸野委員は「前回もめたように、政府主導で決まって中医協が追認するという形に絶対ならないようによろしくお願いしたい」と求めた。

 池端副会長は「幸野委員がおっしゃったように、大きな政府の方針などが出たとしても、最終的には中医協で議論して実施していくべき」と述べた。

【池端副会長の発言要旨】
 私も皆さんと同じ意見で、特に幸野委員がおっしゃったように、これに関しては、大きな政府の方針、あるいは検討会の方針が出たとしても、最終的に、中医協で安全性や利便性などを患者さんベースで考えて、ここで議論して、それで実施していく形にすべきである。
 責任を取るのはやはり中医協だと思うので、そういうスタンスで議論していきたいと思う。
 ぜひ、事務局もそういう方向でタイムリーな情報を早めに出していただければと思うので、よろしくお願い申し上げる。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


.



Article printed from 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト: http://manseiki.net

URL to article: http://manseiki.net/?p=7162

Copyright © 2011 Japan association of medical and care facilities. All rights reserved.